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『エール!』 | 子どもの夢をどこまで応援できますか

子どもの堅実な将来を願うのが親心。でも…


子どもが抱く夢といえば「プロスポーツ選手になりたい」「お花屋さんになりたい」など、えてして堅実な職業を望む親の意向とはかけ離れがち。

でもそこで親心とはいえ「無理だってば」「サラリーマンの方がいい」と反対することは、せっかく自分の将来を考えた子どもの自立を阻んでしまわないでしょうか。


そんな“子どもの夢との向き合い方”について考えさせられる作品を今回はご紹介します。フランスで大ヒットを記録した感動映画『エール!』です。


聴覚障害の家族の世話と自分の夢…どちらを選ぶか


フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家は、長女のポーラ以外、両親と弟の3人とも耳が聴こえません。それでもポーラが公私問わず手話通訳に奔走するおかげで、家族みんな不自由なく生活してきました。


そんなある日、学校のコーラスのクラスに参加したポーラは、自分でも気づかなかった歌声の美しさを音楽教師に見出されます。


教師からパリの名門音楽学校のオーディションを受けるよう勧められますが、ポーラの歌声を聴くことのできない家族は彼女の夢を理解できず猛反対。

ポーラもまた、自分がいないと家族がちゃんと生活できないのでは?と後ろめたくなり、自ら夢をあきらめようとするのです。


この作品は2015年のフランス映画祭において観客賞〈最高賞〉を受賞し、フランスで750万人以上の観客を動員するヒットを記録しました。

これほど多くの人を魅了した理由は、「耳の不自由な家族」というシリアスかつデリケートなテーマをスッと受け止められるよう、フランス式のブラックジョークを織り交ぜていること。


父親は手話を見ているだけで口の悪さが分かるほど毒舌で、母親も気が強くて夫と手話でケンカし、弟も年齢以上にませている…。

そんな個性派一家の感情豊かなやり取りを見ていると、誰もが彼らのことを好きになり、自分も家族の一員になったような気分になります。


でもだからこそ、家族の通訳に徹することで自分を押し殺そうとする長女ポーラの葛藤が、自分の娘のことのように感じられるのです。


夢に向かって羽ばたきたいけど、自分がいなくなったら家族はどうなるのか…

そんな相反する気持ちの間で揺れ動く姿と、クライマックスでポーラが披露する決意を目にすれば、映画のタイトル通り彼女に熱いエールを贈りたくなることでしょう。


いつか我が子が羽ばたく時のために


そして感動のフィナーレまで見届けたら、この物語を両親側の目線からも振り返ってみてください


両親にとってみれば、通訳係の娘がいない生活は考えられないし、彼女がパリの音楽学校を目指すのは家族としての務めを放棄するようで、なかなか受け入れがたい。

でも、子どもの夢と自立を後押ししてこそ親ではないのか──


理想と本音のせめぎ合いに揺れる両親。

夢を貫くべきか迷う娘。

強い家族愛で結ばれた彼らが悩んだ末に見つけ出す1つの答えは、きっとあなたが子どもの夢と向き合う時のヒントになるはずです。


『エール!』(2014年) /フランス/ 上映時間:105分

© 2014-Jerico-Mars Films-France 2 Cinema-Quarante 12 Films-VendOme Production-Nexus Factory -Umedia

上村 真徹(ライター・編集者)

上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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