
「僕にとって結婚は“共同創業”であり、妻はCo-Founderなんです」Daddy's Talk 第5回・前編 高木新平さん(NEWPEACE代表)
各分野で独特の感性を発揮し目覚ましい活躍を遂げているパパたちは、どのような家庭生活を送っているのか──。そんな気になる疑問を掘り下げる「Daddy's Talk」。
今回は、VISIONING COMPANY「NEWPEACE」代表の高木新平さんにインタビュー。9月に第3子が生まれ、より多忙を極める高木さんにとってのワークライフバランスや夫婦像を伺っていきます。
週2日の休日は、家庭にフルコミット
──高木さんは結婚6年目、31歳にして3児のパパ。周りに比べると早いですよね。
元々、25〜26歳で結婚して子どもも欲しいと思っていたんです。ちょうどその頃やってた仕事がきっかけで、現在の妻と出会って結婚しました。すぐ子どもができたのですが、そしたら思考が保守的になりそうな自分がいることに気づき、「やばい!起業しなきゃ!」と突然思い立ち、娘が生まれてくる前にNEWPEACEを立ち上げたんです。
──すごい思い切りですね(笑)。NEWPEACEでの活動は多忙を極めていると思われますが、ワークライフバランスはどのように保っていますか?
僕はアイデアを考えるのが好きで、もはや病気に近い(笑)。常に新しい企画や表現を考えていて、すぐ形にしたくなるんです。だから子どもができるまでは、毎日のように仕事に明け暮れていました。さすがにそれでは家庭を築けないので、先人の知恵である週休2日制にいったん従ってみることにしたんです。
──週2日はオフモードに設定したということですか?
はい。週5日は本気で働き、土日は家庭にフルコミットです。最初は、平日の仕事脳と週末の子育て脳の切り替えが難しかったのですが、まずパソコンなどの仕事道具を持ち帰ることをやめました。そして普段から私服ですが、週末は服も変えることにしました。
また育児知識もゼロだったので、妻の読んだ育児書を要約して教えてもらったり、良い本や記事を見つけたらお互いにシェアしたりしていて、これも1つの仕事のごとく楽しんでいます。子どもと遊んで観察しながら、どうやったらより良くできるか、一生懸命アイデアを考えています。
──頑張ってますね! 平日はどのくらい家事育児をやっているんですか?
平日は全然ダメですね。出社前に子どもを園に送ったり、帰宅後に洗濯物畳みや風呂掃除などをする程度ですね。ただ今は第3子が生まれたばかりなので、1カ月間育休を取って、2人の子どもの世話は僕がするようにしています。仕事はいろんな人に迷惑かけながら、朝と夜の時間を使って、超集中モードで頑張ってこなしています。
──得意な家事や好きな家事はありますか?
そんな家事はないです(笑)。僕は基本的に「得意なことは自分がリードして、苦手なことは思いっきり助けてもらう」というスタンスで生きてきたので、人生の辞書に「家事」という言葉はありませんでした。結婚当初は洗濯物の畳み方も分からないほど何もできなかったので…。
料理だって、ざっくりとした焼きそばくらいしか作れません。娘にも「パパって料理できないよね」と言われるくらいには家庭内評判が形成されており、僕が妻の代わりに弁当をつくろうとすると不安がられます。家事はもう日々、必死にやっていますよ。
──高木さんが家事をすることによって、家庭にもたらされるメリットはありますか?
あると思います。それは効率的な側面というよりも公平感なんですよね。家事や育児をこなすためには、どうしても夫婦いずれかの自由が制約されてしまいますよね。我が家だと自由が制約されるのは妻であり、それは相当にエネルギーを奪われることだと思うんです。
だから下手なりにでもやって、このコミュニティに貢献することが大事。それを子どもたちも見てますしね。忘れがちですが、家庭は一番の教室だと思うので。
──なるほど。高木さんが夫婦関係を円満に保つために心がけていることはありますか?
