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大人だって絵本を楽しもう!読み聞かせのプロとは?~読み聞かせのプロ「聞かせ屋。けいたろう」さんインタビュー前編~

小さな子どもに絵本を読み聞かせしていてもどうも反応が薄く、「どうすればもっと楽しそうに聞いてくれるのかな」と感じたことはありませんか。


絵本の読み聞かせで日本全国を駆け回る“読み聞かせのプロ”こと「聞かせ屋。けいたろう」さんも、そんな悩みをよく相談されるそうです。


絵本の読み聞かせの時間をもっと楽しくしたい──そう願う人たちへのヒントを探るため、「聞かせ屋。けいたろう」さんの読み聞かせライブを取材し、さらに絵本を読む際のコツについてインタビューも行いました。


後編はこちら>「子どもが笑顔になる絵本の読み聞かせとは?パパママが真似できる読み聞かせの秘訣~読み聞かせのプロ「聞かせ屋。けいたろう」さんインタビュー後編~」



歌を交えた楽しい読み聞かせライブに子どもたちはずっと笑顔

家men,インタビュー,聞かせ屋けいたろう


「聞かせ屋。けいたろう」さんの読み聞かせライブの取材で訪れたのは、埼玉県の所沢ひまわり保育園。普段の一般的な公演スタイルとは違って、今回はスペシャル版の「100冊絵本広場」


子どもたちが自由に絵本を手に取れるよう、けいたろうさんが厳選した絵本100冊を会場となるプレイルームの床にズラリと並べてあります。


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さっそく園児たちがプレイルームに集合。これだけの数の絵本が床に並んでいる状態は珍しいようで、みんな「すごい!」と興奮気味。興味を持った絵本を手に取って、思い思いにページをめくっていました。


ちなみに一番人気は『100かいだてのいえ』のビッグブック版。縦116cmサイズのダイナミックな絵にワクワクしていましたよ。


子どもたちが絵本の世界にすっかり馴染んだところで、けいたろうさんの「そろそろ始まるよー」という掛け声と共に公演がスタート。元ストリートミュージシャンでもあるけいたろうさんが軽快にウクレレを奏でて、「幸せなら手をたたこう」で歌遊びを楽しみながら子どもたちを引き込んでいきます。


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最初の読み聞かせ絵本は、けいたろうさんが文章を手がけた絵本『おっぱいごりら』。


小さな子どもが大好きな「ぱ」行音をふんだんに使った文章と、ゴリラがおっぱいをポコポコ叩くコミカルな絵にみんな大喜び! けいたろうさんと一緒に「ぽんぽこ ぼん!」と叫んでいました。


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続いては、誰もが知っている人気の童謡を絵本化した『どんないろがすき』。歌に合わせてけいたろうさんがページをめくり、子どもたちも楽しそうに歌っていました。


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3冊目の読み聞かせ絵本は、こちらもけいたろうさんが文章を手がけた『どうぶつしんちょうそくてい』の大型サイズ版。ワニ、カンガルー、キリン…身長測定でちょっとでも大きくなりたい動物たちが、それぞれの特徴を活かして奮闘する姿にみんな大笑い。


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ここまで読み聞かせライブを見ていて印象に残ったのは、けいたろうさん自身が本当に楽しそうに、時に笑いながら絵本を読んでいること


まずは読み手の大人が絵本を楽しむことで、聞き手である子どもたちも絵本を楽しめるんだなと気づかされました。


最後は映画『となりのトトロ』の主題歌「さんぽ」をみんなで歌い、終始盛り上がった楽しい読み聞かせはあっという間に幕を閉じました。


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読み聞かせを引き立てるために音楽を活用

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─歌と読み聞かせを織り交ぜた楽しい公演で、子どもたちの笑顔が印象的でした。

「絵本をじっと見続けるのは意外と根気がいるので、子どもたちの緊張を解きほぐすのに音楽は有効なんです。歌遊びを取り入れているのは、私が元保育士で歌遊びの楽しさを理解しているから。自分のオリジナル曲とかにこだわらず、みんなが知っている童謡で気持ちよく歌えるようにしています」


─音楽を取り入れた読み聞かせスタイルはご自身で考えたのですか?

