「演じる姿を子どもに見てもらうのが念願だった」Daddy's Talk 第8回 前野朋哉さん(俳優)

「演じる姿を子どもに見てもらうのが念願だった」Daddy's Talk 第8回 前野朋哉さん(俳優)

育児

目次[非表示]

  1. サエない童貞サラリーマン役の純粋な愛情に共感
  2. いつも妻には感謝!それでもつい起きてしまう夫婦喧嘩の原因は?
  3. 子どもはパパの仕事をどこまで理解しているのか?
各分野で独特の感性を発揮し目覚ましい活躍を遂げているパパたちは、どのような家庭生活を送っているのか──。そんな気になる疑問を掘り下げる「Daddy's Talk」。

今回は、映画やドラマで名バイプレイヤーとして活躍し、12月6日から主演映画『魔法少年☆ワイルドバージン』が公開される前野朋哉さんにインタビュー。これまで他のメディアであまり語られることのなかった、夫として、パパとしての素顔に迫ります。

サエない童貞サラリーマン役の純粋な愛情に共感

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』予告編

出典: YouTube

<映画『魔法少年☆ワイルドバージン』あらすじ>
保険会社に勤める星村幹夫(前野朋哉)は、営業成績万年最下位のサエないセールスマン。私生活でも彼女いない歴=年齢29歳の童貞で、「童貞のまま30歳を迎えると魔法使いになる」という都市伝説をネタにバカにされていた。
ある日、優しく真面目な秋山雪乃(佐野ひなこ)が会社に入社し、彼女に恋心を抱いていく星村。そんな中、30歳の誕生日を迎えた星村は魔法の力に目覚め、同じく魔法の力を持つ同僚の月野雅臣(芹澤興人)とヒーローを目指す。

魔法の力に目覚めた主人公が変装するヒーロー“ワイルドバージン”のコスチューム姿で取材に応えてくれた前野さん

──『魔法少年☆ワイルドバージン』をひと足早く鑑賞しました。いい意味でバカバカしい内容でありながら、サエない童貞のカッコ悪さとまっすぐな生き方が正面から描かれていて、とても面白い映画でした!

ありがとうございます。

──前野さんは主役の童貞サラリーマン・星村を演じていますが、映画のキャラクターに対して共通点や共感を覚えたところはありますか?

僕自身も童貞の期間が長い方だったので、星村が抱えるような童貞コンプレックスも自然と演じることができました。そのうえ星村はセールスマンとしての営業能力が乏しくて会社でも大変そうなのですが、かといって彼が仕事に対して努力しているシーンもないので、しょうがないですよね(笑)。でも僕だって会社員として働いていたら星村のようになったかもしれない。だから彼の気持ちはよく分かるんです。

──星村を見ているとつい同情したり自分を重ねたくなるのですが、星村のサエない感じは意識的に表現しましたか?

星村はヒロインの秋山さんと出会うまで希望のない闇をさまよい続けるのですが、それは過去の本人の積み重ねがもたらした結果なわけだから、しょうがないこと。何をやってもうまくいかない“どんくささ”を表現しつつ、あまり可哀想に見えないようなさじ加減を意識しました。

──映画のキャッチコピーが「この世界に、愛はある。」となっていますが、実際に演じる中でどんな愛を感じましたか?

星村がヒロインに注ぐ純粋な愛ですね。ちょっと狂気じみてはいますが、一人の女性を好きになる気持ちをひたすら貫くところは、男として共感できるものがありました。

いつも妻には感謝!それでもつい起きてしまう夫婦喧嘩の原因は?

──2014年に映画『大人ドロップ』の舞台挨拶で、共演の池松壮亮さんが発表してしまったことで前野さんの結婚が公になりましたが、あの時の心境は?

結婚が公になることは別に構わなかったのですが、真っ先に伝えるべき先輩や知人にまだ結婚を報告していない時だったので、「やばい! 順序が逆になる」と焦りました。だから舞台挨拶が終わったらすぐさま先輩や知人に連絡しました。

──結婚に踏み切った決め手は?

大阪勤務の妻と6年間遠距離恋愛を続けていて、もともと結婚したいという思いはありました。妻が東京に転勤できることになったのをきっかけに、同棲から結婚へと至りました。

──奥様のどんなところに惹かれたのですか?

うーん…全部といえば全部ですかね(笑)。

──結婚の翌年にはお子さんが誕生し、今年で結婚から約5年が経ったわけですが、奥様に対する気持ちに変化はありますか?

ただでさえ家のことでいろいろ負担をかけているので、なるべくストレスを与えないように生活したいけど、どうしてもストレスをかける瞬間があります。でも僕が子どもと遊ぶだけでも妻のストレスは軽減されるので、「今は僕がこれをできるから」と夫婦でチームワークを取りながら分担し合えるよう心がけています。

──普段は家事を行っていますか?

仕事がなくて家にいる時は、風呂掃除、掃除機掛け、ゴミ出し、布団をたたむことをなるべくやっています。特に掃除機掛けはストレス発散になるから好きなんですよ。本当は食器洗いなんかもやろうと思っているんだけど、妻はキッチンのことをよく分かってない僕にあまり荒らされたくないようで、どうも入りづらい空気が…難しいですね。とはいえ、年月が経って家族の関係性が変わっていくうちに、そういった分担バランスも変わっていくんじゃないでしょうか。

──奥様と喧嘩することはありますか?

