令和時代の家族のカタチと父親像はどうなっていく?【後編】

これからの令和において、家族のカタチはどのように変わり、そして父親はどのような役割を求められていくのか?

その答えを探るべく、家族社会学・計量社会学を専門とし、『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』(光文社新書)の著者でもある立命館大学の筒井淳也教授にインタビュー。


後編となる今回は、いよいよ令和の家族像や父親像に迫ります


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  古代から平成まで…各時代の父親像はどのように変化してきたか?【前編】 新しく幕を開けた令和の時代において、家族のカタチはどのように変わり、そして父親はどのような役割を求められていくのか? その答えを探るため、まずは家族社会学の専門家・筒井淳也教授と共に「これまでの父親像の変遷」を振り返っていきます。 家men


「父親」ではなく「親」になる


──平成に共働き世帯が増加したことによって、これからの令和で家族のカタチにどのような変化が起こると思われますか?


夫婦で働いて家事育児を分担することによって、これまで男女それぞれに分かれていた役割や価値観が、今後ますます区別なく混ざり合っていくことが考えられます。


──仕事や家事育児を通じて得られる生きがいや責任を、男女等しく手にするということですね。


男性が家事や育児を通じて楽しさを得る機会が増え、それこそ「パパが作るお弁当が好き」と言われて喜びを感じることもあるでしょう。また女性の収入が増えれば、場合によっては男性が「一家の大黒柱」の地位から降りることができます。


──共働きのメリットは何ですか?


男性だけが稼ぎ手であれば、どんなに会社で理不尽な目に遭っても勤め続けざるを得ないのですが、女性にもある程度の収入があれば、転職するまでの間だけでも男性が離職することができますよね。つまり、本当に自分がやりたいと思える仕事を追求できる選択肢が広がり、仕事を生きがいにする余地があるということです。


──いわゆる「会社に従属する」という働き方とは異なるものですね。


はい。会社で働いてお金を稼ぐこと自体ではなく、仕事の内容が生きがいになるという構図です。もちろん、すべての家庭がそのようにうまくいく保証はありませんが。


──では、令和における父親像はどのように変わっていくと思われますか?


先ほど説明したように男女の役割が互換的になっていくという観点から、父親・母親という性別で区分するのではなく、「親」としてのあり方が求められるでしょう。


──つまり「父親はこうあるべき」という縛りから解放されていくということでしょうか。


そうです。それこそ同性婚に父親・母親という区別がないように、男女の夫婦もそうした形に近づいていくでしょう。「父親像」という概念にとらわれるのは、昭和や平成の発想ですね。


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家族を維持する難易度は高まっていく? そして真のワークライフバランスとは


──男女の役割が互換的になっていくという流れにおいて、男性にとって家庭はどのような場になっていくのでしょうか。


家のことはすべて妻に任せていた時代とは違って、家事育児の分担をしっかり決めてマネジメントし、妻子のケアもする…つまり「家族を維持する」必要がある。今までにない楽しさもあるけど、その一方で今までにない大変さも付きまとってきます。


──家族を維持する努力を怠るリスクは何ですか?


夫婦間の不満が蓄積し、熟年離婚に至る危険性が高まるでしょうね。日ごろから夫婦で意思疎通を行う時間を作っておかないと、致命的なすれ違いに発展するおそれがあるので、意識しておいた方がいいと思いますよ。


──以前よりも家族を維持する難易度は高まってきている気がします。


やることや考えることが多すぎて、人によっては「家族を維持すること」が仕事のように感じられ、負担になるでしょう。そうならないためには、まず会社で働く時間を減らさないといけません。


──どれぐらい働く時間が減るのが理想的でしょうか。


会社で仕事、家庭で家事育児を行い、それだけで1日が終わってしまう状況が最も辛いですよね。仕事と家事育児を行った上で自由な時間が残っていないと、会社や家庭における作業効率を見直したり、あるいはパートナーと意思疎通を行う余裕も持てなくなりますから。


──目の前の実務だけに追われていると、会社や家庭での問題改善まで意識が回らないも仕方ないですね。


まだ会社の業務は同僚や部下に頼ることができますが、家庭であれば職務分配も会計管理も夫婦だけで行う必要があるから、時間の余裕がないとなおさら大変なのです。


──昨今はワークライフバランスが重要視されていますが、仕事と家庭の両立に手一杯だとなかなか満足感を得にくいでしょうね。


たとえ仕事と家庭を両立できたとしても、それは有償労働と無償労働を両立しているにすぎず、いわば“ワークワーク”バランスです。仕事も家事も育児もしない、本当の意味での自由な時間も得られてようやくワークライフバランスを実現したと言えるのではないでしょうか。


予想と分析をまとめると…

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令和のお父さんってこんな感じ…?


まだまだ令和は始まったばかりで、未来を予測することも困難ではあるものの、今回のインタビューは家庭を守っていくためのヒントに富んだ内容でした。


家族を維持する重要性と、真のワークライフバランスを実現するために欠かせない自由な時間。これらを肝に銘じながら、令和の時代に望んでみてはいかがでしょうか。


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<インタビュー協力>

筒井 淳也(立命館大学 産業社会学部教授)

1970年生まれ。93年一橋大学社会学部卒業、99年同大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学。現在は立命館大学 産業社会学部教授。主な専門は家族社会学・計量社会学。著書に『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』(光文社新書)『仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』(中公新書)など。


イラスト:武田侑大 


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