
【兄弟喧嘩の対処法】親が怒るのは逆効果!兄弟姉妹が喧嘩した時、どう解決すればいい?
育児
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子どもへの叱り方に悩むパパたちのために、怒りの感情に流されずに子どもと接し、的確に注意し正しく導くためのコツを、怒りの取り扱いアドバイザーの“いなっち先生”こと稲田尚久先生に解説いただきます。最終回となる第5回のテーマは「兄弟喧嘩が起きた時の対処法」です。
新型コロナウイルスの影響で親子共々自宅で過ごす時間が長くなっています。そうなると、兄弟姉妹による不要な喧嘩が勃発する回数が増えていませんか?
少しくらいの兄弟喧嘩はしょうがないと思っていても、それが毎日だったり、激しいものだったりすると、親としてもストレスになってきますよね。
私の子育て講演会でも「うちの子どもたちは、しょっちゅう兄弟喧嘩して困るのですが、何か良いアドバイスがあれば教えてください」といった質問をいただくことが時々あり、困っている親御さんも多いようです。
そこで今回のコラムでは、子どもの兄弟喧嘩が起きた時に、親としてどういう関わり方をするのが良いのか、また兄弟喧嘩の後に叱らなくてはいけなくなった時に意識していただきたいことなどについてお伝えします。
少しくらいの兄弟喧嘩はしょうがないと思っていても、それが毎日だったり、激しいものだったりすると、親としてもストレスになってきますよね。
私の子育て講演会でも「うちの子どもたちは、しょっちゅう兄弟喧嘩して困るのですが、何か良いアドバイスがあれば教えてください」といった質問をいただくことが時々あり、困っている親御さんも多いようです。
そこで今回のコラムでは、子どもの兄弟喧嘩が起きた時に、親としてどういう関わり方をするのが良いのか、また兄弟喧嘩の後に叱らなくてはいけなくなった時に意識していただきたいことなどについてお伝えします。
兄弟喧嘩は勝ち負けのない試合
兄弟喧嘩はスポーツの試合みたいなもの。ただし、そこには『勝ち負け』はないということが大前提となります。勝ち負けがあると、どうしても子どもは親へジャッジを求めてきます。
「お兄ちゃんが僕にバカって言うのは、いけないことだよね? お兄ちゃんは悪いよね?」と下の子どもが言えば、「弟が僕のおもちゃを勝手に使う。使っていいかどうか聞かないといけないよね? 弟が悪いよね?」と上の子どもからの訴えも…。
こういう時に、絶対にやってはいけないことがあります。それは『ジャッジする』という行為。
どちらかが良いとか悪いといったジャッジをしてしまうと、それは『勝ち負け』へとつながってしまいます。そこで「負けた!」という気持ちが強く残れば、必ず勝って仕返しをしたい気持ちがメラメラと湧いてきますから、また喧嘩をしたい気持ちにもなりますよね。
それにジャッジをしてしまえば、兄弟のうちどちらが良いか悪いかを決めつけることになります。悪いと決めつけられた方は不満が残り、これを繰り返されると自分の人格自体を否定されたと感じてしまうこともあります。そうなると「どうせ自分のことを分かってくれない」と、自分の素直な気持ちを出せなくなり、親子の関係が悪化することもあります。
親は兄弟喧嘩という勝ち負けのない試合観戦をし、どちらかが「ウワー!」と泣いたところで、「はい、もう終わり」とゲームセットを告げる役目でいいと思います。
そうは言っても、「はいもう終わり」で止めてくれたら困らないですよね。多くの場合は、「はい、もう終わり」⇒「はいはい、いい加減に終わりなさい!」⇒「おい!いい加減に終われと言ってるだろ!?」⇒「おい!コラ!いい加減にせんかー!喧嘩するならおもちゃを捨てるぞー!」と、親もヒートアップして、最後は兄弟2人で大泣きで終了なんてことも。
親とすれば、大声を張り上げて怒らなくても喧嘩を止めてもらえるのが理想ですよね。
「お兄ちゃんが僕にバカって言うのは、いけないことだよね? お兄ちゃんは悪いよね?」と下の子どもが言えば、「弟が僕のおもちゃを勝手に使う。使っていいかどうか聞かないといけないよね? 弟が悪いよね?」と上の子どもからの訴えも…。
