
大人も感動!パパが主人公の韓国絵本『3人のパパと3つのはなたば』の魅力を翻訳家・斎藤真理子さんが語る
育児
普段忙しくて子どもと接する時間をたくさん取れないパパにとって、絵本の読み聞かせは親子の絆を深める大切な時間! そんなパパたちに、子どもが夢中になってくれて、なおかつ大人も興味深く読めるオススメの一冊があります。2021年10月に発売された韓国の翻訳絵本『3人のパパと3つのはなたば』です。
おそらく多くのパパにとって韓国の絵本はなじみが薄いことでしょうが、日本の絵本と特徴に違いがあるのか? また、意外と珍しい“パパが主人公の絵本”が伝えようとしているメッセージとは? 日本でもベストセラーとなった小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の翻訳で知られる本書の翻訳家・斎藤真理子さんにインタビューし、この絵本の魅力を語っていただきます。
おそらく多くのパパにとって韓国の絵本はなじみが薄いことでしょうが、日本の絵本と特徴に違いがあるのか? また、意外と珍しい“パパが主人公の絵本”が伝えようとしているメッセージとは? 日本でもベストセラーとなった小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の翻訳で知られる本書の翻訳家・斎藤真理子さんにインタビューし、この絵本の魅力を語っていただきます。
韓国の絵本は子ども向けでもメッセージ性が高い
──斎藤さんはこれまでにも『すいかのプール』『おじいちゃんのたびじたく』などの絵本翻訳を手掛けていますが、大人向けの単行本と比べて翻訳で心がけることに違いはありますか?
絵本の場合、文字数を極力短くすることを意識していて、普段の翻訳とはまったく別物。原文の文章が長い場合は訳文の言葉を切り詰められるだけ切り詰めて、ニュアンスをギュッと凝縮しています。『3人のパパと3つのはなたば』でも、主人公のパパ3人のプロフィールを紹介する冒頭のページはかなり言葉を切り詰めた記憶があります。
──子どもが理解したり読みやすい絵本であるためには、短い言葉でシンプルに伝えることが大事なんですね。
もう1つ、私が絵本の翻訳で重視しているのはリズム感。子どもは言葉を連呼しながら絵本を読むのが好きなので、声に出して音読した時のリズムがいいかどうか意識しながら、言葉を取捨選択して訳文を作っています。
──韓国の絵本は、日本や欧米の絵本と比べてどのような特徴が挙げられますか?
テーマを複雑にいじりすぎず、ストレートに伝えようとしている印象があります。『3人のパパと3つのはなたば』も、「いろんな立場のパパがいて、みんな頑張っている」というシンプルなメッセージをありのまま描いた作品です。また、絵本を通じて子どもを正しく教え導こうとする啓蒙的な側面があり、環境問題やフェミニズムといった社会的なテーマを積極的に取り上げているのも特徴的でしょう。
──子どもに正しいことを教えようとする強い姿勢は、教育熱心な韓国ならではの特徴かもしれませんね。
社会性という意味では他にも、韓国が理念としている多文化共生社会も絵本に投影されているように感じます。例えば、群衆の絵の中に車椅子の方や多様な肌の色、多様な年齢の方が描かれていることがあり、多様性のあり方を子どもが自然に理解できるようかなり意識しているんじゃないでしょうか。そうした理想の社会像を、子ども目線で伝えようとするアプローチは素晴らしいと思います。
絵本の場合、文字数を極力短くすることを意識していて、普段の翻訳とはまったく別物。原文の文章が長い場合は訳文の言葉を切り詰められるだけ切り詰めて、ニュアンスをギュッと凝縮しています。『3人のパパと3つのはなたば』でも、主人公のパパ3人のプロフィールを紹介する冒頭のページはかなり言葉を切り詰めた記憶があります。
──子どもが理解したり読みやすい絵本であるためには、短い言葉でシンプルに伝えることが大事なんですね。
もう1つ、私が絵本の翻訳で重視しているのはリズム感。子どもは言葉を連呼しながら絵本を読むのが好きなので、声に出して音読した時のリズムがいいかどうか意識しながら、言葉を取捨選択して訳文を作っています。
──韓国の絵本は、日本や欧米の絵本と比べてどのような特徴が挙げられますか?
