【男の育休ファイル】共働きパパの育休体験!「引き継ぎ型」の育休スタイルとは?

【男の育休ファイル】共働きパパの育休体験!「引き継ぎ型」の育休スタイルとは?

育休

育児休暇の取得を計画しているパパの参考に、育休取得経験のある先輩パパたちの経験談をお伝えしていく「男の育休ファイル」


今回は、職場復帰するママからの育休バトンタッチにあたって家事育児の引き継ぎ期間を設ける、「引き継ぎ型」のスタイルを選んだ安田さんにインタビュー。家事育児を楽しみながら、仕事と家庭生活の両立に奮闘してきた貴重な体験談を、育休前・育休中・育休後に分けて詳しく伺っていきます。



【育休前】職場の理解を得られるよう「共働きなら共育て」という価値観を共有


─育休を取得しようと思ったきっかけは?

「育児も仕事も楽しむ」という生き方に興味があり、先輩育休パパに相談したところ、1カ月以上の育休取得を勧められたことがきっかけです。「取得しても後悔することはない」という言葉にも背中を押されました。


─数ある育休タイプから「引き継ぎ型」を選んだ理由は?

妻と共働きで子育てするための育休スタイルを検討した結果です。私が仕事に出かけている日中の過ごし方がよく分からなかったので、妻が職場復帰する前に教えてもらう必要があると考え、引き継ぎ型を選びました。


─第1子も第2子も同じ「引き継ぎ型」を選ばれた意図は?

1回目の育休が引き継ぎ型でうまくいったので、2回目も同じタイプを選び、2週間の引き継ぎ期間を設けました。


ただ、次女の時はすでに夫婦で家事育児のやり方を共有できていたので、引き継ぐことはほとんどなく2週間が長く感じました。引き継ぐどころか逆に家事育児の取り合いになり、喧嘩が増えてしまったのはちょっと失敗でしたね。


─第1子と第2子の育休期間は同じですか。

いえ、長女が約4カ月、次女が約2カ月半です。子どもが早生まれだったため、保育園へ入園するまでの育休期間は1年を超えてきます。キャリアへの影響について夫婦で相談し、私の仕事のキリの良いところで妻と育休を交代することにしました。


─会社にはどのタイミングで育休を申請しましたか?

妻が安定期に入ってから育休について軽く打診し、スタート時期や期間などの具体的な相談は育休希望日の3カ月前から始めました。


打診の段階では、まだ子どもが生まれていないしスタート時期まで時間があるため、会社も育休へのイメージがつきにくいようでした。それでも事前に打診しておいたおかげで、スムーズに手続きを進められました。


─育休取得をすると決めた際の周囲の反応は?

驚かれましたが、否定もされず、という不思議な反応でした。


職場で育休取得経験者はほぼゼロだったのでもっと驚かれると思ったのですが、意外に平気でした。友人は「へぇ〜」という感じでしたね。長女の時にはちょうど世間がイクメンブームだったので「あぁ、こういう人もいるんだね」と理解されやすかったのかもしれません。


─育休取得や業務引き継ぎをスムーズに行えるよう工夫したことはありますか。

「共働きなら共育て」という私の価値観を共有してもらえるよう、なぜ育休が必要なのか職場でプレゼンしました。


意外なことにお孫さんのいらっしゃる大先輩から「自分たちの頃は仕事ばかりで育児に関われず、今でも妻からチクチク言われる」「子どもはあっという間に大きくなるから、今のうちにやりたいことをやっておいた方がいいよ」など好意的な意見をたくさんもらいました。


育休期間中に発生する業務については「引き継ぐ」「復帰後に再開する」「中止する」などに選別。自分にしかできないと思っていた仕事は意外なほど少なく、キャリアを見直すきっかけにもなりました。


─ご自身の体験から「こうすればみんなが育休を取得しやすい環境になる」と感じたことはありますか。

育休取得によって職場から働き手が1人抜けることは痛手かもしれません。しかし、今は女性の社会進出が進み、育児に積極的に関わるパパが増え男性の家庭回帰も進んでいます。そんな中でパパ育休というのは自然にありえる選択。上司のマネジメントや同僚のフォロワーシップによって、職場というチームで乗りきろうというマインドが重要だと思います。


そのためにも職場の理解づくりは必要だと実感しました。もちろん復帰したら職場への感謝だけでなく、後輩がパパになったら逆に手助けする「恩送り」も忘れないようにしたいですね。



【育休中】子どもと1日中過ごす生活リズムをつかむまで悪戦苦闘


─育休中の家事育児に対して不安はありましたか?

出産前から妻と家事を分担していて、一人暮らしが長かったこともあって料理も得意なので、不安はありませんでしたね。細かい部分までの掃除は苦手でしたが「生活できればいいや」くらいの気持ちで臨みました。


─育休中はどんな生活を過ごしていましたか?

