
『ピーターラビット』 | 誰もが好きになるヤンチャな暴れん坊ウサギ
動物と自然を愛する気持ちを子どもに届けたい
子どもたちに「自然や動物を大切にしよう」と教えたくても、そうした抽象的な考え方はなかなか理屈では理解しづらいですよね。
そういう時こそ、純粋かつ感受性豊かな子どもの心にスッと入り込んでいけるファミリー映画の出番! 誰もが知る世界的ロングセラー・ファンタジー文学を初めて実写映画化し、全世界でのヒットを受け日本でもいよいよ5月18日から劇場公開される『ピーターラビット』をご紹介します。
原作のイメージと正反対!怖い者知らずの陽気なピーターが大暴れ
すでに予告編を見た人の多くが「あれ、『ピーターラビット』ってこんな話だっけ?」と驚いたはず。
というのも、かつて小説や絵本で触れたウサギのピーターら動物たちの物語は、メルヘンな水彩イラストと相まってほのぼのとした印象だったのに対し、この映画でのピーターはとにかくヤンチャ!
でも、原作への先入観を取り払ってしまえば、こんなに魅力的なキャラクターはなかなかいません。
イギリス湖水地方の美しい自然を謳歌するように縦横無尽に飛び跳ね、捕まれば命がない人間の家の庭へも臆することなく侵入する、とにかくやりたい放題のピーター。
さらに大都会から引っ越してきた動物嫌いな青年マクレガーと熾烈なバトルを繰り広げるのですが、頭脳を駆使した暴れっぷりの破天荒さはもちろん、宿敵をやっつけようと悪だくらみをしている最中の表情も憎らしげでイイ。
“おとぎ話の愛されキャラ”ではなく “友だちになりたいイタズラっ子”として、大人も子どもも男女問わず好きになること間違いなし!
さらに「こんなウサギたちが本当にいるかも」と思えてくるほど、適度な擬人化とリアリティのバランスも絶妙です。イタズラしたりパーティーでハメを外す時の動きは人間そのものだけど、鼻をピクピクさせたり耳をピンと立てる動きは本物そのもの。そしてフルCGで描かれたウサギたちの“もふもふ感”に悶絶必至!
ちなみにウサギはおでこをなでられるのが大好きで、人間とコミュニケーションを取る中で重要な体の部分。この映画でも何度か“おでこ合わせ”のシーンが見られます。親愛、謝罪…それぞれのシーンでの意味に思いを馳せてみてください。
人間と自然が共存できるモデルがここにある
また、この映画の見どころは、茶目っ気満点なピーターの暴れっぷりだけではありません。
ピーターとマクレガーの仁義なきバトル、そして次第に変化していく2人の関係を通じて、動物を含めた自然と人間が共存していく1つのヒントを見せてくれるのです。
感情豊かで人間味あふれるピーターの虜になることで、自然や動物を愛する気持ちが小さな子どもの心に芽生えていく、魅惑のファンタジーを家族みんなで体験してみてください。
<作品情報>
『ピーターラビット』(2018年) /アメリカ / 上映時間:95分
2018年5月18日(金)全国ロードショー
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