テーマを複雑にいじりすぎず、ストレートに伝えようとしている印象があります。『3人のパパと3つのはなたば』も、「いろんな立場のパパがいて、みんな頑張っている」というシンプルなメッセージをありのまま描いた作品です。また、絵本を通じて子どもを正しく教え導こうとする啓蒙的な側面があり、環境問題やフェミニズムといった社会的なテーマを積極的に取り上げているのも特徴的でしょう。
──子どもに正しいことを教えようとする強い姿勢は、教育熱心な韓国ならではの特徴かもしれませんね。
社会性という意味では他にも、韓国が理念としている多文化共生社会も絵本に投影されているように感じます。例えば、群衆の絵の中に車椅子の方や多様な肌の色、多様な年齢の方が描かれていることがあり、多様性のあり方を子どもが自然に理解できるようかなり意識しているんじゃないでしょうか。そうした理想の社会像を、子ども目線で伝えようとするアプローチは素晴らしいと思います。
子どものために日々頑張る“名もなきパパ”への応援歌
──翻訳にあたって『3人のパパと3つのはなたば』を読んだ時の第一印象をお聞かせください。
主人公のパパ3人は、クリスマスの時期に開催される幼稚園の発表会のために、仕事で忙しい時間を縫って花束を受け取り、なんとか早く仕事を切り上げて子どものために花束を届けます。この絵本には『3人のママと3つのおべんとう』というママが幼稚園の遠足のお弁当を作る姉妹編がありますが、花束とお弁当という子どもたちが心待ちにしているものを届けるところを共通の終着地として設け、それぞれの親たちの働き方や生き方の違いを際立たせている構成が秀逸だと感じました。
主人公のパパ3人は、クリスマスの時期に開催される幼稚園の発表会のために、仕事で忙しい時間を縫って花束を受け取り、なんとか早く仕事を切り上げて子どものために花束を届けます。この絵本には『3人のママと3つのおべんとう』というママが幼稚園の遠足のお弁当を作る姉妹編がありますが、花束とお弁当という子どもたちが心待ちにしているものを届けるところを共通の終着地として設け、それぞれの親たちの働き方や生き方の違いを際立たせている構成が秀逸だと感じました。
──パパ3人は職業も立場も違いますが、みんな必死に一日の仕事を頑張っていますよね。
誰がより大変で、誰がより優れているという優劣をつけず、それぞれに大変さがあり必死に奮闘していることを伝えようとしているなという印象です。そんな一見何の接点もないパパ3人が、発表会という親にとって「特別な日」の特別さを共に味わい、見えない形で結ばれた“仲間”の存在を意識できる物語になっています。さまざまな人々が同じ社会で共に生きているという共生社会のあり方を子どもに伝える内容であると同時に、大人も人間同士のつながりを改めて実感できるのではないでしょうか。
──この絵本は、パパたちの一日の仕事ぶりをひたすらありのまま描いていますが、その意図は何だと思いますか?
韓国は激しい競争社会で、子どもも小さいうちからたくさん習い事をしています。そんな子どものためにパパたちは日々奮闘していて、しかもこの絵本では、年末で忙しいクリスマスの時期なのに残業しないで済むよう仕事を頑張っているわけです。こうした等身大のパパの日常を描くことで、その頑張りを肯定しているのではないでしょうか。
──絵から感じる印象はいかがでしょうか?
