第3回「教具がなくてもOK!モンテッソーリ教育流おうち遊びで子どもの可能性を伸ばす」【家庭でもできる!パパが「モンテッソーリ教育」を育児に活かすコツ】

第3回「教具がなくてもOK!モンテッソーリ教育流おうち遊びで子どもの可能性を伸ばす」【家庭でもできる!パパが「モンテッソーリ教育」を育児に活かすコツ】

育児

目次[非表示]

  1. 子どもの「くり返したい」を叶えることが、一番本質的なこと
  2. 子ども自身がしたいことだから、「何度でもできる」
  3. 子どもが【何をしているか】を見つけ理解するポイント
  4. 子どもがチャレンジしたい遊びは年齢によって異なる
    1. 【0~3歳】カラダを使って、五感で感じること
  5. 【3~6歳】五感で感じたことを抽象化していくこと
  6. 子どもの育つ順番に合わせて、遊びを変えていく方法
    1. ①だんだん細かく、だんだん強く
    2. ②「おうちモンテ」だからこそ、家庭にあるもので楽しむ
    3. ③実際にふれてみている=体感があることが大切
    4. ④大人の完成形を求めない
  7. 小学校に入るまでの学びは、体を使ってくり返し・じっくりで
モンテッソーリ・ホームレッスン代表の菅原陵子(りょう子先生)です。

SNSで「#おうちモンテ」を検索すると、モンテッソーリ教育のエッセンスを自宅で取り入れた人たちの投稿がたくさん見られるようになってきました。その中には道具にフォーカスされている投稿が多く、お子さんに「何かをさせてあげないと」という気持ちでモノ・ネタ探しに頑張ってしまう方の声もたくさん耳にします。

でも、それだと「まず、道具ありき」になってしまいがち。そこで連載3回目は、子どもの興味を伸ばすための「モンテッソーリ教育的おうち遊び」をテーマに、教具や特別なものがなくてもできるようになるポイントと考え方をご紹介します。

子どもの「くり返したい」を叶えることが、一番本質的なこと

連載1回目で少しご紹介しましたが、モンテッソーリ教育は、教具と呼ばれる道具があります。モンテッソーリ園では子どもたちが自分の興味に合わせ、100種類以上の教具を選ぶことができます。

今はモンテッソーリ教育といえば教具と考える方も多く、教具を用意して家でも「“おしごと”をさせたい」と考える方も増えてきました。ここでいう「おしごと」というのは、モンテッソーリ教育の施設で行われている活動の総称です。園の教具を使った活動の一つ一つを「おしごとをする」というのですが、家でするときには、「子どもにとって何かいいことをしてあげる時間」という感じでしょうか?

これを家で叶えるために一番シンプルな考え方をご紹介します。

1番大事なのはここ。【まず、子どもがなにをしているの?】を観ること
客観的にモノを見ることができるパパだからこそ、この見方のコツをつかむことができると思います。

子ども自身がしたいことだから、「何度でもできる」

モンテッソーリ教育で教具(道具)が多いのには理由があります。それは子どもの細かな発達の一つ一つに対応するため。そして、何より大事にしているのは、子どもの行動の裏にある、「発達させたい、伸ばしたい」欲求を満たすこと

この一つ一つの「成長したいことを満たすための行動・欲求」はそれが満たされるまでの一定期間、ずっと子どもの中で続いています。一見ふらふらしていたり、あちこち気が散るように見えやすい子どもたちですが、実は「ずーっとやりたいことをやっていたい」という熱意の持ち主。モンテッソーリ教育は教具(道具)があることで、「何度でもできる」ようにしています。園での活動をわざわざ「おしごと」と称して遊びと区別しているのは、何度でもできる再現性があることで、子どもが主体的にくり返し関わる事ができる仕組みになっているからです。でもこれは、園のお話。

家庭で「モンテッソーリ教育的おうち遊び」を行うときに注目するのは次の3つです。

1:「子どものやりたいこと」を知る→今何しているの?を観る。
2:子どもが繰り返しやっていることを見つける。
3:「何をしているの?」を、少し客観的に見てみる。


この「何をしているの?」が見えてくると、特別な道具がなくても家にあるもので楽しむことができるようになります。

子どもが【何をしているか】を見つけ理解するポイント

連載2回目の時に、子どもと大人では見ている世界が違い、「大人は結果を大事にするのに対して、子どもはプロセスが楽しい」とご紹介しました。子どもたちは、何かができることではなく、できるようになるためのアレコレを楽しく感じています。そして、できないことにチャレンジし続けることができます。

