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『ダンガル きっと、つよくなる』 | 厳しさも愛情!共に夢を追うことで深まる親子の絆

子どもとの距離感をどう取ればいいのか


子どもの自主性を伸ばす子育てが重視される昨今、厳しい言葉や態度で接すると子どもを押さえつけることにならないか…とためらうことはありませんか?


主体性を尊重して自由を与えすぎると締まりがなくなるし、だからといって「俺の言うことに従え!」と一切の自由を認めない頑固親父は昭和の遺物。

そのさじ加減は難しいですよね。


そこで今回は、そうした親子の距離感の取り方に悩む人にピッタリな映画をご紹介します。インドに実在する親子を題材にしたスポ根レスリング映画『ダンガル きっと、つよくなる』です。


娘に金メダルの夢を託した父が課すスパルタ特訓の真意とは?


金メダルを目指してインドのレスリング王者に登り詰めたマハヴィルは、生活のため泣く泣く引退を決意。まだ見ぬ息子に世界チャンピオンの夢を託そうとしますが、生まれてきたのは2人の女の子。

再び夢をあきらめたマハヴィルですが、十数年後、長女と次女が男の子を喧嘩で圧倒したと聞かされ、自分の挌闘センスが娘たちに受け継がれていると確信。本人の意向をまったく無視し、嫌がる2人にレスリングの猛特訓を課します。


鬼教官と化した父親のスパルタぶりは星一徹も真っ青で、見ているだけでもグッタリするほど!

最初は「これって自分の夢を子どもに押し付けているだけ」と親のエゴしか感じられませんが、舞台となるインドの社会事情を振り返るとその印象はガラリと変わります。


貧富の格差が激しいインドでは田舎ほど女性の地位が低く、親が見つけた相手と十代半ばで結婚・出産させられ、その後は家事育児に拘束…という“生まれながらに決められた人生”を多くの人たちが強いられているそうです。

物語の中でも、長女と次女の友人が初対面の男性と結婚することになり、「父親に将来を案じてもらえてうらやましい」と心境を打ち明けられることで2人は気づくのです。

自分たちは恵まれている!パパはもっと深い思いを抱いていたんだ!と。


そうして“親の夢が子どもの夢に”なってからは、思わず拳を握りしめてしまう、燃えるシーンの連続。

父の熱血指導に応えてめきめき強くなり、最初は「女がレスリングなんて」とバカにしていた周囲の偏見を変えていく少女たちの快進撃は、痛快の一言に尽きます。


娘役の女優たちが実際に猛特訓し白熱のレスリング・シーンを自ら演じることで、少女たちの情熱がリアルな迫力と一体化して迫り、興奮と感動で胸が震えること間違いなし!


そこに愛があれば、親の厳しい態度も子どもの安心と自信になる


もちろん、前人未踏の道を突き進むレスリング一家の奮闘は一筋縄では行きませんが、それでも彼らはさまざまな障害を自力で乗り越えていきます。

娘の夢や将来を我が事のように親身になって考え、注げる限りの情熱をすべて注ぐ──そうした父親の想いが子どもたちの自信やエネルギーにもなることを、この映画の父娘は教えてくれます。


子どもの自主性に任せてそっと見守ることも大事ですが、愛のある指導や叱咤激励を積極的に投げかけることは、成長を促すと同時に「自分は親にしっかり気にかけられている」という心強さと自信につながるのではないでしょうか。


理屈抜きで楽しめる痛快スポ根映画である一方、父親目線で見ると考えさせられることが多いこの作品。

人生と闘う子どもをセコンド役で支える──親子関係のヒントにもなる興奮と感動を、ぜひ家族で一緒に体験してみてください。


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『ダンガル きっと、つよくなる』 (2016年) /インド/ 上映時間:140分
© Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

上村 真徹(ライター・編集者)
上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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