【公共交通機関でのベビーカー】知っていますか?子育てに優しい環境をサポートする「ベビーカーマーク」

【公共交通機関でのベビーカー】知っていますか?子育てに優しい環境をサポートする「ベビーカーマーク」

育児

目次[非表示]

  1. 「安心してベビーカーが使える場所」を統一マークで明確に
  2. 認知度の低さがベビーカーマークの課題
  3. 利用者と周囲との間に“ベビーカーを使用する気遣い”のギャップあり
  4. 大事なのは赤ちゃんの安全!ベビーカーを正しく使用していますか?
以前「正解なきベビーカー論争の解決策になるか?『外出先でのベビーカーレンタル』という選択肢を考える」という記事でもご紹介したように、電車やバスなど公共交通機関でのベビーカーの利用方法について、子育て家庭と一般の方たちにおける意識のギャップが近年顕著化しています。

▼あわせて読みたい
お出かけや帰省でベビーカーを利用する家庭にとって、通常の時期はもちろんのこと、公共交通機関が特に混雑するこれからの時期は「この場所(時間帯)はベビーカーを使っていいのか?」と判断に迷う瞬間が多くなるかもしれません。

「安心してベビーカーが使える場所」を統一マークで明確に

ベビーカーマークの周知ポスター(画像出典:国土交通省ホームページ)

出典: https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000091.html

そんな混乱した状況を交通整理する指針になりうる「ベビーカーマーク」を皆さんはご存じでしょうか。

ベビーカーマーク(画像出典:国土交通省ホームページ)

出典: https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000091.html

「ベビーカーマーク」とは、公共交通機関や設備(エレベーター、鉄道やバスの車両など)において、安心してベビーカーを利用できるスペースを示すマーク

国土交通省が設置した「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」において2014年3月に決定された統一的なマークで、翌2015年5月にはJIS化されました。

ベビーカー使用禁止マーク(画像出典:国土交通省ホームページ)

出典: https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000091.html

その逆に、ベビーカーの利用を禁止する場所や設備を示す「ベビーカー使用禁止マーク」も作成され、エスカレーターなどベビーカーを使うと危険なスペースに掲示されています。

認知度の低さがベビーカーマークの課題

公共の場所におけるベビーカーの利用しやすさにつながりそうなベビーカーマークですが、実際のところどれぐらい認知されているものなのか?

国土交通省が10代~60代以上の男女1000人を対象に行った調査(※1)によると、ベビーカーマークを「見たことがあり、意味まで知っていた」(16.1%)と「見たことはないが、意味は知っていた」(14.7%)を合わせて30.8%。逆に約7割は「見たことがあるが、意味は知らなかった」「見たことはないし、意味も知らなかった」そうです

なお、この結果をさらに分析したところ、小さな子どもの育児が落ち着いた40~50代のミドル層の方が認知度は低め。また、都市圏での認知度が高かったのに対し、自家用車が主な交通手段となるその他の地域では、公共交通機関でベビーカーマークを見る機会が少ないためか認知度が低めだったそうです。

なお、同調査では「電車・バスなどでベビーカーを閉じないことへの賛否」についても質問していて、ベビーカーマークの認知の有無を問わず「賛成」「どちらかというと賛成」と答えた人が82.6%。反対する方たちからはその理由としては「混雑時は他の乗客の迷惑になる」(68.4%)、「混雑時はベビーカーの子供の安全が確保できない」(48.3%)が中心でした。

利用者と周囲との間に“ベビーカーを使用する気遣い”のギャップあり

ベビーカーマークで“安心して利用できる場所”という保証が示されているとはいえ、やはり電車やバスに乗り合わせる人たちへの気配りは欠かせないでしょう。

同調査で「電車やバスなどでベビーカーを使用している人が、周囲の人や通行者と接触したり、妨げになったりしないようにするなど、周囲に気遣いをしていると思いますか」と質問したところ、ベビーカー利用者の約9割が「そう思う」と自己評価。その一方、全体では「そう思う」が24.9%、「どちらかというとそう思う」が40.5%。全体の4分の1程度は「ベビーカー利用者は気遣いがない」と考えていることが分かりました。

とはいえ「気遣いがある/ない」という判断は個人の主観によるところも大きいので、明確な正解を示すのは困難。

国土交通省ではベビーカーマークの告知にあたって、ベビーカー利用者および周囲の方たちにそれぞれ次のような“思いやりと気遣い”を呼びかけています。頭の隅に入れておいてはいかがでしょうか。
【ベビーカーご使用の方は】
●周囲の方との接触や通行の妨げなど、ベビーカーの操作に気をつけましょう。
●困っているときは遠慮せずに手助けをお願いしてみましょう。
【周囲の方は】
●ベビーカー使用者には、温かい気持ちを持って接し、見守りましょう。
●エレベーターがない場所での上り下りなど、手助けを申し出てみましょう。

大事なのは赤ちゃんの安全!ベビーカーを正しく使用していますか?

「ベビーカー利用にあたってのお願い」チラシ。左は一般施設向け。右は鉄道向け(画像出典:国土交通省ホームページ)

出典: https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000091.html

もちろん公共の場でベビーカーを使用するにあたっては、周囲に対する気遣いだけでなく、赤ちゃんの安全、つまりベビーカーを安全に使用するための注意も必要といえます。

同調査では「公共交通機関や公共施設などでベビーカーを安全に利用する上で次のような留意事項があることを知っていましたか」という質問も行っていて、留意事項として次の7項目が挙げられていました。

①駆け込み乗車をしない
②ベビーカーに子どもを乗せる際にはシートベルトを着用する
③周囲の人や通行者と接触したり、移動の妨げにならないようにするなど、ベビーカーの操作に気をつける
④電車やバスなどの車内や駅のホーム、バス停でベビーカーを止めている間は、ベビーカーから目を離さず、ストッパーをかけ、手を添える
⑤通路やバス乗降時の段差のつまづきや、ホームと車両の隙間に注意する
⑥エスカレーターや階段では、ベビーカーから子供を降ろして利用する
⑦バス車内では、固定ベルトを使い座席に固定する


7項目のうちいずれか1つ以上知っている人は71.0%に達しましたが、個別の認識度はいずれも3~4割程度。なかでも⑦の「バス車内では、固定ベルトを使い座席に固定する」はわずか17.4%でした。

子持ち家族がお出かけや帰省などでベビーカーを利用する年末年始は、公共の交通機関も設備も多くの人でにぎわうことが予想されます。

これからベビーカーマークがもっと広く普及すると共にその認知度も社会全体で高まって、パパママにとって子育てしやすい環境が今以上に整っていくといいですね。もちろんパパママも、ベビーカーのマナーと安全には十分気をつけていくことが大切ではないでしょうか。

▼あわせて読みたい
<参照>
(※1)国土交通省「ベビーカーマークに関するインターネット調査」
http://www.mlit.go.jp/common/001318731.pdf

国土交通省「ベビーカーマークについてのお知らせ」
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000091.html