普通のパパたちの普通の日常を描いた絵本なのですが、登場人物たちの表情もビックリするくらい普通。それでもちゃんとそれぞれの性格の違いが伝わってくるから不思議です。作者のクク・チスンさんは、きっと普段から人間をよく観察しているんでしょうね。また、色使いやイラストの線の柔らかさが安心感を抱かせる一方、体の動きが的確に描かれていて、働いているパパたちの姿が子どもにもリアルに伝わってきます。
──普段、自分のパパが仕事をしている姿を見る機会がなかなかない子どもにとって、この絵本を読むと「パパはこんなことをしてるのか」とイメージしやすいかもしれませんね。
そうですね。大人にとっては一日の仕事ぶりなんて何の変哲もないかもしれないけど、子ども目線で読むと「パパはこうやって会社に行ってるんだ」「こんなふうに働いてるんだ」「こうやって昼ご飯を食べてるんだ」とすべてのエピソードが面白く感じられることでしょう。作者もそうした子どもの興味を惹くような場面を意識して描いていると思います。
誰がより大変で、誰がより優れているという優劣をつけず、それぞれに大変さがあり必死に奮闘していることを伝えようとしているなという印象です。そんな一見何の接点もないパパ3人が、発表会という親にとって「特別な日」の特別さを共に味わい、見えない形で結ばれた“仲間”の存在を意識できる物語になっています。さまざまな人々が同じ社会で共に生きているという共生社会のあり方を子どもに伝える内容であると同時に、大人も人間同士のつながりを改めて実感できるのではないでしょうか。
──この絵本は、パパたちの一日の仕事ぶりをひたすらありのまま描いていますが、その意図は何だと思いますか?
韓国は激しい競争社会で、子どもも小さいうちからたくさん習い事をしています。そんな子どものためにパパたちは日々奮闘していて、しかもこの絵本では、年末で忙しいクリスマスの時期なのに残業しないで済むよう仕事を頑張っているわけです。こうした等身大のパパの日常を描くことで、その頑張りを肯定しているのではないでしょうか。
──絵から感じる印象はいかがでしょうか?
普通のパパたちの普通の日常を描いた絵本なのですが、登場人物たちの表情もビックリするくらい普通。それでもちゃんとそれぞれの性格の違いが伝わってくるから不思議です。作者のクク・チスンさんは、きっと普段から人間をよく観察しているんでしょうね。また、色使いやイラストの線の柔らかさが安心感を抱かせる一方、体の動きが的確に描かれていて、働いているパパたちの姿が子どもにもリアルに伝わってきます。
──普段、自分のパパが仕事をしている姿を見る機会がなかなかない子どもにとって、この絵本を読むと「パパはこんなことをしてるのか」とイメージしやすいかもしれませんね。
そうですね。大人にとっては一日の仕事ぶりなんて何の変哲もないかもしれないけど、子ども目線で読むと「パパはこうやって会社に行ってるんだ」「こんなふうに働いてるんだ」「こうやって昼ご飯を食べてるんだ」とすべてのエピソードが面白く感じられることでしょう。作者もそうした子どもの興味を惹くような場面を意識して描いていると思います。
『3人のパパと3つのはなたば』編集担当・若月眞知子さん
「一般的に絵本といえばファンタジックな内容が多い中、このようにパパの仕事ぶりを正面から描いた絵本は世界でとても珍しいもの。また、韓国は日本と暮らしが似ているようで、文化の違いが随所にあって面白い。だからこそ、この絵本と『3人のママと3つのおべんとう』を日本で紹介したいと思ったのです。また、小さな子どもがいる社員からも『身につまされる』『共感できる』など大きな反響がありました。働いている登場人物を指差しながらパパママの日常を確認できて、親子で読むのにピッタリな絵本です」
花束に込められた、感謝と愛情を伝えることの大切さ
──『3人のパパと3つのはなたば』はパパの“働く姿”と“花束のプレゼント”が物語の2大要素となっています。韓国の男性は花を贈るのが好きなんですか?
大好きですね。男女問わず記念日やプレゼントが好きで、その贈り物として花が特に好まれています。この絵本で描かれているように、幼稚園の発表会に花束を持っていくのは定番で、さらに人形もセットで子どもにプレゼントするのが人気だそうです。また、仕事帰りのパパたちが花束を手に駆けつけられるよう、夜に発表会を行うこともよくあるんだそうです。
──恋人のために花束を贈る光景はわりとイメージできますが、韓国では子どもに贈るのも一般的なのですか?
普通らしいですよ。動物の姿をイメージした子ども向けのフラワーアレンジメントとかブーケの中に小さな人形やお菓子を入れて贈るなども人気みたいです。この絵本のパパたちは昼休みのあわただしい時間にブーケや花束をお店で受け取っているので、おそらく前もってネットなどで子どもが好きそうな花を注文しておき、当日に受け取る時間もしっかりスケジュールに組み込んでいたのだと思います。
──当日に花屋に駆け込んで、あわただしくその場で選んで買っているわけではないんですね。
子どものためにちゃんとした花束を確実に準備するのは、韓国のパパにとって当然の仕事なんでしょうね。また、これは韓国に限った話ではありませんが、「花はこんな種類で、リボンはこの色がいい」と理想に見合う花束を用意するには、遅くとも前日までには準備しないと難しいと思います。
──なぜ韓国では花束などプレゼントを贈るのが一般的なのでしょう?
