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アルコール度数×飲み方の組み合わせで“自分スタイル”は無限に広がる──オススメの焼酎レシピ

飲み手の数だけ飲み方がある「焼酎」レシピを伝えます


焼酎ナビゲーターの町田正英です。焼酎は明日への活力が湧きたち、たくさんの笑顔が満開になるお酒であることをお伝えしたいと思います。


今回の連載2回目では本格焼酎の美味しい飲み方をお伝えします。飲み手の数だけ存在する焼酎の魅力を実践し、ご自分だけの焼酎スタイルをぜひ確立するスタート地点にしていただければ嬉しいです。


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ダレヤメ時間で焼酎を楽しむ方法は自分流で


鹿児島の方言で「ダレヤメ」という言葉があります。ダレは「疲れ」、ヤメは「とる」、合わせると「疲れをとる」という意味合いになります。

このダレヤメ時間こそ焼酎の真骨頂。鹿児島県人が大切にしている晩酌の時間なのです。


かつて紐解いた本によれば、囲炉裏の火で焼酎をあたため飲む前には四隅に垂らしてから飲み始めたそうです。山の神様、海の神様、畑の神様、命を授けてくださる自然環境に感謝をしてから飲み始めるその敬虔な姿勢に共感しました。

自分自身の解釈は、乾杯の最初の一杯を口に含む際に、ダレヤメ時間に自分が飲めるすべての環境に感謝しながら飲むようにしています。


ダレヤメは、今日1日がんばった自分に対して「お疲れさまー」って心をゆるめて心底リラックスできるひととき。自分スタイルの焼酎を口に含めば笑顔がこぼれます。

グラスの向こう側に明日を眺めて活力を生み出す時間があってこそ、また頑張れるというものです。


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または夫婦で一緒に対話しながらお互いに好みの焼酎を注ぎあう家族会議の時間をつくって、お互いにゆるむ時間をもつのもよいでしょう。今日も先人の知の結晶でもある焼酎を飲むダレヤメ時間を満喫しましょう。飲んで畑と生産者、伝統産業を応援です!


美味しい焼酎の方程式とは 

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美味しく快適に持続的に飲みためにも、最初にアルコース度数と飲み方の組み合わせの基本パターンの理解が大事です。


この図は、左側が焼酎(アルコール)の濃さ、右側が飲み方のバリエーションです。大体の目安として最初に全体像をつかんでいただきたいです。これが答えではなく、ご自分なりのベストチョイスを発見するためのサポートツールとお考えください。


焼酎を美味しく飲むためには、美味しく飲む「飲み方」との出逢いが必要です。ぜひ基本の型を覚えましょう。焼酎を料理同様に素材としてとらえ、無限のバリエーションから飲む時点で「選ぶ」面白さ・楽しさがあるのです。その飲み方を方程式で表現すれば、このような式になります。


「焼酎×アルコール度数×飲み方=焼酎スタイル」

※お湯割りの場合はさらに温度帯が加わります→「焼酎×アルコール度数×温度帯×飲み方」


この飲み方を実践する場合、選べるならボトルを頼んで自分スタイルで飲んでほしいです。1本のボトルを素材から考え、調理をして味付けを楽しむかのように焼酎と付き合ってみましょう。

そして、みんなで参加する飲み会でお互いの好みで作り合えば、多様な個性を尊重する機運も醸成され、コミュニケーションが対流し仕事も円滑に進むようになります。


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焼酎レシピで最初に覚えたいのは人気の炭酸割り。“画竜点睛の心境”で味を決めよう


飲み会で最初の一杯と言えば、人気なのは生ビール。ダレヤメ時間の最初はシュワって飲みたいものです。最近は居酒屋でも焼酎の炭酸割りが飲めるようになってきましたが、焼酎を炭酸で飲む美味しさを体験していない方は意外とまだまだ多いです。



基本の型として、まずは炭酸割りレシピを覚えていただきたいです。

炭酸割りのポイントは、庶民の酒の焼酎らしく思いきって豪放磊落にタップリつくること。こじんまりとしてはいけません(笑)。乾杯一杯目のビールがごとくシュワシュワ感を満喫しましょう。炭酸が引き出す焼酎毎の味わいの違いも探求していただきたいです。


またグラスを仕上げる際に意識していただきたいのは、お料理でいうところの盛り付けです。

グラスで盛り付けをする場合も、空間の余白を意図的に作ることで余韻を楽しむ余地ができます。そして炭酸割りの味を決める大事な所作は、最後に「画竜点睛」の心境でビンを傾けて焼酎をグラスの上部に数滴2〜3滴垂らすことです


