【子どもの叱り方】ゲームで遊ぶ時間を守らない時、どうすればいい?~怒りの感情に流されない叱り方①

【子どもの叱り方】ゲームで遊ぶ時間を守らない時、どうすればいい?~怒りの感情に流されない叱り方①

育児

目次[非表示]

  1. ゲームの時間を守らなかった子どもが守れるようになった変化とは?
  2. 子どもが自分で考えて行動し責任を取らせる習慣を身につけさせる
  3. 子どもを叱るよりも認めることに力を注ぐ

稲田尚久(怒りの取り扱いアドバイザー)

子どもへの叱り方に悩むパパたちのために、怒りの感情に流されずに子どもと接し、的確に注意し正しく導くためのコツを、怒りの取り扱いアドバイザーの“いなっち先生”こと稲田尚久先生に解説いただきます。

第2回のテーマは「子どもがゲームやスマホの使用時間を守らない時の叱り方」です。
子育てにおいて、子どもが親との約束を守らないことでイライラしたり、子どもへ怒ったりすることがありませんか?

特に次のようなことは、多くの親御さんが経験することではないでしょうか。

「ゲームやスマホを買うときに『時間を守る』と言って約束したのに、時間を守らないから腹が立ちます」

これは私の子育て講演会や子育て座談会で、親御さんがよく言われるお悩みです。

子どもが約束を守らないから怒る。でも子どもは素直に行動しない。そしてさらに強く子どもへ怒る。しぶしぶゲームをやめても、子どもは勉強する気分にならず、ふてくされてしまうだけ…。

怒った自分に対して、怒りすぎたことやもう少し別の言い方ができないものかと、自己嫌悪に陥るといった悪循環。

親も子もお互いに嫌な気持ちが残っただけでは、怒ることの本来の目的が果たされないうえに、親子の関係が悪化する方向へと行きかねません。

ではどうすれば、子どもは親との約束を守れるようになるのでしょうか?

ゲームの時間を守らなかった子どもが守れるようになった変化とは?

「ゲームの時間を守らない我が子へ毎日怒ってばかりで疲れます。どうしたらいいでしょうか?」

私の子育て座談会でこのような質問をされた方がいらっしゃいました。そこで、私はこうアドバイスしたのです。

子どもに時間を決めさせて、『いつだったら終われる?』と聞いてみてはどうですか? 子どもの設定時間が長いと思っても、そこは何も言わないでください。そして、子どもの決めた時間が過ぎても、まだゲームを止めてなかったら、時間が来たことを知らせて、それでも止めないようなら『あなたが決めた時間だから絶対にダメ』と無理やりでも取り上げる。そこは泣いても怒っても譲らないことです」

後日、この親御さんから次のような報告がありました。

いなっち先生からアドバイスいただいたその日、早速家に帰って来た我が子へ「いつだったらゲーム終われる?」と聞いてみました。

子どもは「◯時◯分」と決めましたが、私からすれば少し長いと思った時間。でもここは何も言わずに様子をみようと我慢。

そして約束の時間が来ました。でもまだ子どもはゲームを止めていなかったのです。

自分でゲームの終わり時間を決めたので、時間が来たとき『もう終わりだよ』って伝えたら、素直にゲームをやめたんです。

今までだったら、なかなか終わらない子どもにイライラして最後は怒ってしまってました。アンガーマネジメントで教えもらった、怒る?怒らない?の線引きをいつも同じにすることで、子どもにも伝わっていました。


その後も、お子さんはゲームの時間を守っているそうで、親から言われなくても自分で止められることが増えたそうですし、この日以降、お子さんへゲームのことで怒ることもなくなったとのこと。

