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『逃げ恥』に学ぶ“チーム夫婦”のススメ 後編 | 白河桃子先生インタビュー

前回のインタビューでは『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(※)の共同著者である少子化ジャーナリスト・作家の白河桃子先生に、経済的なメリットを交えて、夫婦で家庭を共同経営する“チーム夫婦”の意義を語っていただきました。


では、実際に夫婦で家庭を共同経営するにはどうすればいいか? その大きな課題となる家庭の無償労働=家事育児を上手くシェアできるヒントについて、今回もTVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(以下『逃げ恥』)を参考にしながら伺っていきます。


「『逃げ恥』に学ぶ“チーム夫婦”のススメ 前編」はこちら>


家事育児の分担は意識改革から始まる


─“チーム夫婦”として家庭を共同経営していけるよう、家事や育児もお互いが納得して分担できるといいですよね。

以前フィンランドの男性に「私が家事育児をするので、あなたはしっかり稼いできてね」と女性に言われたらどう感じるか尋ねたところ、「なぜ僕から家事や育児の権利を奪おうとしているのか?と思うでしょうね」と不思議な顔をしていました。


─「権利」だと思うと、もっと楽しまないと損な気がしてきます。各々の家庭に合った夫婦の分担ができるようになるには、何がカギになるのでしょうか。

男性も家事育児に取り組める時間を増やせるよう、企業はもっと早く社員を家庭に帰らせてほしいですね。個人が「早く帰ろう」と意識改革をしても、会社という組織の中で行動に起こすことはなかなかハードルが高いですから。その改善策として、働き方改革の行方に注目しています。“働き方改革”は“暮らし方改革”でもあり、働き方が変わらないと生活も変わりません。


─“働き方改革”は“暮らし方改革”、納得です。最近では働き方改革を進める企業や、育休を取得する男性も増えているように感じます。

すごくいい取り組みだなと私が感心したのが、フランス政府が制度化している“男の産休”。出産時に男性も14日間の産休を取得することで、子どもを受け入れる心構えと父親になるための準備を積むことができるようになっています。


─パパになるための短期合宿のようなものですね。

こうした取り組みの最大のメリットは、夫婦が一緒に子育てのスタートラインに立てること。日本の男性も短期間でもいいから産休(有休)を取得し、子どもが生まれる瞬間を妻と迎え、ゼロから一緒に育児を始めることをオススメします。


“共同経営者会議”って、どんなことを夫婦で話し合えばいいの?


─無償労働の経済価値など『逃げ恥』で注目されたポイントを前回のインタビューでお話いただきましたが、『逃げ恥』の中で実際に家庭で活用できる取り組みはありますか?

例えば、家族にとってベストな家事育児の進め方を相談したり、同じビジョンを共有しあうことも大切です。そこで、みくりと平匡のように週1回のペースで“共同経営者会議”を実施することをオススメします。


─会社の会議のような名前ですが…どんな内容や方法で行うものでしょうか?

家事のシェアをめぐってありがちなトラブルが、家事の大変さを察してくれない夫に対して妻が「なんでやってくれないの?」と不満だけぶつけてしまうこと。夫婦お互いがウィンウィンになれるように「こうしてほしい」「こうしたい」と具体的な方法を交渉しあうといいですよ。


─ せっかくの共同経営者会議で喧嘩になってしまうと辛いですからね。特に家事のやり方の違いでつい言い争いになってしまうこともあると思うのですが、話し合いでうまく解決できるポイントはありますか?

