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『gifted/ギフテッド』 | 子どもに必要なのは英才教育か、子どもらしさか

答えのない子育てに迷うすべての大人へ


子どもが才能を伸ばせるよう見守り、時に手を差し伸べてあげるのは、親にとって大きな務め。とはいえ、子どもの可能性というのは一人ひとりで異なり、その導き方に「これ」という明確な公式はありません。


そんな答えのない子育てに迷えるすべての親に少なからずヒントを与えてくれそうな映画として、今回は『アメイジング・スパイダーマン』シリーズをヒットさせたマーク・ウェブ監督によるハートウォーミング・ドラマ『gifted/ギフテッド』をご紹介します。


特別な才能を授かった少女にとっての幸せとは


先ほど『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのマーク・ウェブ監督作とご紹介しましたが、映画ファンにとっては“『(500)日のサマー』の監督作”と言われた方が、この作品の個性がよりイメージしやすいかもしれません。


天才数学者だった亡き姉の娘メアリーを引き取り、フロリダの海辺の街で静かに暮らすフランク。彼はメアリーが母から受け継いだ天才的な数学の才能に気づきつつも「普通の子どもと同じように育ってほしい」という姉の遺志に従い、メアリーも叔父を実の父親のように慕ってのびのび成長してきました。

そんな中、メアリーの祖母が孫の才能を伸ばすために英才教育を施すべきと主張し、息子のフランクと衝突。祖母はメアリーとフランクを引き離すために親権争いの裁判を起こし、やがてフランクの心の中にも「メアリーが一番幸せに育つのは、どんな環境なのか」と迷いが生じていきます。


神から特別な才能=ギフトを授かった少女の子育て、と聞くと、自分とは縁遠い世界の話と思う人もいるかもしれません。

でも、近年は日本でも幼い頃からの英才教育の是非について議論が白熱していて、フランクが直面する事態は決して他人事ではありません。「果たして自分の子育ては正しいのか」「この子には別の育て方が合っているのでは」というフランクの迷いと葛藤は、親なら誰もが共感できるはず。

しかもこの迷いには正しい答えがないため、見ていて心が痛くなることでしょう。


こうした葛藤のドラマがとりわけ胸に迫るのは、叔父と少女の結ぶ絆が本当の親子のように強いからこそ。

叔父を演じるクリス・エヴァンスはアメコミヒーロー映画『キャプテン・アメリカ』が代表作ですが、この作品ではそのイメージを一切感じさせず、等身大の人間的な心の温もりがたっぷり。またエヴァンスは少女役のマッケナ・グレイスとカメラが回っていない間も仲良くじゃれ合い、親密な関係を築くと同時に、彼女からキュートで豊かな感情表現を引き出しています。


本当の親子のような絆で結ばれた2人が見つけた“答え”とは


子育てに失敗したくない!と願う親にとって、もしかすると英才教育というのはある種の保険のようなものかもしれません。

もちろん子どもが何らかの技能や能力を持っていたら、それを伸ばしてやりたいと思うのは親心でしょう。でもその前に、子どもだって一人の人間であることは忘れないで──フランクとメアリーの“親子”がそう伝えてくれているような気がします。


大人が管理する高度な教育環境の中で才能を伸ばすべきか。子どもらしい無邪気さや人間的な心を育ませるべきか。物語の最後にフランクは、苦しみ抜いた末に一つの答えを見出します。もちろん、その形だけが正解とは決まっていません。

彼の選択について家族や夫婦で話し合い、自身の家庭を含めて子どもの教育のあり方について考えてみませんか。


『gifted/ギフテッド』(2017年) /アメリカ / 上映時間:101分

Photo by Wilson Web


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上村 真徹(ライター・編集者)

上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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