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パパが知りたい「女の子の育て方」 前編 | 教育学博士・諸富祥彦先生

幼い頃はいつでも「パパ大好き!」「遊んで」と甘えてきた我が家の娘もいつの間にか9歳に成長し、最近はそうした甘えん坊ぶりが影を潜めて、その変化に少し戸惑っています。

 

前みたいに甘えてほしいと思って、あれこれ試してみても、何だか空回りしているような気が。男親として、これから娘とどう接していったらいいのか…と悩んでいた時に偶然手にしたのが、明治大学文学部教授で教育カウンセラーも務める諸富祥彦先生の著書『女の子の育て方』(※)でした。

 

この本に書かれていることをもっと詳しく聞いて子育ての参考にしたい!ということで、諸富先生にインタビューしました。先生、いろいろ教えてください! 

 

子どもの成長に合わせて考えたい、子育ての“3つのステージ”とは?

─娘は現在9歳なのですが、最近、昔ほど甘えてくれません。そうなったのには、何か原因があるのでしょうか?    

自立心や自我が芽生えはじめた女の子が、異性である父親から距離を取ろうとしていくのは自然なことです。そこで無理にベタベタ追いかけようとすると、かえって嫌がられて逆効果ですよ。

 

─うっ…思い当たるところがあります。娘に声掛けして素っ気なく受け流されたら、ついついテンションを上げて愛情表現やスキンシップを図っていたけど、逆効果だったんですね。

子どもが何歳であっても共通する子育ての基本は、たくさん愛情を注ぐこと。「私は親に愛されている」と実感できる子には自己肯定感が備わり、「幸せになりたい」という気持ちも高まりやすくなります。だから子どもを愛すること、そしてそのことを子どもに分かるように示すことはとても大事です。とはいえ、いつまでもベタベタしていいわけではないので、子どもが成長する3つのステージに応じて、子育てのシフトをチェンジしていくといいですよ。

 

●「ラブラブ期」0〜6歳
スキンシップや言葉がけで惜しみなく愛情を注ぎ、自分は愛される存在だという自己肯定感を与える

●「しつけ期」6歳から10〜12歳くらい
社会や我が家のルールをしっかり守らせる一方、子どもの自発的な考えを尊重して自立心の芽を育てる

●「見守り期」10〜12歳から18歳
思春期の悩みを抱える娘と一定の距離を置き、いざSOSを発してきたら受け止めてあげる

 

─『女の子の育て方』の中でも提唱されていましたね。子育てを3つのステージに区切るのはどうしてでしょうか?

たとえば、ちゃんとしつけをしようと、幼い子どもをきつく叱る親を見かけることがあります。けれども、小さい子どもからしたら「ママ・パパは私のことが嫌いなんだ」という気持ちになってしまうのです。実は、しつけに気をつけるのは6歳を過ぎてからで大丈夫。それまでは目いっぱい愛情を注いであげて「私は愛されている」と実感させることの方が重要です。このように、子どもの成長にあわせて親は接し方を変えていく必要があり、その目安として3つのステージに区切って考えることを提唱しています。

 

─ウチの娘は「しつけ期」なので、まだ「見守り期」のように距離を置かなくてもいいんですね。

一人ひとりの性格や個性を無視して、誰でも同じ型にはめようとするのは危険です。子どもが距離を置こうとしている場合は一歩引いて、困っている時は手を差し伸べたり、注意深く様子を観察したりしながら子どものペースを尊重するよう心がけてはいかがですか。

 

─ますます耳が痛いです…。私は実家が男兄弟だったのでいまいちピンとこないのですが、女の子と男の子で性格や特徴は違うものですか?

一般的に女の子の方が集中力や持続性があり、粘り強いという傾向があります。男の子の傾向はその逆で、集中力や持続性が低くて粘り弱い。もちろん性別の違いだけによらず、子ども一人ひとりによって性格やペースは様々なので、その子に合わせて子育てしていきましょう。

 

インタビュー中写真

 

大人になってから必要な自立力を育むには

─これから社会状況はますます変化していくと思われますが、今の子どもたちが大人になる頃、幸せを育んでいくために必要なものは何でしょうか?

今後は生涯未婚率が男女共に上昇していくことが見込まれ、仮に結婚したとしても今の日本の離婚率が約3割だから、2035年には全世帯の約半分が一人暮らしになると予想されています。そういう時代においては「女の子はいずれ結婚するもの」「結婚さえすれば幸せ」という価値観は通用しなくなります。

 

─子どもが将来ずっと一人で生きていく可能性も考えて子育てすべきということですか!

はい。そこで大切になるのが、誰かに頼らずに生きていける自立力です。男女に関わらず、自分がやりたいと思えることを見つけ、経済力を養っていく必要があります。

 

─子どもの自立力を育んであげるには?    

こうなってほしいという自分の理想を子どもに押しつける“毒親”にならないことです。何でも親の希望通りに育てようとすると、長い目で見たら子どもの自立力を損なうことになります。そうした環境で育つ子どもは親に気に入られようとばかり考え、その結果、自分がどうしたいのか考えられない“自分のない空っぽな大人”になってしまいますよ。

 

─そういえば、娘が喜びそうなことをつい先回りしてお膳立てしてしまう時があります…。それも気をつけた方がいいんですね。

「あなたはこれが食べたいよね」「これが欲しいよね」と先回りして押しつけるのではなく、「何が食べたいかな」「何が欲しいのかな」と働きかけ、あくまで自分で選ばせることが大事。そうした自己決定の積み重ねこそが子どもの自立力を育むのです。

 


ここまでのインタビューだけでも気づかされることが多く、日々の不安やモヤモヤがかなり解消された気がします! 次回は、女の子を育てるにあたって心がけたい父親のスタンスについてもっと詳しく聞いていきます。

 

(※)『女の子の育て方』(著者:諸富祥彦 出版社:WAVE出版)

 

後編はこちら



諸富祥彦(明治大学文学部教授)

1963年福岡県生まれ。明治大学文学部教授。心理学者・教育学博士。
専攻は教養(心理学)、カウンセリング(教育、恋愛、子育て)、人間性/トランスパーソナル心理学。大学で教鞭を執る一方、教育カウンセラーとして子育てに悩む多くの家庭にアドバイスを授ける。著書に『あなたのお子さん、このままでは大変なことになりますよ カリスマカウンセラーが語る究極の子育て術』(アスペクト)『男の子の育て方』『女の子の育て方』『ひとり親の子育て』(ともにWAVE出版)など。

http://morotomi.net/

上村 真徹(ライター・編集者)

上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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