もちろんあります。最近だと…僕が飲み終わったコップをテーブルの上に置きっぱなしにするクセがあるため、妻が布団を運ぼうとした時にコップが当たって落ちたことがあったんです。妻に「なんでコップを置きっぱなしにしてるの?」と言われて僕が「コップがここにあるんだから、気をつけて運べばいいじゃん」と言い返してしまい(笑)、喧嘩の火種になりました。

──そうした夫婦喧嘩をどのように収めているのですか?

その時は僕が「コップを置きっぱなしにしてごめん。飲み終わったらキッチンに運ぶから」と謝って収まりました。ちょっとだけ反抗しつつ、最終的には言うことを聞くというのがいつものスタンスです。

子どもはパパの仕事をどこまで理解しているのか?

──結婚の翌年パパになった時の気持ちは覚えていますか?

自分の子どもが生まれた瞬間は感動しました。ただ一方で、嬉しい反面で不安と心配が入り混じったことを覚えています。

──普段はお子さんとどのように過ごしていますか?

最近は家で一緒にいられる時間があまりないので、子どもと遊べる時はとにかく遊ぶようにしています。今は4歳の長男と3歳の次男が仮面ライダーにすごくハマっていて戦いごっこばかりしていますが、2人とも本気で戦ってくるから思いきり叩かれると痛くて…。基本的に僕はひたすらボコボコにされる敵役だけど、たまに悔しくてこちらから攻撃を仕掛ける時もあります(笑)。他には公園でサッカーをすることも多いですね。

──いいパパですね! 普段お子さんに注意したりすることはありますか?

いいパパではないです。普通に子どもにムカついたりしますし、注意もします。でも僕が子どもに怒っていると、「よくそんなこと言えるね」と妻に爆笑されるんです。どの口が言ってるんだ!ということでしょうね。

──多忙な俳優業だと子どもと一緒に過ごす時間を作りづらいと思いますが、そうした中で育児へのこだわりや目標はありますか?

以前からずっと「僕がどんな仕事をしているのか子どもは分かるかなぁ? できたら知ってほしいな」と思っていて、先日ついにその念願が叶いました。僕が出演している舞台のゲネプロを家族が見に来てくれて、特に長男は集中して見ていたそうです。家に帰ってからも舞台で聴いた歌を歌っていたり、すごく嬉しかったです。

──小さい子どもがパパの仕事をちゃんと理解するのは難しいし、それが俳優業であればなおさらですよね。

そうですね。僕がテレビに出てると遊びに行ってると思っていたようで、「パパ早く帰ってくればいいのに」と言っていたそうです。我が家では今さらながらドラマの『孤独のグルメ』が流行っているのですが、僕が出演したエピソードを見て「え、五郎さん(主人公)に会ったの?」と不思議がられましたよ(笑)。現実とテレビの境目がまだうまく理解できてないんでしょうね。

──もしお子さんが「僕も俳優になりたい」と言ったらどうしますか?

本人が「やりたい」と言えばやらせてあげたいです。

──こうして結婚し子どもを育てていく中で、ご自身の人生観や俳優業へのスタンスに何か影響はありましたか?

ちょっと大変なことでも逃げ出さず正面から向き合い、頑張れるようになりました。やっぱり家族がいるということは、仕事を頑張る原動力になりますね。

──今後の理想の家庭像はありますか?

子どもがもう少し大きくなったら、月に一度はみんなで映画を見に行きたいな。あと、今年から給料日かその翌日に家族で焼肉を食べに行くようになり、僕も毎月その日を楽しみに仕事を頑張ることができています。そうした家族みんなで楽しめるイベントをどんどん設けていきたいですね。

──最後に、『魔法少年☆ワイルドバージン』を家menのパパ読者が楽しむにあたって、どんなポイントに注目してほしいですか?

好きな女性に対する星村のまっすぐさに触れて、今よりもっとまっすぐでバカだった頃の自分を思い出し、素直な妻への思いをぶつけてもらえたら嬉しいです。そして星村が最後に迎える運命を見ていただければ、今と比べて自分が幸せじゃなかったと思える時期も実はムダではなく、尊く価値のあるものに感じられるようになるはずです。映画館で一緒に童貞に戻りましょう。
映画やドラマで見せる素朴なイメージそのままに、「月に一度の焼肉を楽しみにしている」など飾り気のない等身大のパパ像を語ってくれた前野さん。多忙な俳優業ゆえ家にいられる時間が短くなる中でも、できるだけ家事育児に参画しようという前向きな姿勢が印象的でした。やはり俳優であっても、大切な家族の存在は日々頑張る原動力になるんですね。

<インタビュー協力プロフィール>
前野 朋哉さん(俳優)
1986年生まれ。監督・脚本・主演を兼ねた『脚の生えたおたまじゃくし』(09)で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門の審査員特別賞とシネガー・アワードをw受賞。その後は俳優として映画『桐島、部活やめるってよ』『モテキ』など話題作に多数出演し、個性派俳優として活躍。ドラマでも『わろてんか』『スカム』などで味のある存在感を発揮している。

『魔法少年☆ワイルドバージン』/日本/ 上映時間:103分
12月6日(金)ロードショー
配給:Vandalism
公式サイト:http://wv-movie.com/

写真:木原基行
ヘアメイク:中村まみ