お茶の世界で一期一会という言葉があります。文字通り「目の前の方にお茶を淹れさせていただくのが生涯最後かもしれない」という緊張感で臨む姿勢のことを言います。

大げさなようですが(笑)焼酎も同様に先人の知見と蔵元さんが作った作品をグラスに再現させるために、その焼酎観の世界を完結させるために、生産者に感謝をしながら「画竜点睛」の姿勢で味をきめます。結果その焼酎らしさが完結します。


炭酸割りでいえば、上部にたまる香りも楽しんでいただきたいです。焼酎を口に運ぶ際にまずは五感を総動員して香りを味わい、それから味を感じとることを意識するだけで、焼酎を楽しむ「可動領域」が広がります。


奥が深い焼酎の水割りの世界。不変の安定感は自分との対話時間に寄り添います


意外と?奥が深い飲み方としておススメなのが水割りです。


水割りは、「氷を入れる」「冷えたお水を使う」「水も焼酎も冷やす」「数日前から水と焼酎をあわせておく(いわゆる前割り)」「後半で炭酸をいれて味に変化をつける」などバリエーションが豊富なことも特長です。


この中で私自身最もオススメなのが「常温水割り」です。

この飲み方の強みは味が変わらないこと。水割り・ロック・炭酸割りなど氷が入る場合は常に味が変わり続け、常温を目指して温度が昇っていきます。逆にお湯割りの場合は、常温を目指して降りていく温度の変化を楽しめます。


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常温水割りの場合は常に味が一定なので、安定して食中酒としてお食事とのマリアージュを楽しむことができます。度数も気持ち1歩踏み込んで強めにしてあげて日本酒やワインと同じ程度に設定し、醸造酒に近い楽しみを享受するのがオススメです


また常温水割りは、冷やしたり温めたり変化を楽しむ軸を断ち切ることで、ごまかしがきかず素材そのもので勝負することになります。フードで例えると、ラーメンでいえば塩味のタンメン、パスタで言えば塩味で決めるカルボナーラというポジションでしょうか。いずれも塩味できまってしまうだけに、味をきめるのは非常に難しい領域です。


一方で好みのアルコール度数の方針さえ決まれば、時間の移ろいに依存しない安定した味わいを楽しむことができるため、ともにグラスを重ねる家族や友人や大切な人との対話に専念できるメリットもあります。氷やお湯を沸かす準備もいらず、焼酎と水さえあれば(素材重視だけに水も選びたいものです)楽しめるのが水割りの真骨頂です


さらにいえば常温水割りの場合は、途中の飲み方の方針変更(笑)にも対応できることも強み。不変な味わいを楽しみつつ後半で変化をもたせたい場合は、氷を入れて冷やしてみたり、炭酸を入れて爽快感をあえて演出したりと、水割りのオプションを楽しめることも面白さです。


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焼酎のロックは移ろいの美学を楽しんで。鴨長明の無常観の世界です


そしてロック。バーの片隅で自分と対話するひとときにも最適な飲み方です。


本格焼酎レシピはグラスに氷を入れ、好みの量を落としていくのみ。ロックだけに、選べるなら溶けるのが早い製氷器の氷でなく市販の氷で飲みましょう。もちろん家庭用冷蔵庫でつくる氷でも問題ありません。どんな環境でも氷と焼酎の競演を楽しんでしまいましょう。


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ロックは、氷と焼酎で作れるシンプルさが売りだけに、入れ方には粋にこだわってみましょう


プロが焼酎を入れる所作のひとつに焼酎のビンを揺らすことが挙げられます

揺らすことによってフーゼル油(高級アルコール・エステル)という旨味・油成分が上部に浮いてくるため、焼酎全体のバランスを整える目的で攪拌させているのです。蔵元さんとの交流会に行くと、瓶を揺らす情景が見られます。

この画像の大和桜酒造さんのように。


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日頃から焼酎を注ぐときは演出として、この焼酎を攪拌させる振る舞いを笑顔で実践してみてください。対話しながら自然にできればプロっぽくなります(笑)。


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また氷の扱い方のバリーションとして「柳田酒造さん方式」もあります。グラスの中で氷を素早くかきまわし、氷の角を取る水を切り、いわゆる丸氷に近づけるのです。結果として溶けにくい氷になります。


ロックの魅力は常温水割りとは真逆で、氷が入っているために常に味が変わること。


氷が溶けゆき焼酎とミネラル成分が混ざり合い、同時に温度帯は常温を目指して少しずつ上昇していきます。この味の移ろいをポジティブにとらえて「移ろいの美学」と表現していますが、ロックはこの時間が魅力です。