「ショッピングセンターの通路でライブを行ったことがあるのですが、普通に絵本を読んでいるだけでは誰も足を止めてくれない。じゃあ最初に音楽を演奏してお客さんを集めよう、ギターだと大きすぎるからウクレレを使おう…というふうに試行錯誤して今のスタイルを構築しました」


─子どもが大好きな歌が満載で、さすが元保育士!と感心しました。

「もちろん歌がメインというわけではなく、あくまで絵本の読み聞かせを引きたてるための手段。また、最初に歌遊びを通じて親密な関係性を築いておけば、子どもたちも安心して読み聞かせを聞くことができるのです」


─今回のライブは約20分で3冊の絵本を読んでいましたが、いつもだいたい同じぐらいですか。

「はい。たくさんの本を読むより、聞き手の心に1冊ずつしっかり心地よく響くようにしたいので、これぐらいがスタンダードですね。また、絵本の魅力を伝えることが最優先なので、過度な演出は加えないようにしています」


絵本を読んでもらう楽しさを実感して“読み聞かせのプロ”に

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─読み聞かせに興味を抱いたきっかけは?

「短期大学の保育学科で、授業の最初に毎回絵本を読んでくれる先生がいました。私は先生の読み聞かせにとても感動し、クラスメイトたちも毎回聞き入っていましたね。


絵本は子どもだけのものじゃない、大人だって絵本を読んでもらうことは楽しいんだ!と気づきました。自分でも何かやりたいなと思い、ストリートミュージシャンを目指した経験を活かし、夜の路上で絵本の読み聞かせライブをスタートしたのです」


─夜の路上ということは、最初は大人をターゲットにしていたのですね。

「子ども向けに読み聞かせをする人は、すでにたくさんいますからね。それよりも、絵本を読むつもりのなかった大人、例えばサラリーマンとかにその面白さを知ってもらい、絵本との出会いを提案したいという思いがありました。


その後、保育園や子育て支援センターなどからの公演依頼を受けるうちに、子どもも読み聞かせの対象に入るようになり、現在に至っています」


─大人向けと子ども向けのライブで、読み聞かせのスタイルや絵本のラインナップに違いはありますか?

「基本的に大きな違いはありません。子どもが楽しめる内容であることを前提に、いろいろなタイプの絵本を15冊程度持ち歩き、ライブの客層や雰囲気に応じて読むものを選び分けています。


私が保育学科の授業で体験したように『楽しい』と思ったり、なんだか懐かしいなと感じたり、素晴らしい絵本というのは大人の心にも十分響きますから。


逆に、さまざまな経験を積んだ大人のフィルターを通じて触れることで、『こんなメッセージが込められていたのか』とか子ども時代とは違った面白さを感じ取ることができるのではないでしょうか」


─今までの読み聞かせライブで最も印象に残っていることは?

「路上ライブでさまざまな出会いを体験しましたが、特に忘れられないのは、2006年10月14日に初めて行った夜の路上ライブですね。


誰も足を止めてくれなくてひたすら絵本を読んでいたところ、女子高生2人組が私の前に座って『私たちに読んでよ』とリクエストしてくれました。昔話とかを読んであげたら、読み終わるごとに拍手してくれて、最後に2人が読んでほしいと選んだのが『かわいそうなぞう』でした」


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─戦争中に動物園のゾウが殺される悲しい話ですよね。

「悲しい話なのに大丈夫かな…と心配しながら一生懸命読んだところ、今度は読み終わっても拍手が起きない。おそるおそる顔を上げると、2人とも下を向いて涙を拭っていたんです」


─けいたろうさんの読み聞かせが女子高生たちの心を動かしたんですね…。

「一生懸命に聞き手と向き合うことで、絵本の素晴らしさがちゃんと届いたんだ!と思うと嬉しかった。テクニックだけで言うと今の方がレベルアップしていますが、私にとってベストの読み聞かせですね。この時の喜びを励みに活動を続け、3年目ぐらいにようやく自分でプロと名乗れる自信がつきました」


絵本は子どもだけのものではない。大人だって楽しめるよ──けいたろうさんの言葉にハッとしました。確かに、大人が楽しいと思って絵本を読んだ方が、聞き手である子どもだって楽しめますよね。


インタビュー後編では、実際に絵本の読み聞かせを行うにあたってのコツをいろいろ聞いていきます。お楽しみに!


後編はこちら>「子どもが笑顔になる絵本の読み聞かせとは?パパママが真似できる読み聞かせの秘訣~読み聞かせのプロ「聞かせ屋。けいたろう」さんインタビュー後編~」



●プロフィール

聞かせ屋。けいたろう

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元保育士、JPIC読書アドバイザー。

短期大学の保育学科を卒業後、夜の路上で大人に絵本を読み聞かせるライブ活動を開始。2009年、2010年、2012年に延べ4カ月の渡米公演を経験し、読み聞かせ、絵本講座、保育者研修会と10年以上にわたり日本全国を駆け巡る。「おっぱいごりら」(アリス館)など絵本作家として文章も担当する。

ホームページ http://kikaseya.jp/

家men編集部

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この記事は家men編集部がお届けしました!男性視点で家事や毎日がもっと楽しくなるような情報を発信していきます!

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