子どもと1日中ベッタリ過ごす生活リズムをつかむまでが大変でした。まず泣いている理由が分からない。おむつを替えても授乳しても泣き止まない。


困って散歩に出かけたら泣き止む…。何もかも手探り状態でした。子どもも慣れないパパとの生活に手間取っていたのだと思います。毎日がドタバタで妻の休日が待ち遠しく、「黄昏泣き」や「夜泣き」で家の近所を徘徊したのは今となっては懐かしい思い出です。


─ママが不在の間、1人ですべての家事育児を担当するのは大変そうですね。

子どもとの生活リズムがつかめてからは、昼寝の間に家事を行い、それ以外の時間には一緒に遊んだり外出したりと毎日が充実していきましたよ。初めてのつかまり立ちの瞬間に立ち会えた感動は、今でもハッキリ覚えています。


─育児の疑問や悩みをどのように解消しましたか?

基本的には妻が相談相手でした。他にはインターネットで調べたり、同時期に育休を取得していたパパ友と連絡を取っていました。


─職場復帰している奥様とはどのようにコミュニケーションを取っていましたか?

職場復帰直後は午前・午後と状況報告を行っていましたが、仕事の邪魔になるし早く職場に慣れてほしかったので、よほどのこと以外は連絡を控えるようになりました。

その分、帰宅したらその日の出来事をたくさん話していたようで「育休に入ってから、ビックリするほどよくしゃべるね」と妻から指摘されました。


【育休後】働き方、人生における役割…新しい変化や発見のきっかけに


─育休後の平日の一般的なスケジュールを教えてください。

以前より通勤時間が長くなり、週2日の在宅勤務を併用しながら仕事と家庭生活を両立しています。保育園への送り迎えは、出社日は妻、在宅勤務日は私の担当。いずれの勤務パターンも私が晩御飯の準備を行い、風呂上がりに家族で食卓を囲めるようにしています。


─通勤時間が長いのに晩ご飯の準備をするには、けっこう早く退社する必要があるのでは?

はい。夕方6時半に帰宅できるよう、4時半に退社しています。


─早く退社できるよう意識していることはありますか。

仕事に求められているレベルや納期を確認し、どう進めれば時間内に終えられるのか考えながら業務を組み立てるように変えました。内容によっては納期やレベルを調整したり、人員を増やしてもらうこともあります。


また、進行中の仕事も上司や同僚と共有し、相互にフォローし合えるよう心がけています。結果的に仕事の“見える化”につながり、よりスムーズに進められるようになりました。


─育休を経て仕事への価値観は変わりましたか。

育休前の引き継ぎ業務の仕分けでも気づいたのですが、自分がいなくても仕事がまわっていくことを復帰後に改めて知り、軽くショックを受けましたね。


一方、仕事を引き継いでくれた後輩がたった数カ月でたくましく成長していて、「任せることで人は育つんだな」と感激しました。私自身も、育休中に仕事と距離を置いたことで、純粋に仕事を楽しめるようになりましたよ。


─育休によってお子さんとの関係は変わったと思いますか?

育休中に1日中一緒にベッタリ過ごせたおかげで、子どもとの距離が一気に縮まりました。育休後も子どもの体調や成長などによく気づくようになったと思います。子どももママとパパをうまく使い分けているようで、力遊びやお出かけなどはパパにおねだりしてきます。


─今振り返ってみて、育休を体験して良かったと思えることはありますか。

人の命を預かることの意味を実感できた貴重な体験でした。また、子育てを通じて自分の人生を振り返ることができ、親にも感謝の気持ちでいっぱいです。


今まで主に職業人として生きてきたのですが、結婚して配偶者という役割が増え、さらに子どもを持つ親として、さらに地域人として…と人生におけるいろいろな役割に気づくことができました。


育休を取らなかったら気づけなかったかもしれないと考えるとゾッとします。もちろん純粋に育児の楽しさにもハマり、「これを妻に独り占めさせたくない!」と思いました。


─今後の家事育児における目標は?

子どもが困らないよう、ついつい親が先回りしてしまうことがあるので、「子どもに合わせる」「子どもができるまで待つ」といった子どもの力を引き出せる親になることが目標です。そして、子どもが巣立って再び2人きりの生活になる日をイメージしながら、今から夫婦のパートナーシップを深めていきたいと思います。



育休は家族のために取得するものという意識がありましたが、それだけでなく、安田さんのように仕事のスタイルや人生の価値観を変えるきっかけにもなるというのは新しい発見でした。「共働きなら共育て」というスタンスがもっと広く定着し、より多くの人が育休のメリットを体感できるといいですね。


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