その叱り方は逆効果!子どもへのNGワード-宿題や習い事の練習をサボる子どもを、親は叱るべき?

その叱り方は逆効果!子どもへのNGワード-宿題や習い事の練習をサボる子どもを、親は叱るべき?

育児

目次[非表示]

  1. 子どもを叱る時に使ってはいけないNGワードとは?
    1. ①「いつも」
    2. ②「なんで」
    3. ③「だらしない子」
    4. ④「ちゃんと」
  2. 子どものすべき課題と親のすべき課題を分けて考える

稲田尚久(怒りの取り扱いアドバイザー)

子どもへの叱り方に悩むパパたちのために、怒りの感情に流されずに子どもと接し、的確に注意し正しく導くためのコツを、怒りの取り扱いアドバイザーの“いなっち先生”こと稲田尚久先生に解説いただきます。

第3回のテーマは「子どもが宿題や習い事の練習を怠けた時の叱り方」です。
子どもが宿題や習い事の練習など、家で“するべきこと”をサボっていた時、腹が立ちませんか? そして子どもへ怒ったりすることがありませんか?

そういった状況に出くわした時、思わず親が口にしてしまうセリフがこれ。

「いつもあなたは宿題を後回しにするよね!」
「なんでそうするの!?」
「宿題をサボってばかりで、だらしない子!」
「ちゃんと宿題しなさい!」


実はこれらのセリフには、叱る時に使ってはいけないNGワードが含まれています。さあ、あなたはどれがNGワードだと思いますか?

子どもを叱る時に使ってはいけないNGワードとは?

では正解をお伝えします。NGワードは4つ。

①「いつも」

まじめに宿題をするよりサボる回数の方が多かったとしても、365日毎日宿題をサボっているわけではないはずです。「いつも」は親の主観で言っているだけで、客観的事実ではありませんよね

このように決めつけで言うセリフは、強い表現となります。似たようなセリフで「必ず」や「絶対」も同じですから、気をつけたほうがいいですね。

前回のコラムでも書きましたが、子どもは認められた方がヤル気が出ます。
自分から宿題をやる回数は少なかったとしても、自分でやっていた時に「がんばってるね!」といった、認める声掛けをしてやることです

そうすれば、子どもも宿題をサボって叱られるより、まじめにやって認められる方が心地良いですから、だんだんと自分からヤル気も起きるようになります。

②「なんで」

日常会話で「なんでそうなの?」と言うのは問題ありませんが、叱る場面で「なんで」を使うと、相手を責める言葉へ変わっていきます

僕も生徒を叱った時に、次のような経験があります。

教師「なんでそんなことしたんだ?」
生徒「…」
教師「なんで?自分のやったことを言えないの?」
生徒「…」
教師「おい!なんで黙ってるんだよ!?」
生徒「…」(泣き出す)

このように、「なんで?」を立て続けに言うと、相手をどんどん責めてしまい、言われる側はどんどん委縮してしまいます

それに子どもは、宿題が面倒くさくてサボっているわけですから、「なんで?」と聞かれれば「面倒くさいから」とか「やりたくないから」ということくらいしか答えがありません。

ところが実際に「面倒くさいから」と言おうものなら、親からさらに叱られるのは目に見えています。だから子どもは適当な理由をつけ、その場を早く逃れることに必死になるだけで、反省すべきことも反省できなくなってしまうのです。

「なんで?」のほかにも、「どうして?」「なぜ?」も同じですから、気をつけたほうがいいですね。

③「だらしない子」

これは、相手の人格を否定することにつながります

宿題をサボるという行為は、確かにだらしのない行為かもしれません。しかし、宿題をサボることで、「だらしない子」と人格まで決めつけてはいけませんね。

叱る時のポイントとして、『事実』『結果』『行動』『行為』『ふるまい』を叱るのは良いですが、『人格』『性格』『能力』を叱るのは良くありません

他にも「お前はダメだ!」とか「バカじゃないの!」といった叱り方は、子どもを全否定し、子どもの自信を奪っていきます。

僕はこのことを知ってから、教師時代に生徒を叱る時には次のように伝えていました。

「やったことはダメだけど、君がダメなわけじゃないからな」

このように伝えることで、やったことについては今後改善していけばいいというのも分かりますし、ただでさえ叱られた時というのは自分を否定された気持ちになるので、子どもも少しホッとした表情になります。

④「ちゃんと」

この言葉ってよく使いませんか?

