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パパが知りたい「女の子の育て方」 後編 | 教育学博士・諸富祥彦先生

父親にとって永遠の悩みである娘との接し方について、『女の子の育て方』(※)の著者でもある教育学博士の諸富祥彦先生に聞くインタビュー。

今回は、子育てにおける父親のスタンスについてさらに掘り下げていきます。今から娘の思春期が心配でしょうがない方や、家庭での父親の存在感にお悩みの方は必読です!

前編はこちら


こんな父親は思春期の娘に嫌われる!?

─前回のインタビューで「子育ての3つのステージ」について教えていただきましたが、その中でも父親が一番気をつけるべき時期はありますか。

女の子が父親と距離を置きたいと思うようになる思春期(見守り期)ですね。良好な関係を築いて穏やかに過ごすか、とことん嫌われて激しいバトルになるか、極端に分かれます。


─そういえば知人が思春期の娘に「洗濯物は別々に洗って」と言われたことがあるそうです…。どんなタイプの父親が娘に嫌われがちなのでしょう?

見守り期であるべき思春期なのに、しつけの感覚でガミガミ叱る父親です。逆に叱っているつもりがなくても、愛情のつもりで「こうした方がいい」と押しつけたり、距離を置きたい娘にベタベタと近づいたりするのも嫌われますよ。基本的には子どものペースを尊重し、一定の距離を置きつつ「ちゃんと関心を抱いている」姿勢も見せることが大切です。そうすれば距離感の取り方にも慣れてきて、自然と子どもから距離を縮めてくるようになりますよ。


─愛情の押しつけは心当たりがあるので気をつけます…。もし子どもの反抗が激しくなったら、どう対処すればいいですか。

「ウザい」「あっち行って」と強く反抗する子も珍しくありませんが、そうしたペースに乗って父親も感情的な対応を取ると、かえって反発を招くだけです。無理やり押さえつけようとヒートアップせず、例えば「どうした、何かあったのか?」と自分から一歩引いて落ち着いた対応をしましょう。


─そうは言っても、娘にこっぴどく罵られたりしたら「出て行け!」なんて感情的に怒ってしまうかも…。

本当は思っていなくても「出ていけ!」と言ってしまったがばかりに、本当に家出をしてしまったというケースも少なくありません。イライラした感情をその場でコントロールできそうになければ、例えば30分間でもいいので父親の方がしばらく家から離れて、いったん気持ちを鎮めましょう。一定の時間を空けたら、案外子どもだって「さっきはゴメンなさい」と素直な気分に戻っていて、お互いに穏やかな対応ができるようになるのではないでしょうか。


教育学博士・諸富祥彦先生


 頑張りすぎない子育てで“見本”を示す

─女の子は同性の母親を直接的なモデルとして成長していく傾向にあると『女の子の育て方』に書いてあったのですが、では異性の父親にできることは何があるのでしょう?

子どもと一定の距離を取りつつ、母親と娘の関係を見守ることです。前回の自立力の話で触れたように、「あなたにこうしてほしい」という自分の願望を娘に重ねるのは母親によく見られるケースなので、そういう過剰な干渉に気づいたら「子どもに考えさせてあげようよ」と父親がストップを掛けてあげるといいですよ。


─子どもだけに目を向けていればいい、というわけではないのですね。

夫婦のどちらか一人が家のことを抱え込んでしまったら息が詰まるので、妻と積極的にコミュニケーションし、心のサポートを心がけてください。「今日はどうだった?」と話しかけたり、ちょっと弱音や悩みを聞く相手になったり、妻の話をよく聞ける男になりましょう。子どもを誘って外に出かけて、妻が一人になれる時間を作ってあげることも有効ですよ。


─いったん妻の話が始まると“ちょっと”では収まりそうにありませんが…。

毎日15分以内など時間を区切って小出しに話を聞くといいですよ。たまにしか聞いてあげなかったら、たまった不満が爆発して何時間でも続くかもしれません(笑)。


─弱音をこぼす家庭環境は子どもに悪影響では?

いえ、むしろ逆です。1日5分ずつでもいいから夫婦で弱音や悩みを打ち明け合い、親の弱い姿も子どもに見せましょう。そういう家庭環境を普段から作っておくと、子どもが親にSOSを発したい時に打ち明けやすくなりますよ


─完璧な父親であろうと頑張りすぎなくていいんですね。

はい。むしろマジメでキチンとした親であろうとしすぎると、それが子どもにとって「自分もちゃんとした子にならなきゃ」と無言のプレッシャーになりますから。


─女の子は母親をモデルに成長すると思っていましたが、父親の振る舞いも影響があるということですか。

もちろんです。父親が家族を愛し大切にしていれば、女の子は自然と「こういう男性と結婚したい」「こういう家庭を築きたい」と理想像を抱くようになります。また、妻子を大切にする父親を日々見ている女の子は、自分のことを大事にしてくれる男性を見分ける力も身に付くのです。逆に、父親が家族を粗末に扱っていると娘も「男性はそういうもの」と思い込んでしまい、将来のパートナー選びに悪影響を与えてしまうかもしれません。


─自分たちが思っている以上に子どもは親のことを見ているんですね。

以前大学で調査したところ「両親の仲が悪いと思う」と答えた学生が約6割もいました。両親があまりスキンシップしなかったり、話をする時間が短かったりすると、それだけでも子供は「両親の仲が良くない」と感じるようです。本当に仲が悪いわけでなければ、仲の良さを証明するために分かりやすく、むしろ子どもの目の前でスキンシップしましょう。


─はい、これからは堂々と仲の良いところを見せていきたいと思います! では最後に、子育ての一番のコツを教えてください。

親が楽しんでハッピーに子育てすれば、子どもだってハッピーな気分になれます。笑顔で楽しく接して「パパもママも私のことを好きなんだ」と子どもを安心させてあげてください。


【前篇】はこちら>


(※)『女の子の育て方』(著者:諸富祥彦 出版社:WAVE出版)



諸富祥彦(明治大学文学部教授)

1963年福岡県生まれ。明治大学文学部教授。心理学者・教育学博士。
専攻は教養(心理学)、カウンセリング(教育、恋愛、子育て)、人間性/トランスパーソナル心理学。大学で教鞭を執る一方、教育カウンセラーとして子育てに悩む多くの家庭にアドバイスを授ける。著書に『あなたのお子さん、このままでは大変なことになりますよ カリスマカウンセラーが語る究極の子育て術』(アスペクト)『男の子の育て方』『女の子の育て方』『ひとり親の子育て』(ともにWAVE出版)など。

http://morotomi.net/

上村 真徹(ライター・編集者)

上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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