韓国の人たちは自分の気持ちを伝える大切さを理解していて、その努力を惜しまないということです。それはプレゼントという形だけではなく、言葉などの行為によっても伝えられていて、親子の間だけでなく家族同士で「愛してるよ」という言葉を日常的に使っています。
──そうした親の姿勢を子どもたちが学び、自分たちが親になったらさらに子どもたちに同じように接するということでしょうか?
そうですね。韓国は教育熱心なだけに、親が子どもに厳しく接することもある一方、言葉を効果的に掛けながら愛情を注ぐことも大切にしていて感心させられます。パパたちも子どもへの声掛けが上手です。例えば、友人が韓国で結婚して子育てをしているんですが、あるとき息子さんが、幼稚園でもらったシールをパパにあげたんですって。そしたらパパが息子さんに「パパに心をくれて、ありがとう」とお礼を言ったそうです。「心をくれて」がやや翻訳しづらいのですが、「温い気持ちをくれてありがとう」「心を寄せてくれてありがとう」というニュアンスですね。単純なありがとうじゃなく、息子さんの行為をしっかり受け止めて気持ちを返していますよね。こういう言葉を幼い頃から聞き、また親から愛情を注がれているから、気持ちを伝えたり贈り物をしたり家族を愛する大切さを理解できる大人に育つのでしょうね。
──そうした韓国の文化的背景も知った上でこの絵本を読むと、一見パパの日常を淡々と描いているだけの物語がより深みを持ったメッセージとして伝わってきて、なんだか胸が熱くなるし、日本のパパにも学ぶべきところが大いに感じられます。
韓国での定番ではありますが、この絵本のパパからの贈り物が花で、なおかつタイトルが『3人のパパと3つのはなたば』となっているのはとても象徴的です。形の違う3つの花束は、パパたちが忙しい日常の中でほんの少しだけ立ち止まって買い、そして我が子に対する3人それぞれの想いを込めたもの。そして一見すると小さくて弱々しい花だからこそ、込められたパパたちの想いの強さがよりいっそう伝わってきます。
──最後に、この絵本を手にするパパたちに向けて、感じ取ってほしいメッセージがあればお聞かせください。
「子どもが目の前にいる時間だけでなく、目の前にいない時間も大切」ということです。仕事の合間にスケジュールを調整して花束を用意する絵本のパパたちのように、パパである自分を常に意識しながら行動していれば、その想いはきっと我が子に伝わるはずです。普段の時間においても子どものことを身近に感じて“パパでいる”ことの大切さを、ぜひ感じ取ってください。
<インタビュー取材プロフィール>
斎藤真理子
翻訳家。大学のサークルで韓国語を勉強し、1991年からソウル延世大学語学堂に留学。訳書に『フィフティ・ピープル』(チョン・セラン著/亜紀書房)や、世界中で反響を呼んだ『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著/筑摩書房)など。2015年『カステラ』(ヒョン・ジェフンとの共訳)で第1回日本翻訳大賞受賞。
■『3人のパパと3つのはなたば』
著者:クク・チスン 作/斎藤真理子 訳
発行:ブロンズ新社
定価:1540円(税込)
書籍サイト:https://www.bronze.co.jp/books/9784893096999/
▼気になる姉妹編『3人のママと3つのおべんとう』はこちら!
大好きですね。男女問わず記念日やプレゼントが好きで、その贈り物として花が特に好まれています。この絵本で描かれているように、幼稚園の発表会に花束を持っていくのは定番で、さらに人形もセットで子どもにプレゼントするのが人気だそうです。また、仕事帰りのパパたちが花束を手に駆けつけられるよう、夜に発表会を行うこともよくあるんだそうです。
──恋人のために花束を贈る光景はわりとイメージできますが、韓国では子どもに贈るのも一般的なのですか?
