
うんちのにおいから動物についての学びを深める!グッドデザイン賞に輝いたWWFジャパンの教育プログラム「くんくんPlanet」
小さい時に好きだった食べ物や、昔住んでいた部屋のにおい…。
人間の記憶とは不思議なもので、学んで得た知識は忘れやすいのに、あるにおいを嗅いだ瞬間に「ああ、子どもの頃に縁日でよく食べたな」なんて昔の記憶が呼び覚まされることがありますよね。
それほど記憶と強いつながりを持つにおいを学習に取り込んだら、学びのテーマに対する子どもたちの印象や理解がもっと深まるのでは?
そうした効果に期待を寄せた教育プログラムであり、2019年度グッドデザイン賞にも輝いた「においでめぐる動物園―くんくんPlanetに出かけようー」を今回はご紹介します。
においを「かぐ」「表す」「学ぶ」、五感を刺激する体験型の教育
「においでめぐる動物園―くんくんPlanetに出かけようー」は、動物たちのうんちのにおいからその生態を探る教育プログラムで、においと記憶をテーマとして活動する美術作家・井上尚子さんの協力を得て開発したものです。
■くんくんPlanet紹介ビデオ
この教育プログラムでは、絶滅危機種の動物のうんちのにおいを嗅ぐという五感を刺激する「体験」をした後、においを言葉に「表現」したうえで、野生動物の生態や生息環境についての知識を「学ぶ」という学びのプロセスがデザインされています。
ここには、「体感」と「知識」を結びつけることで、環境保全の意識を喚起しようとするユニークさがあります。形式は、小学生高学年限定のワークショップと、誰でも参加できるスタンプラリーの2種類。
2017年11月によこはま動物園ズーラシアで実施したのを皮切りに、東京都、大阪府、沖縄県などの動物園と共催し、多くの参加者から好評を博してきました。今後も動物園等の協力を得ながらプログラムを実施していくそうです。
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グッドデザイン賞で評価された理由は?
「くんくんPlanet」がグッドデザイン賞に評価されたポイントを、審査員は次のように評しています。
「生物の多様性と生態系のつながりを、「糞の臭い」というユニークな視点で実学的な教育に展開している企画として大変面白い取り組みだ。つながりの可視化の仕方やインターフェース、あるいはブランディングをさらに突き詰めると、日本中の動物園で実現可能なプログラムに発展できそうな気がする」
グッドデザイン賞の受賞に際して、本プログラムを開発したWWFジャパンの普及啓発教育担当の松浦麻子さんは次のように語っています。
「いまだ解決への道のりが遠い環境問題は、今や教科書でのお勉強の1つとなり、知識として扱われがちです。本当の解決のために、知識だけでなく五感で自然のことを体感し、理解を深めてほしい。そんな思いから生まれたこのプログラムに、これからも多くの方に参加していただき、楽しい学びの先にある環境問題解決への第一歩を踏み出してほしいと期待しています」
また、開発協力者である井上尚子さんも次のようにコメントを寄せています。
「プログラム開発当初から松浦さんはじめWWFの皆さん、動物園、学生スタッフと素晴らしいチームワークで制作・実施を続け、参加者へ学び多き場を提供でき誇りに思います。今後も幅広い地域、世代の方々に届けられましたら嬉しく思います」
なお「くんくんPlanet」は10月14日(月・祝)に京都市動物園、11月17日(日)によこはま動物園ズーラシアにて実施予定です(いずれもスタンプラリー形式)。
記憶に残りやすい“におい”をきっかけに、子どもが環境問題への関心と理解を深める“実のある学び”として、ぜひパパと子どもで参加してはいかがでしょうか。
【「においでめぐる動物園 ―くんくんPlanetに出かけよう―」開催概要】
①京都市動物園
日程:2019年10月14日(月・祝) 時間:10:30~15:30
場所:京都市動物園(京都市左京区岡崎法勝寺町 岡崎公園内)
参加費:無料(別途動物園への入園料が必要)
人数:500名
対象:どなたでも参加可能
※小学生以下の方は保護者同伴※推奨年令は小学校3年生以上
主催:WWFジャパン 共催:京都市動物園
企画協力:井上尚子(美術作家)
イベントページ https://www.wwf.or.jp/event/organize/4054.html
②よこはま動物園ズーラシア
日程:2019年11月17日(日) 時間:10:30~15:30
場所:よこはま動物園ズーラシア(神奈川県横浜市旭区上白根町1175-1)
参加費:無料(別途動物園への入園料が必要)
人数:500名
対象:どなたでも参加可能 ※小学生以下の方は保護者同伴 ※推奨年令は小学校3年生以上
主催:WWFジャパン 共催:よこはま動物園ズーラシア
企画協力:井上尚子(美術作家)