第4回「『自分のことは自分で』の出発点──モンテッソーリ教育流子どものお手伝い」【家庭でもできる!パパが「モンテッソーリ教育」を育児に活かすコツ】

第4回「『自分のことは自分で』の出発点──モンテッソーリ教育流子どものお手伝い」【家庭でもできる!パパが「モンテッソーリ教育」を育児に活かすコツ】

育児

目次[非表示]

  1. 子どもを手伝う?手伝わせる?大人のベストな関わり方とは
  2. お手伝いは成長の筋トレ!合言葉は「いつでも、どこでも、できることを」
  3. 大人のスタンスは「お手伝いのお手伝い」くらいの軽さで
  4. 子どもが自分でお手伝いできるには?大人に求められる2つの鉄則
    1. ①子どもがわかりやすいセッティングにする
    2. ②大人が子どもにわかる形でやってみせる
  5. 子どもと楽しく向き合えるよう、ときどき「どんな子に育ってほしいか」考える
モンテッソーリ・ホームレッスン代表の菅原陵子(りょう子先生)です。

ご家庭でモンテッソーリ教育的に育児をしていこうとするとき、多くの方がハマる言葉があります。それは「自分のことは自分で」―――。一見素敵に聞こえる言葉ですが、私の講演会などでも「だって、自分のことは自分でというじゃないですか!!」というパパママの質問などから、「自分で」にこだわるあまり、育児を大変にしてしまっている方も多いように感じることもあります。

そこで連載4回目の今回は、家庭の「家のお手伝い」を通してわが子が「自分のことを自分でできるようになる」パパママの関わり方をご紹介します。

子どもを手伝う?手伝わせる?大人のベストな関わり方とは

「自分のことは自分で」というとき、子どもの年齢が小さければ小さいほど「やり方を知らない小さな人=子ども」を前に、大人が手伝うことが必要になってきます。でも、「自分のことを自分でできる」ように大人がお手伝いをする一方で、手の出しすぎは自分でするチャンスを奪う、過保護になる、考える力を奪う…などなど、いろんなマイナスイメージが浮かんでしまうなんてことはないですか?

実は「自分のことは自分で」と考えるとき、パパママが無意識に対で考えていることがあります。それは「大人がどれだけ手伝うか」ということ。

たとえば、「自分のことは自分で」にこだわりすぎると、手伝ってはいけないという思いも強くなり
・「何でも自分でやりなさい」と子どもの行動を監視するように見ていてしまう
・「この間、教えたよね」「この間はできたじゃない」と突き放す
・「もうできるでしょ」と甘えを許さない

みたいなことが起きがちです。

あるいは、「自分のことは自分で」できるようになるために、いろんなことをさせないとならない。モンテッソーリ教育は「日常生活」のいろんなことをするらしいから、子どもに役割をしっかり持たせてお手伝いをさせよう。このように考える方もいらっしゃいます。

この
1:大人が子どもを手伝う
2:子どもが家庭でお手伝いをする

という2つ、同じく「手伝う」という言葉を使っていても視点が違いますが、実はどちらも「手伝うこと」にフォーカスしすぎると残念な結果になります。家庭のモンテッソーリ教育的な過ごし方で大事なのは、子どもが過不足なく「やりたい」ことを満たせているかということ。だから見るべきところは、たった1つ。おなじみ「目の前のわが子がどうかな?」という点です。

その上で私がおすすめするのは「家のお手伝いをしてもらいながら、自分のことを自分でできるように」していくこと。子どもの成長の視点から見ていくと、実はとっても子どもが伸びる合理的な関わり方になってきます。

お手伝いは成長の筋トレ!合言葉は「いつでも、どこでも、できることを」

連載2回目でご紹介した「子どもの成長」を思い出していただきたいのですが、子どもたちは年齢が小さければ小さいほど「体の成長」が生きているすべて!みたいなところがあります。今、興味があることをできるようになるまで、筋トレのように繰り返しチャレンジしながらできるようになっていく。それが子どもらしい成長の姿です。

大人はつい「できたか、できないか」の成果で考えてしまいがちですが、ある日ふと気がついたら、当たり前にできるようになっていたというのをイメージしていただくといいかもしれません。大人が思うような「何でも自分でする」姿は、多くの場合は成長のずっと先にあるものです

