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『ボス・ベイビー』 | 笑える兄弟バトルに隠された家族円満のヒント

“赤ん坊なのに中身はオッサン”なギャップでツカミはOK

 

子どもが夢中になる物語には、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは、ベタなスリルやユーモアをひたすら畳みかけて本能的に興奮させる、ストレートな娯楽作。もう1つは、感情移入しやすいキャラクターに自分を重ね、その喜怒哀楽をディープに追体験できる人間ドラマです。

この2つの要素を兼ね備えた最強のファミリーアニメ。それが、中身はオッサンな赤ん坊の大暴れを描いた、現在劇場公開中の映画『ボス・ベイビー』です。

 

“外見はキュートなのに中身はオッサン”なキャラクターといえば、毒舌の中年テディベアこと『テッド』が記憶に新しいですが、本作の主人公一家に生まれた“ボス・ベイビー”もそのギャップで負けていません。

赤ちゃんなのになぜかビジネスマンのように黒いスーツ姿で(しかも両親はその服装を気に留めない!)、実は歩いたり大人の声でしゃべることができ、命令口調で人使いも荒い。しかもジャンクフードが大好きという根っからのオッサン。それなのに大人の前ではその本性を隠して赤ちゃん言葉でキュートに振る舞うのだから、誰だってメロメロになること間違いなし!

 

突然お兄ちゃんになった子どもの本音

 

コメディアニメとして十分パワフルなこの映画、実は子どもこそ共感できるテーマが込められているのです。

7歳の少年ティムは一人っ子で、それまでは両親の愛情を一身に浴びていましたが、ボス・ベイビーが生まれたことで突然お兄ちゃんになり、すべての関心を弟に奪われてしまいます。ボス・ベイビーの正体暴きに躍起になりながら、なんとか両親の気を引こうとするティムの涙ぐましい努力を見ていると、兄弟や姉妹のいる子どもなら誰もが「その気持ち、分かる」「僕だけじゃなかったんだな」と自分のことのように思えるはず。

 

そうやって心を動かされるのは子どもだけではありません。ついつい下の子にかかりっきりなパパママだって「自分たちも上の子にこういう不満や我慢をさせていたかも…」とふと気づかされ、親子のコミュニケーションや愛情表現について考え直そうと思えるのではないでしょうか。

 

そしてこの映画の素晴らしいところは、兄弟を“両親の愛情を奪い合うライバル”のままで終わらせないことです。実はボス・ベイビーはある任務のためにこの世にやって来ていたのですが、あるきっかけでティムと利害が一致し、共通の目的のために奮闘する名コンビとなります。

いつの間にか深い絆で結ばれていく2人を見ていると、楽しさも悲しさも分かち合い、苦しい時には支え合える兄弟っていいな、と子どもだって心の底から思えるはずです。

 

大人も深く考えさせられるテーマ性にドッキリ

 

この映画のもう1つのキモは、人気アニメスタジオのドリームワークスが手がけた作品ということ。

ドリームワークスといえば『シュレック』など、大人を楽しませるブラックユーモアや遊び心が利いていて、また深いテーマを内包した秀作の宝庫。この映画でも“ある設定”を通じて、犬や猫を人間の家族のように溺愛する、過熱気味なペットブームに問題提起を投げかけています。もし少子化が今以上に進み、ペットと子どもが“大人の愛情を奪い合うライバル”になったら…そんな将来起こりうる未来に思わず想像を膨らませるのも興味深いですよ。

 

子どもが素直に共感でき、その心にパパママが寄り添うことで親子の絆も深まる。さらに大人が深く考えさせられるメッセージも込められた、まさに家族で見るべきアニメ映画をぜひお楽しみください。

 

『ボス・ベイビー』(2017年) /アメリカ / 上映時間:98分

© 2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

 

「家族みんなで楽しめる映画」過去の記事はこちら>

上村 真徹(ライター・編集者)

上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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