しつけと勘違いしてませんか?「脅し育児」のデメリットと、脅し言葉に頼らないしつけ

しつけと勘違いしてませんか?「脅し育児」のデメリットと、脅し言葉に頼らないしつけ

育児

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  1. 子育てでやりがちな「ダブルバインド」とは?
  2. 即効性のある「脅し育児」の落とし穴
    1. 【悪影響①】脅しはしつけにならない
    2. 【悪影響②】脅しの効力が落ち、親子の信頼関係がなくなる
    3. 【悪影響③】親の真似をして子どもが“脅す側”になる
    4. 【悪影響④】自己肯定感が損なわれる
    5. 【悪影響⑤】自己主張や自己選択ができなくなる
  3. 脅し言葉に頼らない子どもへの声かけ
    1. ①ダメと言う場合は理由を説明する
    2. ②子どもの欲求を一度は受け止める
    3. ③子どもに譲歩しながら選択肢を与える
公園遊びに夢中になって、「もう帰るよ」と声を掛けてもなかなか帰ろうとしない。せっかく栄養バランスを考えた料理を作ったのに、野菜を全部残す…。子どもを育てていると、親の望むとおりに行動してくれなくて困ることがけっこうありますよね。

そんな時、つい「いつまでも遊んでるなら、先に帰るぞ!」「野菜をちゃんと食べないと、もうお菓子をあげないからね」といった即効性のある言い聞かせを無意識にしてしまいがち。しかし、こうした“脅すしつけ”は「ダブルバインド」と呼ばれる望ましくないコミュニケーションの一種で、注意が必要なのです

そこで今回は、ダブルバインドの典型である「脅し育児」のデメリットと、脅し言葉に頼らないしつけについて考えてみましょう。

子育てでやりがちな「ダブルバインド」とは?

ダブルバインド(二重拘束)とは、アメリカの精神科医グレゴリー・ベイトソンが1956年に提唱した理論。2つの矛盾した命令やメッセージを受けた人が、どうしていいかわからない心理状態に陥ることを指します。

例えば冒頭に挙げた親の声かけは、「家に帰りなさい」「先に帰るぞ」、「野菜を食べなさい」「もうお菓子をあげないよ」という、それぞれ相関性のない二重の拘束(命令と脅し)で子どもを混乱させてしまっていて、最終的には本人が望まない脅しを避けて「家に帰る」「野菜を食べる」という命令に従わざるを得ないようにしています。

また今回のテーマである“脅し”からは外れますが、「将来は好きな進路を選んでいいよ」と言っていたのに子どもから具体的な目標を聞かされるや「その職業は良くないよ」と否定したり、スーパーで「好きなお菓子を1個買っていいよ」と言っておきながら高いお菓子を選んだら「そのお菓子はダメ」と却下したり…といった矛盾した対応もダブルバインドの典型です。

即効性のある「脅し育児」の落とし穴

こうやっていくつか例を見ていくと、おそらく誰もがダブルバインドや脅し育児について「一度はやったことがあるかも」と心当たりがあるのではないでしょうか? しかし、こうした不健全なコミュニケーションを“しつけ”と勘違いして繰り返していると、子育てや子ども本人への次のような悪影響が心配されます。

【悪影響①】脅しはしつけにならない

少し前に話題になった「鬼から電話」(怖い形相の鬼が仮想電話で言い聞かせをするスマホアプリ)もそうですが、「~しないと〇〇だぞ」といった脅しや恐怖心に訴えかけるような言葉で子どもが言うことを聞いても、それは「従わないと自分が困るから/怖いから」という条件反射的な対応であって、教育的なしつけとして定着しているわけではありません。本質的には問題行動が改善されておらず、結局は言う方も言われる方も同じことを繰り返すことになるでしょう。

【悪影響②】脅しの効力が落ち、親子の信頼関係がなくなる

最初のうちは脅し育児を真に受けていた子どもも、成長して知恵や理解力がついてくると「これは嘘/脅しだな」と気づき、脅しの効力がなくなっていきます。それよりもっと怖いのは、「口ではこう言ってるけど、本当は違うことを思っている」「僕/私に本当の気持ちを話してくれない」と、子どもが親を信頼しなくなっていくことです。

【悪影響③】親の真似をして子どもが“脅す側”になる

脅し育児でしつけられた子どもの頭には、「脅せば相手は言うことを聞く」という経験則が刷り込まれ、コミュニケーションの手段として用いるおそれがあります。そうすると、「おもちゃを貸してくれなかったら、もう一緒に遊んであげない」と友だちを突き放したり、「ゲームを買ってくれなきゃ勉強しない」と親に反抗したり、自分が他人にしてほしいことを求める時に脅し言葉を使うようになりかねません。

【悪影響④】自己肯定感が損なわれる

脅し育児やダブルバインドで“親への服従”を強いられていくうちに、やがて子どもは「親の言うことには逆らえない」「自分の意見を言ってもどうせまた叱られたり否定される」といった不安や無力感に支配され、自己肯定感を失わせるおそれがあります。

【悪影響⑤】自己主張や自己選択ができなくなる

脅し育児で親の命令に従う習慣がついてしまうと、また自己肯定感が損なわれて自分自身や自分の考えに自信が持てなくなると、自己主張のできない消極的な子になる懸念があります。また、選択の余地のない言い聞かせを受け続けることで、自己選択や自分で考えることをやめてしまうようになるかもしれません。

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