第2回「子どもに「早く!」と怒らない!モンテッソーリ教育流“見守る”コツ」【家庭でもできる!パパが「モンテッソーリ教育」を育児に活かすコツ】

第2回「子どもに「早く!」と怒らない!モンテッソーリ教育流“見守る”コツ」【家庭でもできる!パパが「モンテッソーリ教育」を育児に活かすコツ】

育児

目次[非表示]

  1. 子どもと大人の見ている世界はぜんぜん違う
  2. 大人が「早くしなさい!」と言いたくなる2つのシチュエーション
  3. 大人にあって、子どもにないもの〜時間の概念の教え方〜
    1. 子どもは体で覚えていくので、何度でも伝えていくのがベター
    2. 「体感できるまで何度も伝える」をサボらないことが、地頭の良さを育む
  4. 子どもにあって、大人にないもの〜プロセスを楽しむ姿勢を理解してあげる〜
  5. 暮らしの中で【見守る】関わりを増やすコツ
    1. 【まず一息ついて、子どもを待ってみる】
  6. 見守りたいのに出来ないのは当たり前!?
モンテッソーリ・ホームレッスン代表の菅原陵子(りょう子先生)です。

のんびりご飯を食べている子どもに「早くしなさい!!」と言ったことはないですか? もう家を出る時間が迫っている朝、準備をしないでテレビを見ている子どもについ口うるさく言ってしまう。そして子どもにガミガミ言ってしまった自分に自己嫌悪…。

本当は子どもの時間を尊重してあげたいと思っていても、子どもとの暮らしは大人の【常識】を揺さぶることが多くありますよね。「家庭でできるモンテッソーリ教育」連載2回目は、そんな「早くしなさい!!」と思った時の、子どもを見守るコツをご紹介します。

子どもと大人の見ている世界はぜんぜん違う

子どもに「早くしなさい!」と言わなくなる、今日のポイントはたった1つ。
「大人と子どもの見ている世界はぜんぜん違う」という視点から見ることができるようになること。

たとえば子どもを見守って、いい理解者であろうとする時、大人は「自分にも子ども時代があったから、子どものことがわかる」と思いがち。でも、実際のところ大人と子どもは、見ている世界が違うこともよくあります。「早くしなさい」と子どもに言ったり、子どもの姿にやきもきする時、大人と子どもの違いを知ることで解決できることが多くあります。

そしてモンテッソーリ教育では、子どもと接する時に「子どもは出来ない人」ではなく「やり方を知らない小さな大人である」ということを大事にするように言われます。それは一人ひとりに見ている世界がある。そして一人ひとり違う世界で生きているということを尊重するスタンス。モンテッソーリ教育を家で実践しようという時、この大人と子どもが見ている世界の違いを意識すると、断然やりやすくなってきます。

大人が「早くしなさい!」と言いたくなる2つのシチュエーション

さて、具体的に見ていきますね。大人が「早くしなさい!」と言いたくなるシチュエーションは、大きく分けて2つあります。それは

1:子どもが時間をちっとも意識しない時
2:目的があるのに、違うことに気を取られて忘れているように見える時


どちらも大人がモヤモヤしたり、イライラするのは同じなのですが、子どもの中で起こっていることとその対処方法は違ってきます。

大人にあって、子どもにないもの〜時間の概念の教え方〜

まず1つ目のシチュエーション、何をするかの大体の時間が決まっているのに、なかなか取り組まない時。

たとえば朝、保育園に送っていかなければならない時間なのに、なかなか準備が進まない。ご飯をのんびり食べている。歯磨きをしないでテレビを見ている。「5分後には終わらせようね」と約束したつもりなのに、子どもがなかなか動かないなど、大人が「時間を意識していない」と感じる行動をする場合です。

どうして、子どもは時間を意識しないのか?
その理由はとってもカンタン。子どもには時間の概念がないからです

「いつまでに、何をする」というのは、大人が「時間」を頭でも体感でも知っているからできること。一方の子どもは、5分というものがどういうものか「時間の概念」を知らない。5分という時間の「長さ」も知らない。お子さんが約束を守れない子だと怒る方が時々いらっしゃるのですが、ちょっと違うんですね。

あるいは公園ですべり台をあと3回滑ったら帰ろうという時も同じで、子どもは3回が回数を表していて、実際に3回すべり台を上って降りる行動をすることだということが、実はよくわかっていません。むしろわからないから、今、少しずつ毎日の生活の中で覚えていっているところ。だから毎日根気よく「体感してもらう」ということが解決に向けての一番の近道になります。

子どもは体で覚えていくので、何度でも伝えていくのがベター

たとえば5分を教えるには、長針と短針のある時計を用意して「この長い針がここまでくるまでに**しようね。5分あるよ」と話します。時計盤の中で時間の量感と、5分という言葉を別々に伝えるところがポイントです。そして実際に5分という区切られた時間を過ごしてみる中で、時間の長さやできることを、体感をもって知っていきます。声をかけるというのも、そこに意識が向くので大事なことなので、「何度も言わせないで!!」ではなくて、覚えるまで何度も伝えることがコツ。

もちろん、大人にとっては面倒くささを感じることも多く、手間がかかります。でも、怒ったり、お菓子や何かをあげることで釣るよりもずっと効率よく、子どもとの関係を良好に保ちながら教えていくことができるので、結果的に早く覚えます。

「体感できるまで何度も伝える」をサボらないことが、地頭の良さを育む

そして、「体で覚えるまで親が何度も伝えること」をサボらないメリットがもう一つ。

実は、こうした体感を持った体験の積み重ねは、子どもの10年後の知性をより豊かにしていくベースになります。それは幼児期〜10歳までの子どもは、カラダでものを覚え、考え、知性をつくっていくから

たとえば時計で計ることができる5分という時間の量感や、5分という言葉、実際の5分でできることを体で感じる経験は、中学受験で難関校に受かるほとんどのお子さんがカラダで知っている。逆をいうとそういう経験をたくさんしてきているからこそ合格すると言われています。

子どもとの時間を豊かに過ごしたい時、今何かができるようになることより、少し先の未来を作るために、根気強い関わりを意識してみてはどうでしょう?