そんな子どもたちが「何をしているか」を見つけるには、次の4つのポイントを観ていくことがおすすめです。
たとえば、お財布からカードを抜き出して困るというようなことがあったとき、子どもたちがしたいことは「カードを抜いて親を困らせる」ことではないのです。モンテッソーリ教育的には、以下のようにとらえていきます。
私が自分で子どもたちを見るときは、子どもと一緒に同じことをして自分の体も動かしてみることで、カラダのどこを使いたいのかを考えるときもあります。この、ちょっと抽象化していくとらえ方は、ロジカルにとらえることが得意なパパにはおすすめで、コツがつかめるようになると、子どもと距離をもって関わりやすくなります。

子どもがチャレンジしたい遊びは年齢によって異なる

「子どもの発達にいいこと」と思うと、1つの動作が何を発達させているのかと考えてしまい「じゃあこれは? 次は何をさせたらいいの?」となりがち。でも、発達=子どものチャレンジの傾向として、0〜6歳期は大きく2つの時期に分けて考えると毎日の生活を豊かに過ごしやすくなります。

【0~3歳】カラダを使って、五感で感じること

難しいことを抜きに語ると、0〜3歳児って、「寝ているだけ。自分では何もできないよ」というところからスタートして、だんだん「ぶきっちょでできない(やり方を知らない)」を克服していく時期です。なので、やっていることを一言で言うと、「日々筋トレ」=運動能力の獲得。そして、カラダを使うということは五感を使うということ。つまり具体的なモノを使って、五感でいろいろな経験を重ねていく。それが0〜3歳児の醍醐味です。

そして、0〜3歳のポイントはもう一つ。
歩き始める前と歩いてからでは「したいこと」がガラッと変わります。歩行がしっかりしてきたら、手を使った遊びの全盛期に入っていきます。モンテッソーリの活動の多くは、手を自在に動かせるようになることを目指していきます。

【3~6歳】五感で感じたことを抽象化していくこと

3歳〜6歳は、幼稚園児を思い出してみてください。

着替えをしたり、ご飯を食べたり、トイレに行くというような日常生活は、たいてい自分でできるようになっています。この時期は、拙い動きをより洗練させていく時期。いろんなことが「しっかり」してきた印象になります。そして、これまで溜め込んできた五感で感じてきたことをもとに、自分の中の知性を作っていく時期です

子どもの育つ順番に合わせて、遊びを変えていく方法

①だんだん細かく、だんだん強く

たとえば、歩き始めた子どもたちが一番最初にすること。それは「つまむ」ということです。遊びとしては、穴に何かを入れることを好みます。

おうちモンテッソーリとして、あるといい道具は「ストローさし」。で、これができるようになると、「楊枝さし」=より細かなものを入れるか、「ビー玉落とし」=より指先のチカラを強く使うものという方向に動いていきます。ポイントとしては、だんだん細かく、だんだん強くという2つの方向があります。
あるいは、前述したお財布の中のものを出したり、隙間にものを落とそうとするなどが観られたら、古いお財布に使わなくなったカードなどを入れたものをあげる。つまむ行動は、大きな空き缶やタッパーに細長い穴をあけ、荷札を入れるような道具もいいです。

コップの水をじゃーっとひっくり返すようになったら、「あけ移し」の始めどき。こぼされて嫌なら玉を使うなどで代用物を作ることができます。もちろん、玉は嫌で水がいいというお子さんもたくさんいます

②「おうちモンテ」だからこそ、家庭にあるもので楽しむ

モンテッソーリ教育の本を読み込んでいる方は、「ぴっちりきっちり」しないとならないと思っているように感じることがあります。

のり貼りやシール貼りなどを枠からはみ出してはダメ、色塗りも枠からはみ出してはダメなどと思っていると、子どもがやりたいことと、大人の求めている成果がずれてしまいやすくなります。ぴっちりきっちりは、できるようになった先にあるもの。先生が提示するのと違い、親御さんがやってみせるときには、伝え方も親御さんらしさがでてきますので、少しずつの積み重ねで大丈夫です。