子どもが自分で考えて行動し責任を取らせる習慣を身につけさせる

なぜ子どもはゲームの時間を守れるようになったのか? それは、自分で守れる時間を自分で決めた──それが大きな決め手です。

前回のコラムで書きましたが、親が子どもへ求める『べき』が多くありすぎると、子どもへあれこれ言いすぎてしまいます。

例えば、「ゲームの時間を守るべき」も、基本は親の理想のゲームの時間を守らせようとします。

しかし子どもというのは、楽しいことが大好きです。見通しを立てて計画通りにすることは本来苦手なこと。

だからこそ、子どもに見通しを立てさせる経験を積ませる必要があります。

そこには親が決めた時間ではなく、『自分で決めた』という実感があることが大切です。

自分で決めたことを実行できなかったときには、自分で責任を負うという経験も大切です。もし約束を守らないのであれば、そこは『叱る必要がある』ということにしておくのです

叱る必要があるのか? 叱る必要がないのか?

この両者の線引きを、いつも同じにしておくことですね。そうすれば、子どもも「自分で決めた時間を守れなかったから、叱られても当然だ」と納得できます。

今回紹介した親御さんは、子どもに決めさせることの効果を実感されたようで、次のようにも言われました。

「子どもに時間を決めさせて私は待つことで、余計なことを子どもへ言わなくて済むし、子どもも素直に終わってくれるし、私自身がすごく楽になることができました」

親御さん自身も楽になれたようですね。お子さんも自分で見通しを立てて行動する力が身についていったと思います。

▼あわせて読みたい

子どもを叱るよりも認めることに力を注ぐ

子どもがゲームの時間の約束を守れた後の対応も大切です。

それは、子どもの行動を『認める』ということ


私たち大人は「時間を守るのは当然」という思いがあるかもしれませんが、普段ゲームの時間の約束を守ることが苦手だった子どもからすれば、これはとてつもなく大きな進歩です。

ところが「時間を守るのは当然」と思っていると、特に何も反応もしないで済ませてしまいがち。

これではもったいないですよ。できたときこそ声をかけてあげましょう。

「時間守れたね。頑張ったなあ!」
「約束を守ってくれて嬉しいよ!」


こんな感じで、ぜひ喜びを伝えましょう。そうすれば、子どももまた同じ行動をとろうとする気持ちが強くなりますから

逆に、できないときに叱られるばかりで、できたときには何も言われないと、子どもはしぶしぶ行動することになるでしょう。

人の行動を起こす元は『快』か『不快』のどちらかと言われます。

『快』を求めて行動するときは、自分から積極的な行動を起こしますが、『不快』を避けるために行動するときは、消極的な行動となります。

私たち大人も同じで、上司から怒られて仕事をするより、自分の頑張りを認められる方がモチベーションは高まりやすいですよね。

怒れば怒るほど悪循環に陥って、親子で『不快』になってしまわないために、ぜひ子どもを認めて、お互いに『快』を経験してみてください

上手くいかないこともあるかもしれませんが、親子で一緒に成長していく気持ちでやっていけばいいですからね。

<専門家プロフィール>
稲田尚久(怒りの取り扱いアドバイザー)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。アンガーマネジメント叱り方トレーナー。岡山県青少年健全育成促進アドバイザー。
1970年岡山県真庭市生まれ。名古屋芸術大学絵画科洋画専攻卒業後、愛知県の中学校に講師として1年間勤務し、翌年帰郷。岡山県の公立中学校教諭として23年間勤務。24年間の教師生活の22年間を学級担任として、700組以上の多感な思春期の子どもと保護者へ寄り添ってきた。
2017年4月、『怒りの取り扱いアドバイザー』として独立。
アンガーマネジメント、叱り方、伝え方、聴き方を中心に、子育て、教育、コミュニケーション、メンタルヘルス、ハラスメントといった分野の講演や研修を行っており、年間130本以上をこなしている。また、産業カウンセラーとして、官公庁や企業、個人へのカウンセリングも行っている。
教師経験を活かした内容と豊富な事例。自身がイライラを家族へぶつけてきた父親としての反省を活かした内容に共感を呼び続けている。失敗経験を包み隠すことなくおもしろおかしく伝えることで、笑いながら楽しく学べる内容に定評あり。