子どもにあって、大人にないもの〜プロセスを楽しむ姿勢を理解してあげる〜

そしてつい「早くしなさい」と言ってしまう2つ目のシチュエ−ション。目的があるのに、違うことに気を取られて忘れているように見える時。

たとえば散歩に行こうと言っているのに、外に出ても一向に歩みが進まない。道に落ちている石を拾ったり、縁石をのんびり歩くなど目先のことをしだすような行動に「早く歩きなさい。公園に行くよ」というような声をかけたくなってしまう。そんな「何やっているの?」と思ってしまうような場合です。

これは、子どもと大人の価値観(=大事にしていること)が違うことが原因です。どんな違いかというと「大人は結果を大事にする」そして「子どもはプロセスを大事にする」ということ。
たとえばこんなふうです。せっかくの休日、パパとしては子どもと思い切り遊びたい。公園に行こうと子供と外に出たら、大人の気持ちはすでに公園で遊ぶことに向いています。

一方で子どもたちは、今がすべてです。
だから
今、小さいものをつまみたい。
今、アリのような小さいものをじっと見ていたい。
今、砂の感触を楽しみたい。
そして道端に座り込んでは、石をジャラジャラ触っていたりすることが起きます。

この「何やってるの」と言いたくなるような子どもの行動は、モンテッソーリ教育では「敏感期」と呼ばれ、子どもが成長のために無心になってやりたいことにつながっていることも多いです。この何気ない子どもの今を大事にすると、家庭で無理なく「夢中になって、集中する」という経験を重ねていくことができるようになります。

暮らしの中で【見守る】関わりを増やすコツ

「大人は結果を大事にする。子どもはプロセスを大事にする」──この違いは意外に大きく、大人はゴールを見すえて行動する中で、悪気がなくても子どもの時間と空間にズカズカ入ってしまいがち

よくあるのは
1:やろうとすることを止めてしまう(最初からさせない)
2:声をかけて、中断させてしまう(興味をそぐ)
3:せかしてしまう

といったこと。

たとえば、公園へ向かう道で子どもが石や葉っぱを拾っていると「汚いからやめなさい。公園に行くんだから歩くよ。ほら、立って」と言ってしまう。そして「ベビーカーにしたらよかった?」と別の手段を考えたりします。それは大人にとって公園に行くことが目的だからです。公園に行くメリットも知っているし、公園だからできることもある。

でも、子ども自身が公園に行くことを知っていて、その子が公園をイメージして楽しみにしているのでない限り、子どもの中には違うものがあります。たとえば「小さい石に触りたい」欲求。それは子どもの集中につながる小さな芽なのですが、大人の声掛け次第で、簡単に興味がそれたり、集中がぷつっと途切れてしまいます。

子どもを見守る、というのは、そういう子どもの中にあることを大事にすること。そのために大人ができること、効果的なことが1つだけあります。

【まず一息ついて、子どもを待ってみる】

子どもがしていることが大人の思いと違うとしても、まず一息ついて「子どもが何をしているのか」を見ます。時間にして10秒くらい待ってみてください。汚い石を触っていると見るか、石の感触を楽しんでいると見るかで、その後の対応が変わりますよね。だから石=ダメという脊髄反射的な対応でない時間を意識して持つことがおすすめ。

子どもを見守る。観察するという時、ただ見るのではなくて、「意識して観る」というのがポイントです。何を意識するのか?というと、子どもと自分は違う人で、「この人は何をしているんだろう?」と視点を変えるということ。大人の前提を持ち込まないことが大事になってきます。

見守りたいのに出来ないのは当たり前!?

この10年で、育児の価値観もぐっと変わってきました。幼児期の親御さんにアンケートをとると、10年前に比べて「子どもを信じて見守りたい」「子どもの好きなようにしてあげたい」という方が増えてきました。育児書の多くも、親のスタンスとしてそういう関わりを求める表現も多く見られますよね。でも、その一方でそれができないと悩む方も多いと感じます。

「見守りたいのに出来ない」という時、それは出来ない自分が悪いのではなくて、そういうものだと思ってくださいね。人が何かネガティブな気持ちに揺れる時、その裏には同じくらい「本当は満たしたかった」ものがあります。1人の人として子どもに接していきたい。満たしてあげたい気持ちの一方で、自分にも大事にしたいものがある。できないことでご自身を責めるのではなくて、どっちも持っていていいというのを心に留めていただけたらと思います。
子どもを見守るコツはたった2つ。

1:知らないだけ→教える。
2:今に集中しているだけ→10秒待つことでやりたいこと、やっていることを見てみる。


私の育児講座でも、皆さん繰り返しこの基本に戻っていかれます。みなさんもぜひ、この2つを意識してみてくださいね。

また次回をお楽しみに。

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