『ハイジ アルプスの物語』 | 天真爛漫な少女が教えてくれる“生きる喜び”

『ハイジ アルプスの物語』 | 天真爛漫な少女が教えてくれる“生きる喜び”

育児

あの名作アニメの感動を現代の子どもたちにも届けたい


今のパパママ世代なら、幼い頃に一度はテレビで見たであろう名作アニメ『アルプスの少女ハイジ』。ここ数年は某会社のCMキャラクターとして目にする機会が多いですね。


自分たちと同じようにハイジの物語の感動を子どもたちにも受け取ってほしいけど、一昔前のアニメを視聴する機会は限られるし、全52話を1エピソードずつ気長に見ていく時間の余裕もない…。


そんなパパママにオススメの作品として今回は、物語の舞台である本家本元のスイスで2015年に映画化された『ハイジ アルプスの物語』をご紹介します。


日本人が昔見た記憶そのまま──可愛くて無邪気なハイジ


今回ご紹介する映画版と日本のアニメ版はいずれも、1880年にスイスの作家ヨハンナ・シュピリが発表した小説『アルプスの少女ハイジ』が原作。そのため、映画版のキャラクターも舞台設定も、基本的にはお馴染みのアニメ版と同じ。


両親を亡くし叔母に育てられた幼い少女ハイジは、アルムの山小屋に一人で住むおんじに預けられることに。ハイジは、おんじやヤギ飼いの少年ペーター、そしてアルプスの高原に生きる動物たちとの交流を通じて健やかに育っていきます。

そんなある日、叔母が再び山を訪れ、足の不自由な令嬢クララの遊び相手を探していたフランクフルトの貿易商・ゼーゼマン家へとハイジを連れて行ってしまうのです──。


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今回の映画は原作小説を忠実に再現したそうですが、意外にもアニメ版とさほど印象が違いません。それもそのはず。高畑勲監督の日本版アニメはヨーロッパでも繰り返し放送されていて、監督のアラン・グスポーナーはその影響を大きく受けて育ったのだとか。

険しくも美しいアルプスの風景はもちろん、髪が短くいつも笑顔のハイジ、ヒゲ面で一見気難しそうだけど心優しいおんじなどのキャラクター像は、すべて日本版アニメが原点になっているそうです


自然豊かな高原で無邪気に遊んだり、干し草のベッドに寝転がったり、トロリと溶けたチーズをのせたパンを頬張ったり…などなどハイジが繰り広げる名シーンの数々もアニメ版の記憶そのまま!

ちなみに「クララが立った!」のいきさつがアニメ版と異なりますが、これは映画版の方が原作に忠実なのです。


また、映画は2時間程度に収めなければいけないので若干駆け足なところもありますが、初めてアルプスに足を踏み入れ、都会に連れ出されクララと親友になり、山が恋しくてホームシックになり…という全体の流れもアニメ版とほぼ同じ。


世間と離れて山で暮らすおんじが再び人を信じられるようになり、足が不自由でふさぎこんでしまったクララが明るさを取り戻すなど、心優しいハイジの無垢な心に触れた人々が幸せに変わっていく姿を通じて、人を思いやる大切さを誰もが実感できることでしょう(白パンを巡るエピソードは感涙必至!)。


実写だからリアルに受け止められる普遍的なメッセージ


そして何よりこの作品が実写であることも、見る者に強い感動を与える大きなポイントです。


アニメの絵柄はどうしても時代と共に古臭さを感じさせたり、また架空の世界の絵空事というフィルター要因にもなってしまいがち。

その点、実写だとたとえ異国が舞台でも“自分たちが生きている世界の出来事”として身近な印象を与えてくれます。


雄大なスイスアルプスの景色が感じさせる「自然と生きる癒やしや喜び」、豊かな自然の中で伸び伸びと育つハイジが体現する「子どもが子どもらしく生きる素晴らしさ」といった普遍的かつ尊いテーマが、実写ならではのリアルな説得力で大人はもちろん子どもにも分かりやすく届くはず


古典児童文学と傑作アニメ──長い歳月を経て現代まで受け継がれてきた感動とメッセージを、その世界観を忠実に再現した実写映画から家族みんなで受け取ってみてください。


『ハイジ アルプスの物語』(2015年) /スイス・ドイツ/ 上映時間:111分

© 2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film GmbH