パパママと子どもの心をつなぐアタッチメント(愛着関係)の築き方

パパママと子どもの心をつなぐアタッチメント(愛着関係)の築き方

育児

目次[非表示]

  1. アタッチメントって何?
  2. 「3歳児神話」が原因?アタッチメントに関する誤解
  3. 3歳までが最も大事!年齢別のアタッチメントの発達
  4. パパ×アタッチメント、注意点と育み方
毎日の暮らしの「困った!」に役立つ技やコツをご紹介する連載「目指せ我が家のHERO!家族を助ける特技を作る」。今回のテーマは「親子間のアタッチメント(愛着感情)」です。

よく「子どもが健やかに成長していくには、パパママから注がれる愛情が不可欠」と言われますが、なぜ子どもの成長に愛情が必要か、またどのように愛情を注げばいいか、改めて問われるとちゃんと答えられないという方も多いのではないでしょうか? そうした疑問を解き明かすキーワードこそがアタッチメントなのです。

そこで今回は、「言葉だけなら聞いたことがある」という方でもアタッチメントの概念や重要性をしっかり理解できるよう、All About子育てガイドである公認心理師の佐藤めぐみさんに解説していただきます。親がどう関わっていくことが、より強いアタッチメントにつながるのか、特にパパの関わり方に重きを置いて見ていきましょう。

アタッチメントって何?

これまでに「アタッチメント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

アタッチメントを日本語で言うと、“ピタッとくっつくこと”を指します。メールなどで送る添付ファイルをアタッチメントと言ったりもしますが、要は、「ピタッ」「ペタッ」という感覚のことです。

心理学では、
アタッチメント=子どもがある特定の人に示す愛着感情
のことを意味します。

特定の人というのがポイントで、「この人じゃなきゃダメ」という思いがそこにはあります。
小さいうちによく見られる、「ママがいいの」「パパじゃなきゃいや」というこだわりは、アタッチメントがあるからです。目には見えない強く太い精神的な絆、これがアタッチメントになります。

では、そもそも「アタッチメント」という言葉はだれが作ったものなのかということについて、少し心理学的なことを解説していきたいと思います。

アタッチメントという言葉は、イギリスの心理学者である、ボウルビィ博士が使いはじめた言葉です。このボウルビィ博士は、アタッチメント理論というものを作り、その概念のなかで、アタッチメントをこんなふうに表現しています。

子どもが、社会的、精神的な発達を正常に行うためには、少なくとも一人の養育者と親密な関係を維持しなければならず、もしそれが無ければ、その子どもは社会的、心理学的な問題を抱えるようになる。

✔ 少なくとも一人の養育者
✔ 親密な関係を維持
✔ さもないと問題が発生する​


という強いメッセージを聞くと、「我が家は大丈夫だろうか」と不安になる方もいるかもしれませんが、実際には、日々のお世話や遊びを通じ、親がお子さんにきちんと関わっていれば、アタッチメントは自然と育まれますので、あまり心配しなくて大丈夫です。

「3歳児神話」が原因?アタッチメントに関する誤解

ただ、1つ誤解しないでいただきたいのが、ママだけにこのアタッチメントの重みを一人で背負わせてはいけないということです。

日本ではいまだに3歳児神話が根強く残っています。3歳児神話とは、「子どもが3歳になるまでは母親が子育てに専念すべきであり、さもないと成長に悪影響を及ぼす」という考え方のことです。しかし、1998年の厚生白書で、「3歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない」と書かれています。

そもそも3歳児神話は、上でご紹介した「アタッチメント理論」が湾曲しながら発展したものとされています。

この理論でボウルビィ博士が主張しているのは、「少なくとも1人の養育者との親密なアタッチメントを維持しなければならない」ということです。強い精神的な絆を意味するアタッチメントが “最低でも1つは必要”と言っているのであって、母親は子育てに専念すべきと唱えているわけではありません。

もしそうだとしたら、第一子を出産後に8割以上のママが仕事に復帰するフランスでは、多くの子どもたちが問題を抱えることになってしまいます。しかし実際はそんなことはありません。この点で、日本の3歳児神話は隔たった考え方なのです。

子どもが特定の人と強い絆を作ることはとても大事なことですが、母子と限定してしまうのは狭義であり、子どもはもっともっと欲張りだということを心に留めておいてほしいと思います。ママもパパも、できればおじいちゃん、おばあちゃんも、と持てる絆はたくさん持ちたいのが子どもたちです。その子に関わるすべての人が意識していきたいのが、このアタッチメントというわけです