「趣味やこだわりとしての家事」と「最低限必要なタスクとしての家事」を線引きすることです。例えば食器洗いで考えると、「食器は自然乾燥しかダメ。水が切れるように水切りカゴへの置き方も工夫する」というのは「趣味・こだわり」、「使った食器を洗って、次の食事の時にすぐ使えるような状態にしておく」ことが「タスク」です。


─ 確かに「タスク」としての家事で十分だと考えたら、このやり方でなければ…という負担感やハードルは一気に下がりますね。

昭和の専業主婦が行っていたような完璧な家事をこなさなきゃ、と思っている女性にとって、男性が洗った食器を無造作に置いてしまうと不満になるでしょうね。そこで考えてほしいのは、何のために家事を行うのかということです。その意味を踏まえた上で、「ここまでやれば目的を達成できるから十分」という最低限の家事レベル認識を合意できるまで話し合うといいですよ。


─パートナーに「そんなやり方じゃない」とダメ出しされ、モチベーションが下がったり喧嘩になるというのもよくあるトラブルですが、その解消法はありますか?

タスクとして目的を達成できているのであれば、お互い口を出さないようにするというのも一つの手段です。自分の言うままに家事をやってくれる“お手伝いさん”が欲しいのか、それとも自主的に動いてくれる“頼れるパートナー”が欲しいのかを考えたら、おのずと答えは決まってきますよね。


─あれこれ指図されたり自分のやり方に文句を言われなければ、家事の自信がつきますね。

やり方に口を出さないというのは、家事の権限を委譲するということ。以前、社会起業家の駒崎弘樹さんから聞いた話なのですが、家庭での時間を有効に使えるよう「好きなやり方で家事をやりたい」と妻に権限委譲を求めたそうです。例えば効率的な食器の洗い方をいろいろ試し、それこそストップウォッチで所要時間まで計測して(笑)、最終的には「食洗機に投資する価値がある」と判断して導入したそうです。


─徹底した効率重視の発想ですね!

実際に自ら手を動かすだけが家事ではありません。どちらか一人に任せず夫婦で一緒に“自分ごと”として家事を考えた上で、家庭内だけでなく外部も含めて使えるリソースを比較し、家事代行サービスや時短家電を利用する。それも立派な家事シェアです。自分にとっての効率的なやり方を追究したり、外部サービスの導入などを選べるよう、家事の権限委譲を男性から積極的に求めるのもアリですよ。


─そうした交渉や意見のすり合わせの場として共同経営者会議が重要になりますね。

日々の家事育児についてはもちろん、家庭の将来的な展望についてもぜひ話し合ってみてください。たとえ夫婦で価値観が異なっていたとしても、目指すところが同じであれば大丈夫。『逃げ恥』の最終回で、みくりと家事分担について話し合う場面で平匡は次のようなセリフを残しています。

「話し合ったり、無理な時は時間を置いたり、だましだましでもやっていけないでしょうか。やってやれないことは、ないんじゃないでしょうか」

(※)『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(著者:白河桃子・是枝俊悟 出版社:毎日新聞出版)


完璧な家事シェアのバランスやライフプランを構築したとしても、そのまま永遠に持続できるとは限りません。家庭のライフステージやお互いの状況の変化に応じて、柔軟に変化していけばいいのです。お互いに納得のいく“チーム夫婦”の体制を作り上げていってください。


「『逃げ恥』に学ぶ“チーム夫婦”のススメ 前編」はこちら>

「逃げ恥」にみる結婚の経済学

(※)『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(著者:白河桃子・是枝俊悟 出版社:毎日新聞出版)


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白河桃子先生 | 家men

白河桃子(少子化ジャーナリスト)

少子化ジャーナリスト・作家・相模女子大学客員教授。

東京生まれ。慶應義塾大学文学部社会学専攻卒。2008年に山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱し、19万部発行のベストセラー『「婚活」時代』(ディスカバー携書)などを出版。女性のライフキャリア、女性活躍、男女共同参画、働き方改革、ワークライフバランス、ダイバーシティまで幅広いテーマに取り組んでいる。近著に『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(毎日新聞出版)『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』(PHP新書)など。


家men編集部

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この記事は家men編集部がお届けしました!男性視点で家事や毎日がもっと楽しくなるような情報を発信していきます!

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