だから「自分のことは自分で=何でも自分でする」とは少し違った側面から捉えるのが、家庭でできるモンテッソーリ教育的子育てのポイント。合言葉は「いつでもどこでも、できることを」。毎日のちょっとしたことを「おやおや、それがしてみたいんだね」くらいの気持ちでさせてあげるのがコツ。

大人のスタンスは「お手伝いのお手伝い」くらいの軽さで

そして「今を生きる」子どもたちに対して、ちょっと先の未来を考えることができるのが私たち大人です。大人にとって「お手伝い」は社会性、協調性を育てるというようなイメージかもしれないですが、子どもたちにとっては成長の筋トレであることをお忘れなく。

すると、大人が気をつけたいポイントは
1:できること、したいことだけでOK
2:完璧を求めない
3:時間がかかっても許せるものを任せる
4:最初から最後まで全部ではなく、一部で大丈夫


そんな軽い気持ちで任せてみる。そして大人は子どもの「お手伝いのお手伝いをする」くらいの軽いスタンスで接してみることがおすすめ。「お手伝いのお手伝い」なら大人側の準備ができていなくても、慌てずに「ちょっとこれね」「ここ、こうするのやってみて」と言えそうな気がしませんか? 子どもと過ごす時間が少ないパパであっても、できることはたくさんあります。

子どもが自分でお手伝いできるには?大人に求められる2つの鉄則

さて、そんな気楽に毎日ちょっとずつのお手伝いはどこにつながるかというと、体や心の成長ばかりではありません。子どもたちの知性のベースになっていきます。

幼児期から10歳くらいまでの子どもたちは、「体で覚えて体で考える時期」。やってみること(体感)→親子で話す(言葉がつく)→自分の中で整理する。この小さな積み重ねが、地頭の良さを作っていきます。だからこそ、大事にしてほしいお手伝いの時間。大人が面倒くさくなったり、子どもにダメ出しをしてしまうのを減らすポイントは以下の2つです。

 1:子どもがわかりやすいセッティングにする
 2:大人が子どもにわかる形でやってみせる

①子どもがわかりやすいセッティングにする

子どものわかりやすさは、大きく分けて「置き方」と「もの選び」の2つ。それぞれのコツは以下になります。
子どもたちは、毎日同じような生活から違いを感じて育っていきます。なので、「同じ=秩序」は子どもを安心させることにもつながります。
実際に毎日の生活でやっていくには、ここからもう少しコツもあるのですが、これはまた違う回でご紹介しますね。

②大人が子どもにわかる形でやってみせる

モンテッソーリ教育では、大人が実際にやってみせることを「提示」といいます。ビジネスで活躍するパパたちには「モデリング」といったほうがわかりやすいかもしれません。ポイントは「上手な人=大人が何をどうやっているのか、その仕組みをわかりやすく、つまびらかに見せる」こと。

着目ポイントとしては5つありますが、何より大事にしてほしいのは「やっている大人が楽しそうであること」です。特に子どもたちにとってパパはいつか並びたい憧れの人なので、楽しそうにしていたらそれだけで惹きつけられます。ときに子どもに自慢気にするのだってOK! 毎日ちょっとずつ、楽しく子どもとできることをしてみてくださいね。

子どもと楽しく向き合えるよう、ときどき「どんな子に育ってほしいか」考える

ところで皆さんは、わが子が「どんな子に育ってほしいか」と考えたことはありますか? 私は、自分の講演やカウンセリングなどでパパママにお会いするとき、この「どんな子に育ってほしいか」を始めに考えるといいよとお伝えするようにしています。

これを読まれている今、実際に口に出してご自分に聞いてみてください。この問いを自分にしてみると、皆さんの考える目線は必ず、ちょっと未来に向くのがおわかりいただけるかと思います。

毎日があわただしいと、自分がどうなりたいかを考えることすらなかなかない私たちですが、自分以外の誰かの未来を考えたり、責任を感じて過ごしていくのは、子育ての難しいところでも面白いところでもあります。「どんな子に育ってほしいんだっけ?」は、家族で過ごす時間を面白い方に変えてくれる問いの1つです。どうしても子どものことに手がかかる時期だからこそ、「自分のことは自分で」と子どもに強く言いたくなったときや、よその子と比べそうになってしまったら、「どんな子に?」とご自身に聞いてみてくださいね。

そしてぜひ、お手伝いのお手伝いくらいのスタンスで、お子さんとの時間を楽しんでほしいと思います。

▼その他の連載記事はこちら