僕にとって結婚は恋愛の延長線上ではなく、“共同創業”なんです。例えて言うなら、妻はCo-Founder(共同創業者)で、子どもは心血を注ぐ“新規事業”。この組織は、これから3つの事業を抱えていくことになるわけです。
想像してみてください。2人の役員しかいない会社で、3つも新規事業が走っている状況を(笑)。大きな負担を強いられる中で、体力面やキャッシュ面でいかに健康的に事業を進めていけるかが大事です。だから僕は、妻が楽しく毎日過ごせているかが、一番大事だと考えてますね。
家事や子育てはアウトソースできても、妻のサポートは夫にしかできない
──奥様とのコミュニケーションの場はどのように確保していますか?
それが難しい。僕にとってはそういう機会を作っているつもりでも、妻からすると圧倒的に足りてないんですよね。
ママになった友人がSNSで「子どもは家庭におけるメインプロジェクト。なのに夫はサイドプロジェクトで忙しそうにしていて、やっと帰ってきたかと思うとミーティングにも参加しない。なんとか参加したと思ったらスマホをいじったり、別のサイドプロジェクトに関心が向いている。メインプロジェクトのPMとしてはイライラしかしない」と体験談を書いていて、あぁ僕もこう思われてるだろうなとドキッとしましたね。
──多忙な夫婦がじっくり向き合う時間を作るのは難しいのですよね。
子どもがいると全然話なんてする暇ないですし、とはいえ夜にミーティングのように正面から向き合う話し合いの場を設けると、深夜のガチ議論になってしまって疲れます。ちょうどいい場を見つけるのが大事だなと。
我が家は最近、週末遠方に出かけるときの運転時間でいろんな話しています。カウンター席じゃないけど、同じ方向を見ながら話すと意見が違うことでも前向きに話できるじゃないですか。
──面白いですね! ちなみに育児方針の足並みは夫婦でどのように揃えているのですか?
僕は妻を信用してますから、「好奇心」と「多様性」という2つのキーワードだけ伝えていて、あとは妻が采配しています。そういう意味で、我が家の社長は妻ですね。僕はCFOです(笑)。
──そうした中で高木さんが奥様に対して果たす役割は?
妻を支えること。それが夫の最も重要な役割だと思ってます。ある意味でゴジラみたいな子どもという存在と、責任感を持って日々向き合い、家を経営するっていうのはしんどいですよ。孤独を感じやすいですしね。
正直、いざとなれば家事や子育てはアウトソースできるけど、妻を理解・感謝し、精神的にサポートできるのは夫しかいませんから。だからどこまでいっても、一番大事なのは妻なんですよね。
── こうやってお話を聞くと、家庭と真剣に向き合われているんだなと、改めて尊敬の念を抱きました。
大変だけど辛くはないですよ。義務じゃなくて権利ですから。楽しいです。僕はときどきSNSで家庭ネタを発信しているんですが、「こういうのもアリでしょ」という問いかけのつもりなんですよ。周りはまだまだ子どものいない人も多いから、何かのヒントになればと思って。でも、子育てネタの発信に対する反響は圧倒的な女性からが多いですね。やっぱりまだまだ偏っているんですよね。
そういう意味で、家menみたいなメディアはすごく大事だと思います。僕が代表を務めるNEWPEACEのビジョンは「20世紀的システムから人々を解放し、多様性が爆発する社会をつくる」というものなので、新しい家庭のあり方や父親像も実践していきたいと思います。
NEWPEACEの代表取締役として日々多忙を極めながら家庭に全力でコミットする奮闘ぶりに圧倒されつつ、共同創業者である奥様への思いやりや信頼がとても印象的でした。高木さんのように発信力の強いパパが家庭観や父親観についてどんどん声を挙げていけば、もっと家庭と本気で向き合う夫・父親が増えるのではないでしょうか。
次回の後編では、高木さんの子育て観について伺っていきます。
▼Daddy's Talk 過去の記事はこちら
<インタビュー協力>
高木 新平さん(NEWPEACE代表)
ビジョンアーキテクト。VISIONING COMPANY「NEWPEACE」代表。20世紀の画一性から人々を解放するため、様々な新産業のビジョンを創って仕掛けている。シェアハウス、自動運転、シェアリングエコノミー、SDGs、社会保障改革、卓球日本代表など。6curry、ONFAdd、REING、ADDressなどの事業づくりも行う。The Creative Capital「NEWS」共同代表。Public Meets Innovation理事。VC「NOW」クリエイティブアドバイザー。