味が常に変わるという意味では、グラスの向こう側に見えるのは「ゆく河の流れは絶えずして、もとの水にあらず…」という鴨長明の世界。氷が溶け行くさまは常に同じではない人生は仮の住まいであるという無常観、人の営みのはかなさが透けてきます。

グラスを片手にバーの片隅で哲学の片鱗を感じ、自らの生き方を問い直す時間。ロックならではの過ごし方です。


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オリジナル度が高いカクテル系の楽しみ。自分だけの焼酎の飲み方を開発する面白さがあります


最後に、焼酎の飲み方の基本型を横展開できる方法を2つの事例でご説明します。


繰り返しとなりますが、焼酎の飲み方のバリエーションは無限です。飲み手の数だけ飲み方があるので、自分スタイルの飲み方を追求、確立してほしいです。その結果、飲んで畑と蔵元さん、伝統産業(地域)を応援すること──これが最も伝えたいメッセージです。


①水割りの横展開「麦茶割り」

家庭の麦茶と麦焼酎をあわせるだけ。麦焼酎と香ばしさと麦茶の風味が重なり、独自の麦×麦の味わいが楽しめます。

アルコール度数は麦茶の香りに負けないよう気持ち強めとし、冷やした麦茶と焼酎の割り方は4:6(度数10度)or 5:5(度数12.5度)がオススメです。


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バリエーションとして、氷を入れて冷やしたり(写真中央)、炭酸を入れて爽快感を加えるのも情趣があります(写真左)。また麦茶をあたためて割るホット麦茶割りもオススメです。


②炭酸割りの応用編「レモン割りorしょうが割り(ジンジャーサワー)」または「レモン×ジンジャー=レモンジンジャー割り」

芋焼酎、米焼酎、麦や黒糖、泡盛も展開可能な飲み方です。

炭酸割りを作る際におろしたショウガを氷にのせてから焼酎を入れ、最後にトッピングとしてショウガをのせます。ショウガをレモンで置き換えてもOK。またレモン×ショウガでレモンショウガとしても美味しく飲めます。


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その他バリエーションは無限です。炭酸割りにお好きな柑橘を絞るだけでも自分スタイルの一杯に仕上がります。ほうじ茶あわせや紅茶との組み合わせなど、いろいろ豊かなバリエーションを探求いただければ嬉しいです。


自分だけの焼酎スタイルを探求する面白さを!


焼酎の飲み方編はいかがだったでしょうか。

まずは基本の型を体験いただき、それぞれの嗜好にあわせた焼酎スタイルをぜひ引き続き探求していただきたいです。焼酎の飲み方の多様なバリエーションをぜひ、共に開発していきましょう。


※お湯割り編は初回にてご覧ください

  お湯割りは20分間の物語を。焼酎を美味しく飲むための方程式とは 飲み手の数だけ存在する焼酎の魅力、多様な飲み方、個性豊かな蔵元さんの紹介など焼酎ワールドをいろんな角度で焼酎ナビゲーターの町田さんにお伝え頂きます。 家men


<写真ご協力>

●大海酒造さん  http://www.taikai.or.jp/index.html

●黒木本店    http://www.kurokihonten.co.jp/

●渡邊酒造場さん http://asahi-mannen.com/

●柳田酒造さん  http://www.yanagita.co.jp/

●大和桜酒造さん  http://yamatozakura.com/


「自分だけの「焼酎スタイル」を確立!奥が深い焼酎を極める」他の記事はこちら>

町田正英(焼酎ナビゲーター)
町田正英(焼酎ナビゲーター)

焼酎ナビゲーター。BBT大学院ビジネススクール卒業(MBA)。オイシックス・ラ・大地(株)勤務。川口子ども食堂副代表。 食の関わりを中心に地域や伝統産業を応援する活動を展開中。特に学生時代から日本の地酒「焼酎」の魅力に開眼、飲み手の数だけ存在する「焼酎」の可能性をライフワークとして追求、応援している。提案するメッセージは「飲んで畑と生産者、伝統産業を守る」こと。先人が培ってきた伝統産業、地域の食文化を次世代へつなぐことを目指している。 余暇活動は料理(雑誌Dancyu料理コンテスト優勝経験あり)、空手、ドラム(バンド活動)、ボランティア、援農(はたけしごと)、経営学研究等。特技は素手でりんごを割ること(https://youtu.be/Hlmhp3WO6oc)。 グリー(株)のキュレーションサイトaumoアンバサダーとして執筆中(https://aumo.jp/users/e357129a51/articles)

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