普通らしいですよ。動物の姿をイメージした子ども向けのフラワーアレンジメントとかブーケの中に小さな人形やお菓子を入れて贈るなども人気みたいです。この絵本のパパたちは昼休みのあわただしい時間にブーケや花束をお店で受け取っているので、おそらく前もってネットなどで子どもが好きそうな花を注文しておき、当日に受け取る時間もしっかりスケジュールに組み込んでいたのだと思います。
──当日に花屋に駆け込んで、あわただしくその場で選んで買っているわけではないんですね。
子どものためにちゃんとした花束を確実に準備するのは、韓国のパパにとって当然の仕事なんでしょうね。また、これは韓国に限った話ではありませんが、「花はこんな種類で、リボンはこの色がいい」と理想に見合う花束を用意するには、遅くとも前日までには準備しないと難しいと思います。
──なぜ韓国では花束などプレゼントを贈るのが一般的なのでしょう?
韓国の人たちは自分の気持ちを伝える大切さを理解していて、その努力を惜しまないということです。それはプレゼントという形だけではなく、言葉などの行為によっても伝えられていて、親子の間だけでなく家族同士で「愛してるよ」という言葉を日常的に使っています。
──そうした親の姿勢を子どもたちが学び、自分たちが親になったらさらに子どもたちに同じように接するということでしょうか?
そうですね。韓国は教育熱心なだけに、親が子どもに厳しく接することもある一方、言葉を効果的に掛けながら愛情を注ぐことも大切にしていて感心させられます。パパたちも子どもへの声掛けが上手です。例えば、友人が韓国で結婚して子育てをしているんですが、あるとき息子さんが、幼稚園でもらったシールをパパにあげたんですって。そしたらパパが息子さんに「パパに心をくれて、ありがとう」とお礼を言ったそうです。「心をくれて」がやや翻訳しづらいのですが、「温い気持ちをくれてありがとう」「心を寄せてくれてありがとう」というニュアンスですね。単純なありがとうじゃなく、息子さんの行為をしっかり受け止めて気持ちを返していますよね。こういう言葉を幼い頃から聞き、また親から愛情を注がれているから、気持ちを伝えたり贈り物をしたり家族を愛する大切さを理解できる大人に育つのでしょうね。
──そうした韓国の文化的背景も知った上でこの絵本を読むと、一見パパの日常を淡々と描いているだけの物語がより深みを持ったメッセージとして伝わってきて、なんだか胸が熱くなるし、日本のパパにも学ぶべきところが大いに感じられます。
韓国での定番ではありますが、この絵本のパパからの贈り物が花で、なおかつタイトルが『3人のパパと3つのはなたば』となっているのはとても象徴的です。形の違う3つの花束は、パパたちが忙しい日常の中でほんの少しだけ立ち止まって買い、そして我が子に対する3人それぞれの想いを込めたもの。そして一見すると小さくて弱々しい花だからこそ、込められたパパたちの想いの強さがよりいっそう伝わってきます。
──最後に、この絵本を手にするパパたちに向けて、感じ取ってほしいメッセージがあればお聞かせください。
「子どもが目の前にいる時間だけでなく、目の前にいない時間も大切」ということです。仕事の合間にスケジュールを調整して花束を用意する絵本のパパたちのように、パパである自分を常に意識しながら行動していれば、その想いはきっと我が子に伝わるはずです。普段の時間においても子どものことを身近に感じて“パパでいる”ことの大切さを、ぜひ感じ取ってください。
<インタビュー取材プロフィール>
斎藤真理子
翻訳家。大学のサークルで韓国語を勉強し、1991年からソウル延世大学語学堂に留学。訳書に『フィフティ・ピープル』(チョン・セラン著/亜紀書房)や、世界中で反響を呼んだ『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著/筑摩書房)など。2015年『カステラ』(ヒョン・ジェフンとの共訳)で第1回日本翻訳大賞受賞。
■『3人のパパと3つのはなたば』
著者:クク・チスン 作/斎藤真理子 訳
発行:ブロンズ新社
定価:1540円(税込)
書籍サイト:https://www.bronze.co.jp/books/9784893096999/
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