【公園遊具をフル活用!】楽しみながら子どもの運動能力を伸ばす公園遊び

【公園遊具をフル活用!】楽しみながら子どもの運動能力を伸ばす公園遊び

育児

目次[非表示]

  1. 子どもが運動不足になってませんか?解消するには公園遊びを
  2. キーワードは「動きの多様化」
  3. 運動能力を伸ばす、おすすめの公園遊び
    1. すべり台
    2. ジャングルジム
    3. 平均台
    4. ターザンロープ
  4. おわりに

子どもが運動不足になってませんか?解消するには公園遊びを

「子どもたちは休みの日はテレビばかりで、全然動こうとしない」
「うちの子は一緒に出かけても、ちょっと歩くとすぐ疲れた〜って座りたがるんだよね」
このようなお悩みをパパ友から相談されることがよくあります。

生活習慣や環境の変化もあり、昔よりも生活の中で身体を動かす機会が減っているため、意識していないと子どもたちも大人と同様、運動不足(身体を動かす量や経験の不足)に陥りやすい時代になってきているのではないでしょうか。

そんな子どもたちに筆者がおすすめしたいのが「公園の遊具を使った運動遊び」です。特に大きい公園では遊具の種類も充実していることが多く、幼児期のお子さんにとって、公園はいろいろな動作を経験できる「動きのワンダーランド」と言っても過言ではありません。

今回のコラムでは、親子で公園の遊具を使って遊びを楽しみながら運動能力を伸ばすポイントをご紹介します。

キーワードは「動きの多様化」

文部科学省が出している「幼児期運動指針」では、幼児期の運動における重要な要素として「動きの多様化」というキーワードを挙げています。具体的には下記の3つのポイントからなっています。

①「体のバランスをとる動き」
立つ、座る、寝ころぶ、起きる、回る、転がる、渡る、ぶら下がる

②「体を移動する動き」
歩く、走る、はねる、跳ぶ、登る、下りる、這(は)う、よける、すべる

③「用具などを操作する動き」
持つ、運ぶ、投げる、捕る、転がす、蹴る、積む、こぐ、掘る、押す、引く

文部科学省 幼児期運動指針より引用

人間の動作ってこんなにいろいろなバリエーションがあるのか…と驚いた方も多いのではないでしょうか。特に幼児期は大人と比べて神経系の発達が目覚ましい時期ですから、こうした多様な動きを実際に経験してみることがとても重要です。

そうした意味で、公園の遊具を使った遊びはまさに理想的です。では実際に、公園の遊具遊びでどのような運動能力を伸ばすことができるのか、シミュレーションしてみましょう。

運動能力を伸ばす、おすすめの公園遊び

すべり台

まず初めは公園遊具の代表ともいえる、すべり台です。階段を登る動きとすべり降りる動きがセットになっているので、「身体のバランスをとる動き」と「身体を移動する動き」の両方の要素が含まれる遊びといえます。

特に高いところから加速してすべり降りる動きは、前庭感覚(頭の傾きやスピード、回転などを感じとる感覚)や固有受容覚(身体の位置や運動の状態を感じとる感覚)といった日常生活と違った感覚を経験するよい機会になります。こうした感覚を経験することが姿勢のコントロールやバランスを維持する能力につながってきます。さらに、階段を登る動きは足腰の筋力強化につながります。

また、すべり台も最近は「ローラーすべり台」「トンネル型すべり台」などいろいろなバリエーションがあります。動きの中で得られる感覚も変化しますので、新鮮な気持ちで遊ぶことができます。めずらしいすべり台がある公園まで少し遠出してみても盛り上がると思いますよ。

なお、感覚の感じ方(気持ちいい・怖い、好き・嫌いなど)は個人差がありますので、お子さんが怖がる場合は無理強いせず、もう少し小さいすべり台から試してみる、といった方法を試してみましょう。

