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『パパはわるものチャンピオン』 | 頑張る父の背中を子どもに見せる意義

自分の仕事を子どもに語ったことはありますか?


家が自営業でもない限り、「自分の親がどんな仕事をしているかよく知らない」という子どもは、今も昔も少なくないようです。

OECDの国際学力調査「PISA 2006」によると、高校1年生の約6人に1人が「父親の職業をよく知らない」とか。


「家庭に仕事を持ち込みたくない」「仕事の内容をうまく説明できそうにない」などなど、自分の職業について子どもと話さない理由はさまざまでしょう。


でも、子どもにとって親は人生のモデル。たとえどんな仕事であっても、日々頑張って働く姿や思いを伝えることは、プラスになってもマイナスにはなりません。

逆に、親が休日に家でのんびりしている姿しか知らなかったら、子どもが自分の将来を思い描いたり、親のことを尊敬するのは難しくなるかも…。


そこで今回は、仕事について子どもと語り合うきっかけになる映画をご紹介します。

9月21日から劇場公開される、悪役プロレスラーとその息子の絆を描いた『パパはわるものチャンピオン』です。


父親の仕事が“憎まれ役”だったら…


プロレス界のトップに登りつめた大村孝志は、ヒザに大ケガを負ったせいでエースの座から転落。

今は悪の覆面レスラー“ゴキブリマスク”に扮して、観客からブーイングを浴びる日々。

9歳になった息子の祥太に「パパの仕事は何?」と質問されても、自慢しづらい自らの仕事を打ち明けられずにいました。


ところがある日、ゴキブリマスクが自分の父親だと祥太にバレて「悪者のパパなんて大嫌い!」と言われてしまいます。

そんな失意の矢先に、ベビーフェイスのトップである王者ドラゴンジョージとタイトルを争うチャンスが到来。

孝志は自らのプライドと家族のために、キャリアを懸けた大一番に挑みます。


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主人公のゴキブリマスクこと大村孝志を演じるのは、新日本プロレスの現役トップレスラー、棚橋弘至。

実は、原作となった同名絵本ではドラゴンジョージのモデルとして描かれていたので、ゴキブリマスク役で出演オファーを受けて「逆だろ!」とビックリしたとか。


それでも、さすがは数々の栄光と挫折を体験し、罵声を浴びる屈辱も乗り越えてきたトップレスラー。複雑な葛藤を抱える悪役レスラーに見事に成りきり、白熱の試合シーンと相まって、本職にしか出せない説得力を映像に込めています。


この映画が興味深いのは、そんなにプロレスに興味がなくても十分引き込まれるし、心を揺さぶられるということ。


その理由は、プロレスはあくまで“仕事”という位置づけで描き、自分の仕事をうまく説明できず“どう息子と向き合えばいいのか”と葛藤する、等身大の父親像がメインテーマだからです。


そんな悩める孝志が、観客のみならず息子にまで嫌われてもリングに立ち続ける理由。それはプロレスという自分の仕事が大好きだから。


「パパは私たちのために一生懸命働いてくれているの。大人になっても好きなことを続けるってすごいことなのよ」という母の説得や、リングで命を懸けて戦う父の勇姿を実際に見ることで、祥太の心に芽生える変化──。

それは大人が見て感動するだけでなく、子どもも祥太の心境に自分を重ねられます。


たとえ小さな子どもが「パパ、カッコイイ!」と素直に憧れる職業でなくても、自分が頑張っている姿や仕事への誇りを伝えることができれば、きっと子どもは父親のことを理解し尊敬してくれるはず。


そんなポジティブなメッセージにすべてのパパが励まされること必至です。



仕事の意味を教えることも大事な“子育て”


ゴキブリマスクの正体を祥太に知られた孝志は「悪者(引き立て役)がいないと、エースが活躍できないだろ?」と説明します。

このセリフ、プロレスに限らずいろんな仕事に共通する真理だと思いませんか?


誰もがみんな“エース”という陽のあたる表舞台で活躍できるわけではありません。

でも、周囲のサポートや連携があってこそ“エース”は輝きえるのです。


理屈ではちょっと子どもには実感しづらいかもしれませんが、この映画は人気絵本が原作ということもあって、親が働く理由や労働の価値を子どもが理解しやすいように描かれています。


ぜひ親子で一緒に鑑賞し、劇場から出たら「パパの仕事はね…」と自分のことも語ってみませんか。きっと父親を見る子どもの目が変わるはずですよ。



『パパはわるものチャンピオン』(2018年) /日本 / 上映時間:111分

9月21日(金)全国ロードショー

© 2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会

上村 真徹(ライター・編集者)

上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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