「妻は“言うべきことを言う嫌われ役”」Daddy's Talk 第5回・後編 高木新平さん(NEWPEACE代表)

各分野で独特の感性を発揮し目覚ましい活躍を遂げているパパたちは、どのような家庭生活を送っているのか──。そんな気になる疑問を掘り下げる「Daddy's Talk」。


今回は、VISIONING COMPANY「NEWPEACE」代表の高木新平さんへのインタビュー後編。3児の父親である高木さんの、子どもとの向き合い方を中心に伺っていきます。


妻の言葉で気づかされた、子どもの好奇心の育て方

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──高木さんが「note」に投稿している記事の中に、たびたび奥様から厳しい意見を受けるエピソードが登場しますが、普段からけっこう奥様は高木さんに意見をぶつけてられるのですか?


毎日、矢のように飛んできますね(笑)。特に子育てに関するアドバイスは本当に鋭い。僕がなんとか一人前の父親になれたのは完全に妻のおかげです。


──「妻のパンチライン5選」という投稿を読んでいても、日ごろから相当パワフルな名言が多そうなことが想像できます。例えば「好奇心は簡単に死ぬんやで。あんたが殺したんや」という言葉も、読んでいてグサッと刺さりました。


いい言葉ですよね(笑)。でも本当にそうで、子どもって好奇心のかたまりなのに、無意識のうちに大人がその好奇心を止めてしまってることって多いんですよね。

例えば、壁に大きな絵を描きたがっている子どもに「描いちゃダメ!」と頭ごなしに否定すると、子どもはもう大きな絵を描こうとしなくなる。大人の楽した管理のせいで、その子はもしかしたら将来アーティストになったかもしれないのに、その芽を摘んでしまうことにもなるんですよね。


──子どものやろうとすることに対して、つい大人の常識で「それはダメ」と言いたくなることってありますよね。


あるんです。だから言い方が大事。まず本当にダメかを疑う。基本的にやりたいことは、やらせたほうがいいんです。失敗しないと転び方が分からないままだから。もし本当にまずい場合は、ダメな理由をちゃんと話すことが大事。頭ごなしに否定するのは大人のサボりです。

どんなことでもやらせてみて、そしてちゃんと反応することを僕は意識してます。「すごいやん!」とか「最高!面白いね!」とか。


──リアクションはオーバー気味ぐらいがちょうどいいのですか?


子どもが何かやったことや作ったものは、当然ですが大人から見たら大したものではないです。だから「はいはい」と軽くリアクションしがち。でも子どもにとっては初めてづくしの挑戦の先に生まれた記念すべきアウトプット。だからそのプロセスを意識するようにしてます。

もし自分が一生懸命やったものに対して、「へぇ、すごいね」程度のリアクションしか返ってこなかったら、もういいやってなっちゃうじゃないですか。だから我が家では、吉本新喜劇並みのリアクションが推奨されてます。そのオーバーさが子どもにも「好奇心の赴くままに動いていいんだよ」という気持ちを伝えてくれるんです。


子どもの世界に飛び込むなら、徹底的にやりきる

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──子どもの好奇心を育むために他にも心がけていることはありますか?


未知なるものをどんどん経験させ、興味を持ったものには徹底的にやらせてあげることですね。例えば、うちの娘は絵を描くのが好きそうだったんで、早いうちから本物の画材で絵を描かせました。もちろんぐちゃぐちゃです。それでも、本物に触れてやり切ることが経験になると思うので。


──大人も本気でサポートしてあげるのですね。


そうです。たとえば娘が2歳の時に『リトル・マーメイド』のアリエルに憧れて「泳ぎたい」と言い出したんです。早速、市民プールに連れて行ったんですが、みんな小さい子どもにはヘルパーの浮輪を装着していた。プカプカ浮かぶことはできても、これではアリエルみたいには泳げないなと思いました。

そこで僕はヘルパーを付けるのをやめて、背中に乗せて泳いだり、一緒に潜ったり、たまに溺れそうになったら抱き上げて勇気づけて、というのを繰り返して水中に慣れさせていきました。子どもの熱中は短いですから毎週必ず通いましたね。お風呂でも潜る練習をしました。すると少しずつ息継ぎやバタ足を覚え、2歳のうちに25mを自力で泳げるようになったんです。あれは僕の中でも、好奇心を成功体験に変えられた出来事だったと思っています。


──やりたいことに挑戦していくと、子どもがグングン成長できそうですね。


親にとってはヘルパーは安全だし楽です。逆に身一つで泳がせるのは勇気がいることでした。でも子どもが未知なるものをどんどん体験していくことで、“何だか分からないもの”に対して、どのように向き合うか、乗り越えるかを身体で覚えていくんだと思っています。僕はリスクをとって自由を獲得してきたタイプの人間なので、そういうことは子どもに伝えたいと思いますね。


──親のサポート力が問われますね。


実はこのあいだの8月には、上の子ども2人を連れて、群馬の山奥で2泊3日のキャンプをしてきたんです。妻が勝手に申し込んでたんですけど(笑)。水道、電気、ガス、お風呂もないガチな場所で、どう乗り切ればいいか僕も不安でしたが、結果的にはものすごく良い経験になりました。

火をおこすとか、なかなか都会ではできないことを子どもたちも経験して、明らかにたくましく生きる力が上がりましたね。こういう経験が自信を育てるんだなと実感しました。子育ては学びが多いです。


──子どもがいることで自分の世界が広がっていくのは親としての特権ですよね。


僕が若いうちに父親になりたかった理由の1つは、まさにそれです。年齢を重ねていくと自分にとっての正解が定まっていき、また地位が高くなることでプライドにとらわれるようになってしまいがち。今はまだ自分自身いろんな問いを持ちながらチャレンジしている身なので、子ども同じですよ。

それに自分より年上のパパ友が揃うコミュニティに入ると、年上の人とフラットに接して得られるものがたくさんあるし、若い父親は美味しいですよ。


──子どもの世界で体験することは、恥をかなぐり捨てないとできないことも時にはありますが、高木さんは大丈夫ですか?