こういう時に、絶対にやってはいけないことがあります。それは『ジャッジする』という行為。
どちらかが良いとか悪いといったジャッジをしてしまうと、それは『勝ち負け』へとつながってしまいます。そこで「負けた!」という気持ちが強く残れば、必ず勝って仕返しをしたい気持ちがメラメラと湧いてきますから、また喧嘩をしたい気持ちにもなりますよね。
それにジャッジをしてしまえば、兄弟のうちどちらが良いか悪いかを決めつけることになります。悪いと決めつけられた方は不満が残り、これを繰り返されると自分の人格自体を否定されたと感じてしまうこともあります。そうなると「どうせ自分のことを分かってくれない」と、自分の素直な気持ちを出せなくなり、親子の関係が悪化することもあります。
親は兄弟喧嘩という勝ち負けのない試合観戦をし、どちらかが「ウワー!」と泣いたところで、「はい、もう終わり」とゲームセットを告げる役目でいいと思います。
そうは言っても、「はいもう終わり」で止めてくれたら困らないですよね。多くの場合は、「はい、もう終わり」⇒「はいはい、いい加減に終わりなさい!」⇒「おい!いい加減に終われと言ってるだろ!?」⇒「おい!コラ!いい加減にせんかー!喧嘩するならおもちゃを捨てるぞー!」と、親もヒートアップして、最後は兄弟2人で大泣きで終了なんてことも。
親とすれば、大声を張り上げて怒らなくても喧嘩を止めてもらえるのが理想ですよね。
親として『許せること』と『許せないこと』の線引きをハッキリさせる
アンガーマネジメントでは、怒る必要があることは上手に表現でき、怒る必要のないことは怒らないようになることを目指しています。まずは、兄弟喧嘩に対して『許せる』『まあ許せる』『許せない』と自分の中で3つに線引きしましょう。
とはいえ、そもそも兄弟喧嘩は起きて当然ですので、兄弟喧嘩自体を『許せない』に入れてしまうのはナンセンス。考え方の一例を紹介します。
①兄弟喧嘩が起きること自体は『許せる』
②兄弟喧嘩に対し、親が声をかけて終わったら『まあ許せる』
③何度注意してもやめなかったり、相手を叩いたり蹴ったりしたら『許せない』
これはあくまでも一例ですので、親御さん自身の中で、①『許せる』②『まあ許せる』③『許せない』を一度考えてみてください。その時に、②『まあ許せる』をできるだけ広げられたらいいですね。
そして線引きできたら、③『許せない』について、子どもが分かるように伝えることです。『許せない』ことが起きた時、親がどんな対応をするのかを伝えておくといいですね。
ただし伝える時に「ちゃんとしなさい!」「きちんと守って!」「しっかりしろ!」といった、曖昧な表現では子どもに伝わりません。
例えば、「『喧嘩をやめなさい』を3回言っても止めなかったら、お父さんも厳しく叱るからね」とか、「おもちゃの取り合いで喧嘩したら、おもちゃを1週間取り上げるからね」といったように、子どもに具体的な対応を分かりやすく伝えておくことです。
さらに大事なポイントがあります。②『まあ許せる』と③『許せない』の線引きをいつも同じにして、親の機嫌などで変えないようにしましょうね。
とはいえ、そもそも兄弟喧嘩は起きて当然ですので、兄弟喧嘩自体を『許せない』に入れてしまうのはナンセンス。考え方の一例を紹介します。
①兄弟喧嘩が起きること自体は『許せる』
②兄弟喧嘩に対し、親が声をかけて終わったら『まあ許せる』
③何度注意してもやめなかったり、相手を叩いたり蹴ったりしたら『許せない』
これはあくまでも一例ですので、親御さん自身の中で、①『許せる』②『まあ許せる』③『許せない』を一度考えてみてください。その時に、②『まあ許せる』をできるだけ広げられたらいいですね。
そして線引きできたら、③『許せない』について、子どもが分かるように伝えることです。『許せない』ことが起きた時、親がどんな対応をするのかを伝えておくといいですね。
ただし伝える時に「ちゃんとしなさい!」「きちんと守って!」「しっかりしろ!」といった、曖昧な表現では子どもに伝わりません。
