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なぜサイボウズ青野社長は裁判を起こすのか?選択的夫婦別姓について考える

人生100年時代といわれ働き方や家族のあり方が多様化してきているいまでも、「結婚したら女性が男性の姓に変えるのが当たり前」という考えが一般的で、厚生労働省の統計によると96%の女性が改姓しているのが現状です。

そんな風潮に一石を投じる「選択的夫婦別姓FJ緊急フォーラム」が、去る12月20日、NPO法人ファザーリング・ジャパンの主催によって行われました。今回のフォーラムは、サイボウズ株式会社代表取締役社長・青野慶久氏らが国を相手に「選択的夫婦別姓」を認めるよう裁判を起こすという発表を受けて設けられたものです。

今回、家men編集部はこのフォーラムに参加してきました。その様子をご紹介します。


なぜ夫婦が別々の姓を名乗れないの?

フォーラム当日の登壇者たち。左から村上誠(NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、秘密結社主夫の友 総統)、白河桃子(少子化ジャーナリスト)、青野慶久(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)、榊原富士子(弁護士、2015年夫婦別姓訴訟弁護団 団長)、吉田尚史(元妻側改姓当事者・現事実婚、FJ会員)、大塚玲子(ライター、定形外かぞく(家族のダイバーシティ)主宰)


民法第750条では夫婦婚姻の際に「夫または妻の氏を称する」と表記されています。つまり、夫婦が戸籍上で別々の姓を選ぶことは認められていないのです。

前述したように男性が改姓するケースはまだ少なく、女性が「自分の姓に愛着がある」「仕事や日常生活が不便になるから今までのままがいい」と思っても、女性が姓を変えることが多く、姓を残すために事実婚を選ぶか、あるいは結婚を見送っている方もいるようです。

こうした自由に姓を選べない不便さは「女性の問題」として長年扱われてきました。

そんな中、2001年の結婚時に妻の姓を選択し、戸籍上の姓と旧姓を使い分ける不便さを実際に体験した青野氏からの問題提起をきっかけに、男性も当事者として選択的夫婦別姓について考える機会を作ろう!というのが今回のフォーラムの目的です。


夫婦同姓による不利益を体験した青野氏の決意


フォーラムではまず、2015年に行われた夫婦別姓訴訟の弁護団団長・榊原富士子弁護士が、夫婦別姓問題の歴史や現状について解説。これを受けて、青野氏が今回訴訟に踏みきった理由や、夫婦別姓によって実現したいことを語りました。

結婚前は青野氏も「当然妻が姓を変えるもの」と思っていましたが、姓を変えたくないと妻に言われ、「他人と違うことをやってみたい」という好奇心も手伝って自らが改姓することに。

ところがいざ改姓すると面倒なことだらけ。パスポートや健康保険証の名義変更はもちろん、株式口座の名義変更に莫大な費用がかかったり、旧姓で予約したホテルにあわや宿泊できない事態に陥ったり。

そんな中、民法第750条の条文に対して「夫婦別姓を認めないのは憲法違反だ」という訴訟が起き、改姓した青野氏は裁判の行方を見守っていました。ところが2015年に「夫婦同姓は合憲」という判決が下り、しびれをきらした青野氏は自らロビー活動や情報収集を展開。

前述した訴訟の原告の勧めもあって、新たに選択的夫婦別姓裁判を起こすことにした作花知志弁護士と運命的に出逢い、作花弁護士の主張に納得し今回の裁判の原告を務めることとなりました。


夫婦別姓が実現したら、日本が変わる?


青野氏は夫婦別姓が認められることによって「同姓を望む夫婦は同姓を、別姓を望む夫婦は別姓を、当たり前に選択できる社会を作りたい。他人から理想を押しつけられず個々のニーズを満たすことができれば、みんなハッピーですよね」と持論を展開。さらに、その先に追い求める理想についてこう語りました。

「古くから日本は一律的な価値観を重視し、全員に決まったルールを強要してきました。でも、もうそんなやり方が通用する時代じゃありません。一人ひとりの個性を尊重し、多様な生き方があっていいじゃないか──今回の選択的夫婦別姓裁判に勝つことは、日本がそうした価値観の社会にシフトしていく絶好のチャンスなんです。そうすれば、日本はもっと楽しい国になると信じています」


もしかすると、姓の変更について話し合いをしたという夫婦も、多くはないのかもしれません。しかし、今回青野氏から投げかけられた「選択的夫婦別姓」の本質は、単に姓についての話ではなく、「選択できる自由さ、個性を尊重する多様な生き方」についてでした。

人生100年時代を迎えてますます多様化する、夫婦や家族のあり方。「選択的夫婦別姓」の訴訟は、どんなことに対しても「当たり前」で終わらせず、パートナーそして家族みんながより幸せになれる方法をフラットに考えるきっかけとなるかもしれません。


※今回の訴訟について、青野氏は下記のWEBサイトで応援の署名を呼びかけています。

■夫婦同姓・別姓を選べる社会にするため、私たちの訴訟を応援してください!

家men編集部

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この記事は家men編集部がお届けしました!男性視点で家事や毎日がもっと楽しくなるような情報を発信していきます!

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