妻からよく「やるなら恥ずかしがらず徹底的にやれ」と言われていて、ハロウィンでも毎年ガチで仮装しています。『美女と野獣』の野獣になりきったり、子どものマリオを乗せたヨッシーをやりきったり(笑)。最初は抵抗していたんですが、中途半端なことするよりも、思い切って新しい自分になったほうが、新たな発見もたくさんできるんですよね。


──他に、子育てで大事にしていることはありますか?


みんなでやることですね。年齢に関係なく、やれることを見つけて、手伝いでも遊びでも積極的に参加させています。背中を見せるというやり方もあると思うけど、みんなで同じことチームとしてやる方が楽しいし記憶に残るかと。

例えば、Amazonから飲料水のペットボトルやお尻拭きが大量に届いて、それを開封して棚にしまう仕事があるんですけど。ダンボールは硬いからまだ4歳の子は開けられないけど、並べて収納することはできるし、1歳の子には今は必要な分を妻に届けさせたり、シールをはがしたりてもらったり、確実にできることを探して遊びと同じように取り組むようにしています。 


子育てという事業を成立させるための“戦略的な役割分担”

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──子育てにおいて夫婦の役割などで意識していることやルールはありますか?


僕は子どもを怒らないようにしています。油断するとつい怒りたくなるのですが、しつけは妻が担当にしています。そしたら子どもたちは母親に怒られても、父親のほうに安心して飛び込んでこれるので。僕は徹底的に子どもの味方役ですね。


──夫婦で役割分担しているということですか。


はい。子どもにとって安心できる受け皿であることは、父親である僕の大きな役割の1つだなと。妻は大変な役を買って出ているわけですが、会社でも“言うべきことを言う嫌われ役”って重要ですよね。そのおかげで子どもは僕になつき、2人目の子どもが生まれた時も長女が赤ちゃん返りすることはありませんでした。


──小さいうちに、母親より接する時間の短い父親に子どもがなつくのは珍しいですよね。


子どもにとって安心できる受け皿でいられるように妻が「パパはカッコよくてやさしい人」というブランディングをしてくれてるんですよね。そして僕が週末に楽しい思い出を作れる場所に連れて行ったり、子どもに自由なことをさせてあげる──そうした戦略的な役割分担が、我が家では機能しています。

以前妻と喧嘩した際に「あんたは自分の力で子どもの信頼を勝ち取ったと思っているかもしれないけど、全然違うから。その信頼、一瞬でゼロにできるよ」と言われたことがあり、その瞬間は頭にきたけど冷静に考えるとその通りなんですよね。子どもにとって母親は絶対的な存在ですから。父親は頑張って虚像をつくるしかない。


──奥様もあえて役割分担しているんですね。


2人しかいない会社で、子育てという新規事業を2つも3つも抱えるのは大変。その中で事業を成立させるには、最適な役割と責任分担が必要ですよね。

あとはマネージャークラスの育成も大事ですが、それはまだ難しいかな(笑)。それでも最近は、長女はけっこう弟の遊び相手をしてくれていて助かってます。


──今後子どもが成長していく中で、ぜひやってみたいことはありますか?


早く子どもを持ちたかった理由の1つに、早く子どもと酒を飲みたいという思いがありました。長女が成人する頃には僕が46〜7歳──この年齢差ならお店で一緒に飲んでいてもまだ違和感ないですよね(笑)。

あとは早く子どもの運動会で走りたい。僕が小学生の頃にすごく若いパパがいて、カッコイイ兄貴みたいでとてもうらやましかったんですよ。まぁ仕事の姿でもいいんですけどね。父親のエネルギーを見せたいなと思います。


──こんな家族になりたいという理想や目標はありますか?


難しいですね、今は毎日サバイブすることだけで精一杯です。とはいえ新しいことには日々挑戦しつづけたいですね。例えば、子どもが海外に行きたいと言ったら年齢問わず行かせてあげたいし、育児が落ち着いたら妻には起業して思いきり仕事してほしいなと思ってます。また最近、長女がビーズ作りが大好きで、今度NEWPEACEのオフィスで社員に作品を売るつもりで値付けまでしているのですが(笑)、そうした会社を娘と立ち上げるのも面白そう。

せっかく家族という、ある意味ではリスクを取りやすい集団で生きているのだから、自分一人では体験できない未知なるものにいろいろチャレンジしていきたい。子どもが親離れするようになったら、妻と世界一周旅行に出たり友達と遊んだり、大人ならではの楽しみも満喫したいですね。




子どもの好奇心を育む取り組み方や日常生活における奥様とのエピソードを通じて、「やるなら徹底的にやる」ことの大切さがよく実感できました。子どもがいることで自分の世界が広がっていくというメリットも、高木さんのように家庭に全力でコミットすればするほど得られるものが大きくなるのでしょうね。


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<インタビュー協力>

高木 新平さん(NEWPEACE代表)

ビジョンアーキテクト。VISIONING COMPANY「NEWPEACE」代表。20世紀の画一性から人々を解放するため、様々な新産業のビジョンを創って仕掛けている。シェアハウス、自動運転、シェアリングエコノミー、SDGs、社会保障改革、卓球日本代表など。6curry、ONFAdd、REING、ADDressなどの事業づくりも行う。The Creative Capital「NEWS」共同代表。Public Meets Innovation理事。VC「NOW」クリエイティブアドバイザー。

家men編集部
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