仕事ができる人は料理上手!? 料理とプロジェクトの共通点とは

仕事ができる人は料理上手!? 料理とプロジェクトの共通点とは

料理

秘密結社「主夫の友」総統の村上です。

前回は理系がレシピでつまずきやすいポイントと、料理手順を体系づけて解説するフローチャートレシピを紹介しました。


▼前回の記事

  理系のための料理法を考える!料理をプロジェクトマネジメントする方法 この連載では、特に料理が苦手な理系男子向けに料理を分かりやすく解説し、料理をソフトウエア工学でとらえてプロジェクトとして考えマネジメントする方法をお伝えします。 家men


レシピは料理単品の作り方をまとめたもの。

たいていの食事の献立には数品の料理が並びます。つまり複数の料理・工程を並行調理しなければなりません。またレシピには材料を切ったりする下ごしらえや片づけまでは詳しく書かれていない場合が多いです。


目次[非表示]

  1. 1.料理は準備から片づけまでがセット
  2. 2.仕事ができる人が料理上手な理由
  3. 3.プロジェクトと料理の構成要素の比較
    1. 3.1.クライアント・ターゲット
    2. 3.2.要望・ニーズ
    3. 3.3.提案
    4. 3.4.設計、スコープ
    5. 3.5.リソース
    6. 3.6.在庫管理
    7. 3.7.コスト
    8. 3.8.工数
    9. 3.9.納期


料理は準備から片づけまでがセット

男性がやりがちな失敗は、無駄に材料を買い込んで余らせたり、作りっぱなしでキッチンに調理器具や汚れ物が散乱していて、事後処理は妻頼み。頑張って料理しているつもりなのに逆に妻に怒られてしまうなんてことも。


仕事ができる人が料理上手な理由

料理のプロセスは、食べる人(クライアントやターゲット)のニーズを汲み取り、冷蔵庫の食材や予算を考慮してメニューを考えて、足りない物があれば買い物に行き、食事の時間まで(納期内)にどのように段取り(リソースや工程を調整)して調理(制作)するかです。

これってプロジェクトを管理するのと似ていますね。


いわゆる男の料理というと、うどんやそば打ち、燻製やバーベキューといった、こだわり料理のイメージがあるかもしれません。時間や手間ひまかけて自分の作りたいものや得意なものを調理して人に振る舞う。


でもそれは自己満足の趣味の料理であって家庭料理ではないのではないでしょうか。


家庭料理は、家族の嗜好、栄養、健康に配慮して、毎日毎食の献立を考えて、食材や家計を管理し、時間内で調理することが求められます。


料理番組では、事前に調味料も分量が計られていて、材料も切り分けてキッチンに並べられた状態で調理スタート。簡単に調理しているように見えますね。


でもご家庭のキッチンでは食材を並べておくスペースもあまりないですし、ボールに取り分けておくと洗い物も増えてしまいます。


実際の料理ではお湯を沸かしている間に具材を下ごしらえするなど、調理と並行して次の準備をし、加熱の待ち時間で手が空いたら洗い物をしたりと、手際の良さが求められます。料理はマルチタスク。数品同時進行で調理し、なるべく同じタイミングで料理を完成させて、温かいものは温かく食べ頃で出すのがベストです。


料理をするには複数のタスクを串刺しにして工程管理するプロジェクトマネジメントのノウハウが活かせます。仕事ができる人は、料理もできる(!?)のです。


料理を考える



プロジェクトと料理の構成要素の比較

プロジェクトと料理の構成要素の比較

プロジェクトと料理の構成要素の比較表


クライアント・ターゲット

料理を食べる人です。

家族との毎日の食事。来客をもてなす料理。日常の家庭料理か特別な日のごちそうか(ケとハレ)。

誰とどんなシチュエーションで食事をするのかによって料理も変わります。


要望・ニーズ

相手の食べたいもの、前の食事の内容、今の気分や空腹具合といった嗜好やニーズをヒアリング。顧客ニーズに合うことで顧客満足度も向上します。

(ちなみに我が家は3世代同居。味の濃さ、辛さ、具材の食べやすい大きさや歯応えなど、幼児からシニアまで70歳以上の年の差の舌に合う料理を考える必要があります)


提案

プロジェクトをバランスよく進めるには、クライアントの要望に丸ごと応えてはいけません。料理も好きなものばかり作っていては飽きますし、なにより栄養バランスが偏ります。家族の健康を考え、旬の食材、冷蔵庫の在庫(リソース)を活用した献立を提案します。


設計、スコープ

献立を考えます。メニューに応じて調理手順を決めます。


リソース

キッチンの作業スペースの広さ、コンロ数、グリルや電子レンジなどの調理機器、鍋やボウルなどの道具は家庭によって異なります。コンロも場所によって火力が違い、温度調整が可能、自動炊飯ができるなど、多機能なコンロもあります。それぞれの役割、機能、扱いやすさを考慮し、限られたリソースを効率的に活用して、レシピをどのように調理するか組み立てます。


在庫管理

冷蔵庫の中身、賞味期限間近な食品、野菜の鮮度の確認。買い置きストック食材や調味料がなくならないかの把握と補充。

冷蔵庫に詰め込みすぎると冷却効率が下がり電気代もかかりますし、奥の方に追いやられて忘れ去られた食材が賞味期限切れて廃棄処分になることも。ビジネスも料理もサプライチェーン・マネジメントが重要です。


コスト

野菜や魚などは時期や天候によって値段も変動します。旬を把握して安く購入できる季節の料理を献立に取り入れます。長期保存可能なストック品のまとめ買い、スーパーのセール品、タイムセールなど仕入れのコストカットも意識しないといけません。

毎回の食事だけでなく、長期的な食費や全体の家計バランスも考えましょう。節約レシピを覚えることも大事ですが、特別な日にはお金を掛けて奮発ご褒美料理も作れるようにやりくりを。


工数

作る料理によって調理時間も手間も変わります。複数の献立を作る際、工数も生産ラインも増えますが、操業者(調理人)はあなた一人。時短レシピ・簡単レシピに不可欠なのは、調理の工数管理やライン管理による、生産性向上・業務効率化なのです。


納期

帰宅してから夕飯までどれくらいの時間があるか。作りたいメニューにかかる所要時間を逆算して調理開始。

子育てしている方は、保育園のお迎え時間から子どもの寝かしつけまでの限られた時間内でタイムアタック。帰るのが遅くなるなら、「時間がないから簡単に作れるものにしよう」「前の日や朝から仕込んでおいて、帰宅してすぐ料理できるように準備しよう」といった柔軟な対応も必要です。


このように料理とプロジェクトの構成要素には共通点が多いです。

ビジネスマンにとって料理をプロジェクトに置き換えると分かりやすくなりませんか。実際に飲食店や食品製造などビジネスの場では、製造工程や品質管理を行い調理をマネジメントしています。


料理は小さなプロジェクトなのです。


次回は料理をプロジェクトマネジメントするために、さらに具体的に掘り下げていきます。


▼次の記事はこちら

  プロジェクトマネジメント的思考で料理のメニューを決めてみよう! 「料理は理系!料理をプロジェクトマネジメント」と題し、料理をソフトウエア工学でプロジェクトとして考えマネジメントする方法をご紹介。連載第3回ではいよいよ実践編として、メニューの決め方に迫ります。 家men


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