
“ゆとり世代”は家事もフェアに!世代別のライフスタイル比較から見えた夫婦円満のヒント
近年は共働き世帯が増加傾向にある中、男女で家事をシェアする夫婦は珍しくなくなりました。
こうしたライフスタイルの変化には、1993年に中学校、1994年に高校で家庭科が男女必修になったことも影響していると考えられています。
では、家庭科の男女必修を体験した世代とそうでない世代とでは、家事をはじめとする人生の価値観にどのような差があるのか?
東京ガス株式会社の都市生活研究所では、生まれ育った時代の背景と生活者の暮らしや価値観と密接に関わる「食」を切り口とし、オリジナルの世代区分を定義。
その分類に基づいて、ライフスタイルに関する質問を世代ごとに調査した結果をご紹介します。
【世代の定義】
■コミュ食世代:平成元年〜7年(1989〜1995年)生まれ
食をコミュニケーションツールとしてつながり、楽しむ世代
■ゆる食世代:昭和57〜63年(1982〜1988年)生まれ
食へのこだわりや男女の役割などの規範意識が薄い(ゆるい)世代
■装食世代:昭和52〜56年(1977〜1981年)生まれ
日常の食をオシャレに装い、楽しむ世代
■選食世代:昭和47〜51年(1972〜1976年)生まれ
食の安全性など自分の価値観にあった食を選択する世代
■遊食世代:昭和40〜46年(1965〜1971年)生まれ
遊び心を持って食を楽しむようになった世代
■宴食世代:昭和33〜39年(1958〜1964年)生まれ
バブル(宴)の時代に若い社会人であり、贅沢な食を経験した世代
配偶者とは対等。何事も2人で一緒に考える
「配偶者と対等でいるため共働きがよい」という考え方について尋ねたところ、家庭科の男女必修を体験した24〜30歳(※)のコミュ食世代夫婦は他の世代と比べて最も高く、既婚者の約4割がそう思っているようです。
※2019年誕生日後の年齢
さらに「住まいの選択(家庭内での選択や決め事)」についての質問には、2人で同じくらい考える(考えた)割合はコミュ食世代が最も高く、6割近くに。
前問に続いて、コミュ食世代における夫婦間の対等意識が伺えます。
家事はできるほうがやればよい
家事全般への取り組み方について各世代に尋ねたところ、「家事は気づいたときに気づいたほうがやっている」と答えた割合はコミュ食世代がずば抜けて最多。
性別で役割を決めるのではなく、できるほうがやればよいと合理的に考える人が多いようです。
続いて個別の家事に目を向け、掃除について「妻を中心にやるのがよい」か「時間があるほうがやるのがよい」かを尋ねたところ、コミュ食世代だけが「時間があるほうがやるのがよい」派が優勢。家事を女性の仕事とは考えていないことがわかります。
また料理についても、「料理をスキルとして身につけたい」と考える人が男女ともコミュ食世代が最多。料理を面倒な家事というより「生きていくために大事なスキルのひとつ」と考え、自分自身のために純粋に身につけたいと考える人が多いようです。
フェアな関係意識は「男女差よりも個人差」のゆとり教育から
以上の調査結果からも伺えるように、現在24〜30歳のコミュ食世代の価値観は男女対等がベースになっています。仕事や家事を対等に担うだけでなく、これまでは女性だけの問題とされていたことを、男性も共有しようとする動きが広がっています。
こうした価値観の背景として、コミュ食世代が育った時代の影響があると思われます。彼らは“ゆとり世代”の真ん中であり、自分らしさを重視するゆとり教育を受けています。
そんな「男女差よりも個人差」の時代に育ったコミュ食世代にとって、男女フェアな関係は当然のこと。その上で、無理なく無駄なく合理的に物事を進めるため、「時間があるほう、得意なほうが行えばよい」という考えに至ったようです。
現在はまだ、共働きであっても出産すると女性が時短勤務となり、家事・育児の多くを担う家庭が多数派です。しかし今後、働き方改革の広がりとともにコミュ食世代の夫婦が増えることで、フェアに家事・育児を分担していく家庭がさらに多くなっていくのではないでしょうか。
性別役割を課さず、お互いに得意なことを活かして協力し合う──。本当の意味での男女対等意識が社会に広く定着し、夫婦が無理せず楽しく生きていけるようになるといいですね。
【調査詳細】
東京ガス都市生活研究所「都市生活レポート【20代『コミュ食世代』のライフスタイル Part2】」
https://www.toshiken.com/report/life54.html