ジャングルジム

ジャングルジムも、近所の公園で見かけることが多いおなじみの遊具ですね。「身体のバランスをとる動き」と「身体を移動する動き」の両方が含まれた遊びです。

特によじ登る動作は、上半身や体幹、下半身と複数の部位の筋肉を万遍なく使いますので、全身的にバランスよく筋力アップを図ることができます。

また、ジャングルジムの上でスムーズに移動するためには「自分の足の長さであそこに届くかな…」「下の棒まであとどれくらい距離があるのかな…」と考えながら動く必要がありますので、空間認知能力や、自分の身体の大きさのイメージ(身体図式)を養うトレーニングにもなります

身長が小さくまだ上の段まで登れないお子さんも、ジャングルジムの内部に入って頭をぶつけないように歩き回るだけでも、自分の身体の大きさを意識しながら動きを調整する貴重な経験になりますよ。

平均台

「身体のバランスをとる動き」と「身体を移動する動き」の両方が含まれた遊びです。

「立つ」「歩く」という基本的な動きがメインですが、支持基底面(足底面と両足の間の部分を合計した面)が普通に立っている時よりも狭くなりますので、落ちないように歩くためには体幹・下半身の筋力、空間認知能力、目と足の協応性(動きの調整力)といった、いろいろな能力が必要になります

始めのうちはパパが手をつないであげるなど、怖がらずに楽しめるようなサポートをしてあげて、徐々に手伝いの量を減らしていくとよいでしょう。

平均台と同じようにバランス能力を鍛える遊具としては、地面に埋め込まれたタイヤの上を歩く遊具や、高さの違う丸太(地面に垂直に固定されているもの)の上を落ちないように歩く遊具もよく見かけます。

高さがある遊具ほどスリルがあって楽しい反面、落ちた時に怪我をするリスクも高くなりますので、パパはじゅうぶん安全に配慮してサポートしてあげてください。

ターザンロープ

ターザンロープは比較的大きめの、遊具が充実している公園に行くと設置してあることが多いのではないでしょうか。
動きの要素としては、「身体のバランスをとる動き」「身体を移動する動き」「用具を操作する動き」のすべてが含まれています。今回紹介した中では、動きのバリエーションという意味で最強の遊具では?と筆者は個人的に思っています

まずスタート時に、ロープにつかまるためにはジャンプするための下半身の筋力や瞬発力だけでなく、タイミングも重要です。ロープの位置・傾斜の状態、自分の身体の位置を認識してタイミングよく動くための協応性(動きの調整力)を鍛えるエクササイズといえるでしょう。

また、ロープに飛び乗った後はスピードが出ますので、すべり台と同様に前庭感覚などのふだんと違った感覚を経験するよい機会となります。

すべっている間、ロープにつかまっていられるだけの筋力・バランス能力が求められますので、まずは平らになっている場所でパパがサポートしつつロープにつかまってブラブラしてみる、といった簡単なところからスタートしてみましょう。

おわりに

今回は公園の遊具を活用した遊びをご紹介しました。

公園で遊んでいる子どもたちを観察していると、「(この遊具は)怖いからやらない」と言って、その気になればできるのに食わず嫌い状態になってしまい、いつも決まった遊具でばかり遊んでいることがあります。そんな時こそパパの出番。

パパが公園での遊び方をうまくサポートしてあげることで、子どもたちの運動能力をバランスよく伸ばすことができます。今回の記事を参考にして、ぜひ親子で公園遊びを楽しみましょう!

※本稿における専門家による情報は、紹介している運動遊びの効能や有効性を保証するものではありません。また適切な難易度はそれぞれのお子さんの運動能力によって異なります。お子さんの身体の状態に応じて無理のない範囲で行ってください。

参考文献
小林隆司ほか著「学童期の作業療法入門 学童保育と作業療法士のコラボレーション」(2017 クリエイツかもがわ)
前橋明著「あそぶだけ! 公園遊具で子どもの体力がグングンのびる!」(2015 講談社)


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