例えば、「『喧嘩をやめなさい』を3回言っても止めなかったら、お父さんも厳しく叱るからね」とか、「おもちゃの取り合いで喧嘩したら、おもちゃを1週間取り上げるからね」といったように、子どもに具体的な対応を分かりやすく伝えておくことです。
さらに大事なポイントがあります。②『まあ許せる』と③『許せない』の線引きをいつも同じにして、親の機嫌などで変えないようにしましょうね。
ダメ出しよりも子どもの気持ちを受け止めてやる
ついやってしまいがちな対応が「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから、少しは我慢しなさい」。
たしかに上の子どもには、下の子どもに対して寛容な気持ちを持ってもらいたいものです。でも子どもは、その時の気持ちを親に理解してほしいのです。
辛かったり悔しかったりする気持ちは、上だとか下だとか年齢に関係なく沸き起こってくるものです。それは大人でも同じですよね。そんな時に「そうかそうか、悔しかったんだね」と、気持ちを受け止めてもらえたら心が軽くなりませんか?
また、時として子どもは「お前なんかいなくなればいいんだ!」と、酷い言葉を投げつけてしまうこともあります。酷い言葉自体は決して良いことではありませんが、まずは「いなくなればいいって、言いたくなるくらい辛かったのかな?」と、子どもの気持ちを受け止めて、冷静にさせてやりましょう。
冷静になっていけば、自分自身の言った言葉を振り返ることもできますから、「本当にいなくなってもいいの?」と聞けばきっと「ううん、そんなことない。言い過ぎたと思う」といった反省の言葉も自分から出てきやすいでしょうね。
つい「そんな言い方したらダメだ!」と悪い言い方に注目し、正しい言い方に直したくなりますが、私たち大人も自分の気持ちを理解してくれた上で、注意を受ける方が素直に受け入れやすいですよね。
ストレートにダメ出しをするより、まずは気持ちを受け止めることの方が、はるかに効果は大きいと思います。
たしかに上の子どもには、下の子どもに対して寛容な気持ちを持ってもらいたいものです。でも子どもは、その時の気持ちを親に理解してほしいのです。
辛かったり悔しかったりする気持ちは、上だとか下だとか年齢に関係なく沸き起こってくるものです。それは大人でも同じですよね。そんな時に「そうかそうか、悔しかったんだね」と、気持ちを受け止めてもらえたら心が軽くなりませんか?
また、時として子どもは「お前なんかいなくなればいいんだ!」と、酷い言葉を投げつけてしまうこともあります。酷い言葉自体は決して良いことではありませんが、まずは「いなくなればいいって、言いたくなるくらい辛かったのかな?」と、子どもの気持ちを受け止めて、冷静にさせてやりましょう。
冷静になっていけば、自分自身の言った言葉を振り返ることもできますから、「本当にいなくなってもいいの?」と聞けばきっと「ううん、そんなことない。言い過ぎたと思う」といった反省の言葉も自分から出てきやすいでしょうね。
つい「そんな言い方したらダメだ!」と悪い言い方に注目し、正しい言い方に直したくなりますが、私たち大人も自分の気持ちを理解してくれた上で、注意を受ける方が素直に受け入れやすいですよね。
ストレートにダメ出しをするより、まずは気持ちを受け止めることの方が、はるかに効果は大きいと思います。
子どもの良い行動に注目して感謝や喜びを伝える
ただし、一度に兄弟の気持ちを聞くことは難しいですから、一人ずつ聞くために「あとでお兄ちゃんの話も必ず聞くから待っててね」と、子どもへあらかじめ伝えておきましょう。
そしてお兄ちゃんの話を聞く順番が来たら「待っててくれてありがとう。お父さんはすごく助かったよ。嬉しいなあ」と、必ず感謝や喜びを伝えてあげることです。こうすることで、子どもは良い行動を取ることの大切さを実感できます。
兄弟喧嘩をした時だけでなく、普段から子どもの良い行動を見たら「ありがとう」「助かるよ」「嬉しいよ」と伝えることができたら、さらにいいですね。親から見て当たり前だと思える行動でも、認めてもらえたら子どもは嬉しいですよ。「今日は2人で仲良くおもちゃを貸し合っているね。2人が仲がいいとお父さんは嬉しいなあ」といったように、良い行動を認める声かけができるといいですね。