例えば子どもがポケットに手を突っ込んで「おはようございます!」と笑顔で挨拶をしたら、どう思いますか? きっと「ちゃんとあいさつしなさい!」って言うでしょう。

でも子どもは「ちゃんと」大きな声を出して挨拶をしているので、問題ないと思っているのかもしれません。

このように「ちゃんと」というのは、その人だけの基準なので、非常にあいまいな表現となってしまいます。だから「ちゃんとあいさつしなさい!」と言うよりも、「ポケットから手を出してあいさつしなさい!」と、具体的な指示を伝える方が効果的なのです

他にも「きちんと」や「しっかり」も同じくあいまいな表現ですから、気をつけた方がいいですね。

子どものすべき課題と親のすべき課題を分けて考える

宿題をするのは、誰の課題でしょうか? これは子どもの課題ですよね。

今回のコラムでは、宿題をサボる子どもへの叱り方についてお伝えしましたが、そもそも子どもがすべき課題に、親が足を突っ込んでいくから腹が立つのです。

では、親がすべき課題は何なのでしょうか?
それは、宿題をサボる子どもを見て、イライラしないための工夫や努力をすることなのです

宿題をすることも、学校へ行くことも、自分の進路を考えていくことも、それは子どものすべき課題です。

そこで子どもは時には立ち止まったり、悩んだり、さまざまな経験をすることで成長していきます。その経験が大人になってからも、困難に立ち向かっていく力となるのです。

ところが親が子どものためと思って、子どもが経験すべきことを先取りしてしまえば、子どもは大人になってから大きな壁にぶつかった時に、つぶれてしまうのです。

宿題をせずに学校へ行くことで、子ども自身が困ったり不利益を感じる経験をしなければ、子どもは自分の行動を変えようとしません

そんなことをさせていたら、子どもは勉強についていけなくなって、自分の望む進路へ進むこともできないのでは? そう思われる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、それも子どもが責任をとるべきことなのです。

親という字は、「木」の上に「立」って「見」ると書きますよね。子どもを見守っているだけで充分なのです。

叱るというよりは、自分が子どもに伝えなければ、と思うことを適切に伝える。このことを意識して、今回紹介したNGワードは使わないようにしてみましょうね。

<専門家プロフィール>
稲田尚久(怒りの取り扱いアドバイザー)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。アンガーマネジメント叱り方トレーナー。岡山県青少年健全育成促進アドバイザー。
1970年岡山県真庭市生まれ。名古屋芸術大学絵画科洋画専攻卒業後、愛知県の中学校に講師として1年間勤務し、翌年帰郷。岡山県の公立中学校教諭として23年間勤務。24年間の教師生活の22年間を学級担任として、700組以上の多感な思春期の子どもと保護者へ寄り添ってきた。
2017年4月、『怒りの取り扱いアドバイザー』として独立。
アンガーマネジメント、叱り方、伝え方、聴き方を中心に、子育て、教育、コミュニケーション、メンタルヘルス、ハラスメントといった分野の講演や研修を行っており、年間130本以上をこなしている。また、産業カウンセラーとして、官公庁や企業、個人へのカウンセリングも行っている。
教師経験を活かした内容と豊富な事例。自身がイライラを家族へぶつけてきた父親としての反省を活かした内容に共感を呼び続けている。失敗経験を包み隠すことなくおもしろおかしく伝えることで、笑いながら楽しく学べる内容に定評あり。