『引っ越し大名!』 | コミュ障の“引きこもり侍”がお国の存亡を懸けた大役に!

身に余る重責を無茶振りされた…どう乗り切ればいい?


経験も人脈もない分野のプロジェクト責任者にいきなり抜擢された。夫婦共働きなのに学校のPTA役員を引き受けざるを得なくなった──。

とうてい自分には務まりそうにもない役割を任されて困惑した経験がある人はけっこう多いのではないでしょうか。


人生に必ず一度は押し付けられそうな無理難題を乗り切るには、どうすればいいのか?


そんな不安を解消してくれそうな映画を今回はご紹介します。

8月30日(金)から全国の劇場で公開される、星野源や高畑充希ら豪華キャスト競演で描いた痛快エンターテインメント時代劇『引っ越し大名!』です。


藩の国替え=引っ越し総責任者という突然の無理難題


『引っ越し大名!』は、生涯で7度も「国替え」を経験した大名・松平直矩(映画では及川光博が飄々としたミッチー節全開で妙演!)が、播磨姫路藩(現・兵庫県)から豊後日田藩(現・大分県)へ移った実際のエピソードをモチーフにした物語ですが、皆さんは「国替え」という言葉をご存じですか?


「国替え」とは、江戸時代に幕府が外様大名の力を弱めることなどを目的に、藩の領地を移し替えさせた、いわば“藩全体の引っ越し”のこと。

大名だけでなくすべての藩士とその家族全員が引っ越すため、移動人数は1万人、費用は2万両(現在の15億円)に上ることもあり、藩にとって参勤交代とは比べものにならないほど大きな負担だったそうです。


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物語の主人公は、姫路藩の国替え総責任者=引っ越し奉行に指名された書庫番の片桐春之介(星野源)。春之介は書庫にこもって軍学書を読むのが大好きな“引きこもり侍”で、人と話すことは大の苦手(そのコミュ障ぶりは星野源ならではのハマリ役!)。


なのに突然、一切ノウハウを知らない引っ越しの陣頭指揮を執らざるを得なくなります。しかも姫路藩は国替えにあたって藩の領地が15万石から7万石に減らされ、引っ越し費用を最小限に抑えなければならない…。

まさに無理難題以外の何ものでもありませんね。


コミュニケーションが下手で武芸にも秀でておらず、侍らしさのかけらもない──。

そんな周囲から軽んじられがちな春之介ですが、これまで読んだ膨大な本の知識を活かし、また幼馴染の御刀番・鷹村源右衛門(高橋一生)や前任の引っ越し奉行の娘・於蘭(高畑充希)に助けを借りながら、超難関プロジェクトをドタバタと乗り切っていきます。


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頭ごなしに恫喝する上役の無茶振りや理不尽な慣習がまかり通る武家社会は、まるでパワハラが横行する現代サラリーマン社会の写し鏡

そんな逆境で知恵を振り絞りながらミッションを次々とクリアし、「ポストが人を作る」という言葉を地で行くように成長していく春之介の活躍は、家族のために日々仕事を頑張るパパたちも「俺だってやればできる!」と我が身を重ねながら勇気づけられるはずです


また、江戸時代の引っ越しというと遠い世界の出来事のように感じがちですが、運搬費のコスト削減のため家財や大切な宝物を泣く泣く断捨離するなど、意外と現代に相通じるものがあり、物語がよりいっそう身近に感じられることでしょう。


普遍的な人の心を描いた、笑いあり涙ありの娯楽時代劇


この作品のもう1つの見どころは、春之介を中心に抜群のテンポで織りなされていく、時にコミカル、時にハートウォーミングな人間模様です。


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自分の殻に閉じこもりがちな春之介と、裏表のない体育会系キャラの鷹村が交わす幼馴染みの友情

草食系の春之介と姉さん女房タイプの於蘭がほのぼのと育む男女の愛情

そして、減封に伴う人減らし(リストラ)の説得役を強要された春之介が、その対象となる藩士たちとぶつけ合う“誇り高き侍の気骨”

さまざまな絆のカタチに誰もが胸を揺さぶられることでしょう。


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笑いあり涙あり、さらに本来なら苦行である引っ越しを和気あいあいと彩るミュージカル要素(原作者の土橋章宏先生お気に入りのシーンなんだとか)から、男性が好きなアクションの“殺陣”まで! 鷹村役の高橋一生が全長3.8mもの槍を豪快に振り回すシーンは必見です。


エンターテインメントの醍醐味が全部詰まり、現代に相通じるエッセンスも満載な、世代を問わず楽しめる娯楽時代劇をぜひご鑑賞ください。


『引っ越し大名!』(2019年) /日本/ 上映時間:120分
© 2019「引っ越し大名!」製作委員会

上村 真徹(ライター・編集者)
上村 真徹(ライター・編集者)

家庭では妻の笑顔と娘の成長を最大の生きがいに、週末の料理やデザート作りで家族の胃袋をつかんでいる。最近は娘が成長し、以前ほど甘えてくれなくなったのが悩みのタネ。映画は新作・旧作問わず、年間100作品以上鑑賞。マイベストムービーは『ゴッドファーザー』だが、実は泣ける映画好き。

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