ついつい私たちは、良い行動を当たり前と思ってしまい、悪い行動を見つけたら叱ってしまいがちです。感謝や喜びの気持ちを日頃から子どもへ伝えていくことで、子どもは自然と良い行動をとることに心地良さを感じて身につけていきます。子どもは親の姿を映す鏡です。子どもが乱暴な言葉を使っているのであれば、一度親自身の行動を見つめ直してみましょう。
コロナウィルスの影響で大変な時期だからこそ、私たち大人が子どもへ良い行動を示したいものです。このコラムがお役に立てましたら幸いです。5回に渡りお付き合いいただき、ありがとうございました。
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ついつい私たちは、良い行動を当たり前と思ってしまい、悪い行動を見つけたら叱ってしまいがちです。感謝や喜びの気持ちを日頃から子どもへ伝えていくことで、子どもは自然と良い行動をとることに心地良さを感じて身につけていきます。子どもは親の姿を映す鏡です。子どもが乱暴な言葉を使っているのであれば、一度親自身の行動を見つめ直してみましょう。
コロナウィルスの影響で大変な時期だからこそ、私たち大人が子どもへ良い行動を示したいものです。このコラムがお役に立てましたら幸いです。5回に渡りお付き合いいただき、ありがとうございました。
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<専門家プロフィール>
稲田尚久(怒りの取り扱いアドバイザー)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。アンガーマネジメント叱り方トレーナー。岡山県青少年健全育成促進アドバイザー。
1970年岡山県真庭市生まれ。名古屋芸術大学絵画科洋画専攻卒業後、愛知県の中学校に講師として1年間勤務し、翌年帰郷。岡山県の公立中学校教諭として23年間勤務。24年間の教師生活の22年間を学級担任として、700組以上の多感な思春期の子どもと保護者へ寄り添ってきた。
2017年4月、『怒りの取り扱いアドバイザー』として独立。
アンガーマネジメント、叱り方、伝え方、聴き方を中心に、子育て、教育、コミュニケーション、メンタルヘルス、ハラスメントといった分野の講演や研修を行っており、年間130本以上をこなしている。また、産業カウンセラーとして、官公庁や企業、個人へのカウンセリングも行っている。
教師経験を活かした内容と豊富な事例。自身がイライラを家族へぶつけてきた父親としての反省を活かした内容に共感を呼び続けている。失敗経験を包み隠すことなくおもしろおかしく伝えることで、笑いながら楽しく学べる内容に定評あり。
稲田尚久(怒りの取り扱いアドバイザー)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。アンガーマネジメント叱り方トレーナー。岡山県青少年健全育成促進アドバイザー。
1970年岡山県真庭市生まれ。名古屋芸術大学絵画科洋画専攻卒業後、愛知県の中学校に講師として1年間勤務し、翌年帰郷。岡山県の公立中学校教諭として23年間勤務。24年間の教師生活の22年間を学級担任として、700組以上の多感な思春期の子どもと保護者へ寄り添ってきた。
2017年4月、『怒りの取り扱いアドバイザー』として独立。
アンガーマネジメント、叱り方、伝え方、聴き方を中心に、子育て、教育、コミュニケーション、メンタルヘルス、ハラスメントといった分野の講演や研修を行っており、年間130本以上をこなしている。また、産業カウンセラーとして、官公庁や企業、個人へのカウンセリングも行っている。
教師経験を活かした内容と豊富な事例。自身がイライラを家族へぶつけてきた父親としての反省を活かした内容に共感を呼び続けている。失敗経験を包み隠すことなくおもしろおかしく伝えることで、笑いながら楽しく学べる内容に定評あり。