「のり貼り」は、まず「のり貼り」を楽しむ。枠にぴったり貼るようになったり、意図をもって工作をするのと「のりをしてみたい」というのは時期が少しずれます。「のり貼り」が当たり前にできるようになったら、親子で、紙をちぎって楽しんだ後、それで絵を作ってみるなどもおすすめ。「紙をちぎる=散らかる」ことはだらしがないと片づけるのではなくて、手の運動と創作に早変わりです

クレヨンを包んだ紙や、壁紙などちょっとささくれたものをむき出したら、玉ねぎの皮むきがおすすめ。動きとしては「細かなものをつまんで、むく」。このまま台所のお手伝いになります

③実際にふれてみている=体感があることが大切

幼児期はなんといっても「実際に五感を使っていること=体感があること」がポイント。モンテッソーリ園では、実物と絵(=半抽象)をあわせていくということをしていきますが、家庭で園がするようなことを真似するより、毎日の生活でできる「ご家庭ならではの体感」を見つけていくのがおすすめです。

毎日の生活の中でできること、たとえば夏に虫集めをして機会があった時に図鑑を一緒に見るなど、親子の時間を過ごす中で「実物と絵」が一致していくのがいいと思います。あるいは、色や形が似たものを並べてみて、ちょっとした違いや似ていることを話す。何気ない暮らしの楽しみがそのまま子どもの中に溜まっていくのが理想です。

絵カード合わせ。具体物と抽象(半抽象)のものを合わせます。ここまできっちりするのは園だからできること

まず、昆虫図鑑を見せるより、昆虫を集めてみる時間を持つ。おやつの時間に似たものを並べて違いや同じことを話してみる。そんな時間が子どもを育てていきます

④大人の完成形を求めない

遊び道具を購入したとき、中にセットで入っているものを見ると、手本と同じことをさせようとしたくなることがあります。たとえば、ブロックの製作見本、ペグさしの模様のパターン、あるいはシール貼りの貼ってある例など。大人が見て、こういうのを作ればいいのだなと思うものがある場合は、少し注意が必要です。子どもの発育段階でできることが少しづつ違うので、「いま何をしたいのか」気をつけてみることが大切
たとえば、写真にあるようなペグさしは、子どもたちは発育に応じて3回楽しむ時期があります。

1:つまんで出す
つまむのが好きな時期のペグさしは、まず、つまんで出す動きを楽しみます。
この時期の子どもは、穴に戻すことを好まないか、できません。

2:穴に入れる
「つまむ」動作が安定してきたら「穴に入れる」。
「つまんで穴に入れる」は、実は2つの動作が組み合わさった、やや高度な動きなのです。

3:パターンを楽しむ
写真のようなパターンに基づくような形をとっていくのは、3歳以降の子どもが行います。
これは、右から何番目、上から何番目というような数の概念や、色を並べるという意図をもって活動できるようになるには、知性の形成が伴っているからです。

小学校に入るまでの学びは、体を使ってくり返し・じっくりで

残念なことですが、最近の幼児教育はどちらかというと「脅し」になりがち。「3歳までにできるようにならないと、脳の発達が80%終わってしまうので、一生ソンします」と直接親御さんに言う教育関係の方もいますし、情報があふれている中で「頑張らなくちゃ」と多くのパパママが感じているように思います。

ですが、子どもの発達のところでご紹介したように、6歳までの育ちを大きい視点で見ていくと、どの子もゴールは一緒です。6年過ぎてみたらみんな一緒。「何歳で何ができた」「隣の子よりもよくできた」というのは実はあまり意味はありません。お子さんが何かできなかったり、思うような行動をしないと、いろいろ凸凹があるように見えるかもしれないのですが、多くの場合それは個性の範疇。親御さんの責任でもありません。

それより大事なのは「じっくり、何度も」させてもらえた経験があるか。親だからこそ言ってくれる言葉をかけてもらったり、「わかってくれてるな」という思いをしたことの積み重ねが、お子さんの未来につながっていきます。「今何しているの?」を知ることから始まる時間は、「うちの子らしさ」を知りながら、一緒に育つベースを作ってくれます。周りを見て焦ることなく我が子と向き合い、その子に合った方法やペースで導いてあげてください。

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