イヤイヤ期の娘の声に耳を傾けてみた

イヤイヤ期の娘の声に耳を傾けてみた

育児
世の中には“魔の2歳児”とか“悪魔の3歳児”といった恐ろしい言葉がありますが、マンガ家で兼業主夫の劔樹人さんの娘さんはまさにこの年齢。いったいどんな付き合い方をしているのでしょうか?
今、2歳半になったうちの娘。
もちろん、まだまだイヤイヤ期ではあるが、次第にイヤイヤの中にも、複雑な感情が混じってきているのを感じる。

特に、私に対する独特の厳しさである。

なぜか私にだけ、理不尽すぎるほど意地悪な時があるのだ。

私だけ急に拒絶されたり、部屋に入れてくれなかったり、寝る場所を指定されたり…。

主夫として一番一緒の時間を過ごしているのは私のはずなのに、どうして…と、私が悲しい気持ちでいると、妻はこう言った。

「それは、パパがいつも一緒にいて、一番身近な人だからだよ。一番素直にわがままが言えるんだよ」

確かに、保育園からの帰りはいつもあっちに行きたい、こっちに行きたい、とわがまま放題なのに、たまにおばあちゃんやシッターさんが迎えに行くと、すんなり家に帰ってくれるのだ。

よその家庭は、一番一緒にいるママの言う事しか聞いてくれないとか、そういう理由で苦労しているとよく聞く。

うちは逆で、パパの言うことだけ聞かないという苦労をしているのである。

子どものイヤイヤもいろいろだなと改めて思うが、それでもうちの子は、どうしても誰かじゃないとダメだということは基本的にないので、その点は非常に助かっているのかなと思うのであった。

そんなある日、家族みんなでお出かけするつもりが、妻が急に腰痛になり、私と娘だけで出かけなければならなくなるということがあった。

ベビーカーに乗って玄関を出ようとすると、母親が行かないことに気がついたのか、娘が騒ぎ出した。
「ママは行けなくなっちゃったんだよ、パパと一緒に行こうね」

そう言って説得を試みたが、娘はわめき続けた。
全くもってこれはどうしたものか。

ここへきて、珍しくママじゃないと嫌だモードが発動してしまったのだろうか。

しかし妻は腰痛だ。
やっぱり一緒に行こうと言うわけにいかないし、ここで私が娘を連れ出すことでゆっくり休ませてあげたい。

途方に暮れていると、一つのことに気が付いた。
あれ?これもしかして、「ママ」って言ってるわけじゃない?
我が家は玄関を出ると、マンションの吹き抜けから隣のマンションの屋上にある、「馬」の置物が見えるのだ。
よく保育園に行く時、「ほら、おうまさんがいるよ」と眺めることがある。
今日も誰かじゃないといけないことのない、我が子であった。

劔樹人
マンガ家 ミュージシャン 兼業主夫
ミュージシャンやマンガ家として活躍しながら、2014年にコラムニスト、コメンテーターとして活躍する妻、犬山紙子さんと結婚したことを機に兼業主夫へ。
その暮らしぶりを綴ったコミックエッセイ「今日も妻のくつ下は、片方ない。」やブログ、SNSを通じて男性の家事育児に関する情報を発信中。

オフィシャルブログ「男のうさちゃんピース」