
旬な【じゃがいも】をもっと美味しく!八百屋が教えるじゃがいもの豆知識(選び方・保存方法・レシピ)
こんにちは! 旬八青果店バイヤーの松根です。
暦の上では最も寒いと言われる「大寒」を越えて、あとは春を待つばかり。春になると存在感を増すのが「新じゃがいも」。
今回は肉じゃが、コロッケ、カレーやシチューなど、家庭料理でも登場頻度の高い「じゃがいも」についてご紹介します!
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「新じゃがいも」と「熟成じゃがいも」
「新じゃがいも(新じゃが)」と言われる皮の薄いじゃがいもがたくさん出回るのは今だけ! ここから新じゃがが旬を迎えます。
さて、そもそも「新じゃがって?」と疑問に思われる方も多いことでしょうが、実は「新じゃが」には明確な定義がなく、一般的には1〜6月頃まで出回る採れたてのじゃがいもと言われています。
また、新じゃがは収穫産地が南の九州から段々と北に移動していき、そのため産地を変えて長く楽しめるようになっているのです。
貯蔵された「じゃがいも」と「新じゃがいも」には見るからに違いがありますが、この違いが生まれる大きな理由として収穫のタイミングにあります。
じゃがいもは開花後に花が枯れたり葉が枯れ始めると収穫のタイミングと言われており、まだ緑が元気なタイミングで収穫すると、皮が薄く瑞々しい「新じゃが」が収穫できます。
このタイミングからしばらく収穫せずに置いておくと葉や茎が枯れ、芋の皮も少しづつ厚くなります。こうなるまで置いておくことで、貯蔵に向く「じゃがいも」となるのです。
新じゃがはご存じのとおり皮が薄いため、皮ごとの調理でも美味しく食べられたり、採れたてで水分が多いため、火の通りが早いのが特徴です。
ならば、貯蔵のじゃがいもより新しい方がいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、貯蔵には貯蔵の良いところがあります。
実は、じゃがいもが持っている甘味を引き出すには、低温で時間をかけて貯蔵することが大切。
じっくり時間をかけて貯蔵・熟成することで、じゃがいものデンプンが糖に変わっていき、甘味・旨味の乗ったじゃがいもになるのです。
熟成されたことで甘味がグッと増したじゃがいもが出回るのも、実は新じゃががたくさん並ぶこの時期に合わせてとなります。
じゃがいも豆知識・保存方法
土の中で育つので、根っこのイメージが強いお野菜ですよね。でも実はじゃがいもは根ではなく、地下茎と言われる土の中にできる茎が大きくなったお野菜なのです。
じゃがいもを光に当てると緑になるのはその茎だから。
また、土ものなので常温での保管が一般的と言われますが、実は冷蔵庫もおすすめ。
じゃがいもは意外と水分も多く、発芽しやすい特徴を持っているので、一定の低温で保管するのが鮮度キープと発芽防止につながります。
美味しいじゃがいもの見分け方の一つとして覚えてほしいのが(品種によっては出ないこともあります)、表面にクレーターのような模様があるもの。
これはじゃがいもが完熟した証拠で、栄養がギュッと詰まって味が濃い傾向にあると言われています。
じゃがいもを購入する際、ぜひ表面の状態を意識してみてください!
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品種別!じゃがいもの楽しみ方
北は北海道から南は鹿児島まで、じゃがいもは全国各地で栽培されており、品種も数えきれないほどたくさんあります。
おおまかにホクホクした粉質系と、荷崩れしにくい粘質系のもの、もしくはその中間の食感のものに分かれます。作りたいお料理によって使い分けるとよりおいしく楽しめます。
知っておくと便利なメジャーな品種をいくつかご紹介します。
【粉質系】ホクホクしていてコロッケやポテトサラダ、フライドポテトに◎
男爵:丸くゴツゴツした形で果肉は白っぽいのが特徴です。
キタアカリ:男爵と形が似ていて、芽の部分がすこし赤っぽいのが特徴。果肉はやや黄色く男爵よりも甘味があるといわれています。
【粉質と粘質の中間】どんな料理にも使える万能品種
シンシア:フランス生まれの品種。卵型で芽が浅く皮がむきやすい。バターや生クリームとの相性も良い。
マチルダ:キウイのような楕円形。小粒でも味が良いことから、ホールポテトのような加工用に人気。
【粘質系】煮崩れしにくいので煮込み料理におすすめ
メ―クイーン:表面がすべすべしていて目が少なく、なめらかな舌触りが特徴。カレーやシチューにおすすめ。
インカのめざめ:かぼちゃやくりのような甘味と黄色の果肉が特徴。小ぶりで長期保存に向かないため、生産量が少なく、希少品種といわれている。
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じゃがいもをたっぷり使った簡単レシピ
定番の「じゃがバター」ももちろんおすすめ!
・千切りにしてさっと茹でて、シャリシャリの状態でドレッシングにあえてサラダに
・薄切りにしてグラタン皿に並べ、塩コショウと生クリームだけ入れてオーブンで焼けば、あっという間にじゃがいものグラタンが完成!
・粘質系のじゃがいもなら、千切りにして水にさらさずに炒めると、でんぷんでじゃがいも同士がくっつくので、ガレットのように焼いて楽めます
1年を通して手に入りやすいじゃがいもですが、「新じゃがいも」と「熟成じゃがいも」どちらも同じぐらい出回るのは今の時期だけ!
定番野菜だからこそ旬の時期を意識して楽しんでくださいね。
「八百屋の「旬八青果店」が伝授!美味しい野菜の見分け方」その他の記事はこちら>
■今回の執筆者
松根 拓乃(株式会社アグリゲート 仕入・卸事業部 バイヤー)
鯉淵学園農業栄養専門学校卒。鯉淵学園では、農作物の知識、栽培方法等、農業、農産物について学ぶ。現在は株式会社アグリゲート 仕入・卸事業部で青果知識・商品知識に長けた生産者と消費者を繋ぐバイヤーとして日々仕入れを行う。以前は、販売事業部にてデリカ・飲食グループのメニュー開発も担当。