3歳までが最も大事!年齢別のアタッチメントの発達

アタッチメントの育みが最も大事になるのは3歳までの時期ですが、赤ちゃんがパパやママとのアタッチメントを築き上げていくプロセスには、記憶力の発達が関係しています。これからご紹介する月齢はおおよその目安ですが、このような発達段階を頭に入れておくと、お子さんが見せる様子も理解しやすくなり、絆の育みに役立つと思います。
この図から分かるのは、0歳のうちは記憶力がまだ伴っていないこともあり、一緒にいる時間が少ないとアタッチメントを起こしにくい状況にあるということです。

0歳代はママがメインで赤ちゃんをお世話するご家庭が多いかと思いますが、パパが仕事で朝早くて夜も遅いと、どうしても0歳期には安定した絆が確立しにくいのは致し方ない事実でもあります。ただ、仕事で外にいる時間が長いことは変えられないことでもあるので、一緒にいられる時間を濃くすることはとても大事になります。幸い、アタッチメントは一緒に過ごす時間の質が何よりのカギなので、その点では週末などを使って、我が子と関わろうとすることが大切です

よく見られるのが、0歳のときは、「ママ、ママ」となってしまうため、自分が入り込めないとあきらめてしまい、「父親の出番は1歳過ぎてからだ」のように割り切ってしまうケースです。しかし、0歳の時期からパパができるかぎり子どもに接していると、1歳過ぎて記憶力が安定してきたときのアタッチメントがスムーズになりますので、積極的に関わろうとすることはいつの日もとても大事になります。

パパ×アタッチメント、注意点と育み方

ということで、最後に、パパがアタッチメントを我が子と築くときの心掛けてほしいことをまとめていきます。

先ほど、アタッチメントは自ずと育まれるので心配しなくて大丈夫ということをお伝えしましたが、親子なら自然と芽生えるものかと言ったらそんなことはありません。アタッチメントは関わり合いを持つことではじめて生まれるので、「親だから」という位置づけだけで満足してしまい、何も関わっていなければそのままです。

アタッチメントは「あるか、ないか」よりも、「強いか、弱いか」に注目することがポイントで、あればOKとするのではなく、どれだけ強められるかにこだわっていくことが大切になります。私が普段行っている育児相談やカウンセリングなどの例を通しても、やはり育児の悩みが発生しがちなのは、圧倒的にアタッチメントが弱い状態のときです。子どもの心の礎になる部分がもろいことで、子どもたちの日々の行動や発言に影響してくるのです。あとは、時間をおいて、その子の後々の人生に大きく影響を及ぼすこともあります(対人関係のあり方、非行、社会性の乏しさなど)。

パパがアタッチメントの育みを考える上で、ぜひ振り返ってほしいのが、子どもと一緒にいる時間をどう過ごしているかです。私が普段の相談でママたちから聞く悩みで多いのは、「パパに任せても、結局は見ているようで見ていない」というもの。

「子どもを見ておくから、出かけてきたら」と言ってくれたので、任せて外出したら、帰宅してびっくり──
● 子どもが一人で遊び、その横でパパは昼寝をしていた
● 子どもにテレビを見させて、自分はゲームをしていた

このようなケースです。もちろん、すべてのパパがこうしているわけではなく、私はお悩みを聞くのが仕事なので、こういうケースに出会う確率が多いわけですが、この状態では、アタッチメントが育まれるとは言いがたいのです。

アタッチメントは、親子の掛け合いみたいなもので、
● 赤ちゃんが「あ~~」と言ったら、パパが「あ~~」と返してあげる
● 赤ちゃんがぐずったら、抱っこして解消しようとしてあげる
● 子どもと一緒に積み木やお絵かきをする


のように、子どもが発する信号に親がきちんとリアクションしてあげることでアタッチメントは高まっていきます。「子どもを見ておく」を言葉通りに目視するだけでは、アタッチメントにはつながらないので気をつけてください。

私がよく感じるのは、パパは子どもと同じ目線で遊ぶのがとても上手だということです。ママはどちらかというと、一日一日をきちっと回すことに目が行くことが多いですが、パパはいい意味で“子どもになって”がむしゃらに遊んであげられる力に富んでいるように思います。

心理学でも、“遊び”にはアタッチメントを強化する働きがあることが分かっており、まさにパパ向きのアタッチメント強化法とも言えます。短い時間でも濃い楽しみ方ができるのも、普段なかなか一緒に過ごす時間が取れないパパに向いていると言えます。アタッチメントを難しく考えず、お子さんが「またやって!」「もっと!」と喜ぶ遊びを積極的に取り入れてみてください。

<専門家プロフィール>
All About子育てガイド
佐藤めぐみ

https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/
子育て心理専門の公認心理師
英・レスター大学大学院修士号取得。オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を子育てに活用する「ポジティブ育児メソッド」を考案。現在は公認心理師として、ポジティブ育児研究所でのオンライン子育て心理学講座、育児相談室ポジカフェでのカウンセリング、メディア・企業への執筆活動等を通じ、子育て心理学を活用した育児支援を行っている。
https://megumi-sato.com