叩くなどの体罰による悪影響が最新研究で明らかに!子どもの体と心を傷つけないしつけについて考える

叩くなどの体罰による悪影響が最新研究で明らかに!子どもの体と心を傷つけないしつけについて考える

育児

目次[非表示]

  1. 親の子どもへのしつけは、実は「体罰必要派」がいまだ根強い
  2. 「しつけのための」体罰が子どもに与える悪影響とは
    1. 【体罰のデメリット①】子どもが攻撃的・反抗的な性格に
    2. 【体罰のデメリット②】子どもの認知能力が低下
    3. 【体罰のデメリット③】子どもの好ましくない行動をますます悪化させる
  3. 体罰に頼らない、しつけのポイント
    1. ①「6秒ガマン」で怒りの感情をクールダウン
    2. ②怒りの原因となる「子どもはこうあるべき」の基準を見直す
    3. ③「~してはだめ」ではなく「~しようね」と伝える
    4. ④「いけなかったこと」と「すべきこと」を落ち着いて言い聞かせる
    5. ⑤「できたこと」はほめてあげる
    6. ⑥ワンオペ育児にならないようチーム夫婦として連携する

親の子どもへのしつけは、実は「体罰必要派」がいまだ根強い

一時代前の子育てにおいては、「叩いてしつける」「大声で怒鳴って注意する」ということを必要悪として認める風潮がありました。実はそうした意識は子どもの人権意識の向上が叫ばれる近年においても根強く、セーブ・ザ・チルドレンが全国2万人の大人に行った調査(※1)でも、子どもへの体罰を容認する人は減少傾向にあるものの全体の約4割という結果に。ちなみに性別では男性、年代では子どもの年齢が比較的高い40代~50代に、体罰を容認する割合が相対的に高かったそうです。

体罰としつけの線引きを明確にするのは難しいかもしれませんが、同団体では今回の調査報告書で「体罰」の定義を「殴る、たたく、蹴るといった有形力を用いる罰」、さらに「子どものこころを傷つける罰」として「体罰、および、体罰以外の怒鳴りつける、「だめな子」だと言う、にらみつけるといった罰・行為」という定義を示しています(※1)。

※1:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「大人と子どものしつけにおける体罰等に関する調査報告書」

(画像提供:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

出典: 国際NGOセーブ・ザ・チルドレン

子どもの人権や健やかな成長、そして良好な親子関係のために体罰が良くないのは分かるけど、一時的に子どもの好ましくない行動をやめさせることができる“即効性”があるため、つい叩いたり怒鳴ってしまうというパパママも少なくないかもしれません。しかし、そうした“叩くしつけ”の悪影響を指摘する研究論文が、2021年6月に医学誌『ランセット』に掲載され注目を集めました。

「しつけのための」体罰が子どもに与える悪影響とは

この論文(※2)はテキサス大学オースティン校のエリザベス・ガーショフ教授らが、アメリカや日本など9カ国で行われた69件の研究結果をまとめたもの。殴る蹴るといった生命を脅かす深刻な児童虐待にあたるものを除外し、体罰が子どもに与える影響について研究しました。

【体罰のデメリット①】子どもが攻撃的・反抗的な性格に

論文によると、お尻叩きのような体罰を子どもに与えた場合、時間の経過とともに子どもの「攻撃性の増加」「反社会的行動の増加」「学校での破壊的行動の増加」などの問題行動を引き起こすことが、19件の研究のうち13件で裏付けられました。

またいくつかの研究では、子どもに体罰を与えることで「かんしゃく」「理屈っぽく反抗的な態度」「挑戦的で規則に従わない」「意地悪い」「執念深い」といった行動が特徴となる、反抗挑戦性障害の兆候が増加することが明らかになりました。

【体罰のデメリット②】子どもの認知能力が低下

コロンビアで行われた研究では、体罰を受けた子どもは体罰を受けなかった幼児に比べて「認知能力が低い」という結果が出ました。この因果関係として、常に体罰という暴力的かつ威圧的な環境において、子どもの学習環境(学習意欲)が阻害されてしまうことが考えられます。

【体罰のデメリット③】子どもの好ましくない行動をますます悪化させる

体罰の頻度と子どもの態度悪化の関連性を調査した7件の研究のうち5件で「用量反応関係」が見られました。つまり、体罰の頻度が高くなればなるほど、子どもの態度がますます悪くなるということです。

※2:UT NEWS「Evidence Against Physically Punishing Kids Is Clear, Researchers Say」

体罰に頼らない、しつけのポイント

ここまで体罰の悪影響を紹介してきましたが、例えば「次やったらタダじゃおかないぞ!」と脅すように怒鳴ったり、「だからお前はダメなんだ!」といった自尊心を傷つけるような“言葉の暴力”も、しつけと混同しがちな子どもを傷つける行為の一つ。また、そうした行為は親にとっても、後で冷静になってから「なんであんなことをしたんだろう」と自己嫌悪に陥り、自分の心を傷つけることにもつながりかねません。つまり、体罰など子どもの心と体を傷つける行為は、親にも子にもマイナスの影響が懸念されます

では、体罰や叱咤に頼らないで済むしつけについて考えてみましょう。

①「6秒ガマン」で怒りの感情をクールダウン

大人が体罰に及んだり怒鳴ったりしてしまうケースとして、子どもが好ましくない行動を取ったことに対してカッとなり、怒りの感情に任せてつい…という反射的な要因が挙げられます。

アンガーマネジメントの専門家である稲田尚久先生によると、衝動的な怒りの感情が働くのは長くても6秒程度。この怒りのピークが過ぎれば、少しずつ冷静さを取り戻していくことができるそうです。子どもに対してカッとなったら、深呼吸を繰り返して何とか6秒間をやり過ごし、体罰で分からせようという衝動を抑え込むようにしてみてください。

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②怒りの原因となる「子どもはこうあるべき」の基準を見直す

カッとならず体罰などの直情的な行動を回避できても、威圧的な態度や攻撃的な言葉で子どもを責め、精神的ダメージを与えては元も子もありません。怒りの感情をコントルールできるようになったら、さらにその根本となる“カッとなる原因”の解消に努めてみてください。

稲田先生によると、子どもに求める「こうあるべき」という理想を裏切られた時に親は怒りたくなるそう。つまり、子どもに対する「べき」が多いほど、怒りたくなる回数も増えることになります。でも例えば、大人が「学校から帰ったらまずは宿題をすべき」と思っているのに子どもがゲームを始めたとしても、最終的に宿題に取り掛かるのであれば「帰ったら先に宿題しろ」と怒る必要は必ずしもないはず。自分が子どもに求める「べき」が絶対かどうか、一度見直してみてはいかがでしょうか

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