
こだわりたい木製まな板の正しい使い方とお手入れ方法
毎日の暮らしの「困った!」に役立つ技やコツをご紹介する連載「目指せ我が家のHERO!家族を助ける特技を作る」。今回のテーマは「木製まな板の正しい使い方」です。
まな板には木製、プラスチック製、合成ゴム製などさまざまな材質のものがありますが、調理道具にこだわるパパなら木製まな板を愛用している方もいるのではないでしょうか。
確かに木製まな板は、機能性に優れているし木目の美しさも魅力的。でもその一方、木製ならではのお手入れの難しさに手を焼いている人も少なくないことでしょう。
そこで今回は、大切な料理の相棒である木製まな板を快適かつ長く使い続けるために知っておきたいポイントを、まな板、カッティングボード、お皿をはじめとする木製道具の製造販売するwoodpeckerさんによる監修でご紹介します。
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木製まな板のメリット・デメリット
プロの料理人にも愛用者が多い木製まな板。その最大の魅力は何と言っても“刃当たりの良さ”です。
木製まな板には程よい弾力性があり、包丁を使う手や腕が疲れにくく、また食材を切った時に包丁がまな板に柔らかく当たるため刃を傷めにくい=包丁が長持ちするというメリットがあります。
さらに、木製まな板はどっしりと安定感があり、プラスチック製などと比べてまな板自体が滑りにくく使いやすいというメリットも。
その一方、包丁が適度に食い込む木製まな板は表面に傷がつきやすく、その傷に食材が入りこみ、結果として雑菌が繁殖してしまう場合があるというデメリットも。
また、湿気でカビや黒ずみ(※)が発生してしまう場合や、その逆に急激に乾燥させたり片面だけ濡らした状態にしておくとまな板が反ってしまう場合もあるのでこまめなケアが必要です。
(※)専門機関で調査した結果、まな板の黒ずみは人体に害のないものであると結果が出ています。
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木製まな板の材質とそれぞれの特徴
木製まな板に使われる主な樹種はヒノキ、イチョウ、ヒバ、桐などがあり、それぞれ次のように特徴が分かれています。なお、木は年輪の中心と外側で硬さが変わるため、同じ材質のまな板でも硬さが異なることもあります(年輪の若い部分=外側ほど柔らかい)。
■ヒノキ
乾燥に強くて抗菌作用にも優れ、比較的簡単なお手入れでも清潔さを保ちやすいのが特長。ただし、最初の使い始めはヒノキの香りが強いため、食材に香りが移らないよう注意が必要です。
■イチョウ
木質が柔らかく刃当たりが優しいため、包丁が長持ちしやすいのが特長。また弾力性があり包丁の切り跡が付きにくく、軽い木質のため扱いやすいとうメリットも。
■ヒバ
ヒノキチオールという天然のオイル成分を多く含み、抗菌や防臭効果に優れています。お手入れも比較的簡単ですが、ヒバは成長に時間が掛かる希少な木材のため、一般的な木製まな板より値が張る製品も。
■桐
他の木材と比べて軽くて使いやすく、また乾燥が早いためカビや黒ずみが発生しにくいのも特長。ただし、弾力性があまりないため、包丁の傷がつきやすいというデメリットもあります。
木製まな板の日々の取り扱い方
■使う前は必ず水で濡らす
木製まな板が乾いた状態でいきなり食材を切ると、表面についた傷に食材が入り込むことで雑菌が繁殖したり、匂いがつきやすくなります。
そこで調理前にまな板の両面全体をさっと水で濡らすことで膜を作り、表面をコーティングしましょう(片側だけ濡らすとまな板が反る原因につながるので要注意)。
なお、まな板を濡らすといっても水がびしょびしょのままだと使いづらいので、余分な水はきれいな布巾で拭き取ってください。
■生ものを切った後はすぐに洗う
食材の液体成分や雑菌がまな板の内部に染み込まないよう、特に肉や魚といった生ものだったり匂いの強い食材を切った後は、調理中であっても一度キレイに洗い流しましょう。
逆に、何度もまな板を洗わなくても済むよう、生ものを切る工程を最後に回すといいですよ。
木製まな板の洗い方・消毒・乾燥・お手入れ方法
■木製まな板の洗い方
野菜のように匂いや汚れが強くない食材を切った後なら、基本的にはやわらかいタワシで汚れをかき出すようにこすり、洗い流水ですすげばOK。
肉や魚を切った場合は、洗剤を使用して洗い、流水でしっかりとすすぎましょう。(洗剤がまな板に残らないよう、よくすすいでください。)
■熱湯消毒はまな板を洗い終わってから
カビや雑菌の繁殖を防ぐには熱湯消毒という方法も。ただし、木の表面に負担をかけるため、生肉や生魚を調理し洗浄した後や、さっぱりしたい時など、熱湯消毒は時々でOKです。
その際、汚れがついた状態のまま熱湯をかけてしまうと、食材のタンパク質汚れが熱湯で固まってしまうので、必ずまな板を洗い終わってから熱湯消毒しましょう(片面でやかん1杯、両面でやかん2杯が目安)。
■使い終わったら水を拭いてしっかり乾燥
木製まな板のお手入れで特に重要な工程が「乾燥」。洗い終わったまな板は清潔な布巾で両面の水分をしっかり拭き取りましょう。表面はもちろん、小口、取っ手の中もしっかりと拭き取ることで、黒ずみの発生をぐっと抑えることができます。
拭き取った後は、風通しのいい日陰に立て掛けて乾燥させましょう(スタンドに立てたり、フックや紐を活用し、接触面をなるべく減らすことがポイント)。直射日光に当てたり乾燥機の力で急激に乾燥させると、まな板の割れや反りにつながるので注意してください。
■まな板が反った、傷やカビ・黒ずみが気になったら
木の板には反る性質があるので、木製まな板を使い続けるうちに反ってしまいガタガタすることも。その場合は、まな板の購入元・販売店等で表面の削り直し・修理を依頼しましょう。
また、まな板の表面に黒ずみやカビが出てきたり、包丁による傷で表面が凸凹になってうまく切れなくなった場合も同様。まな板を購入する際、削り直しサービスがついている商品を選ぶのもポイントですよ。
木製まな板はきっちりお手入れすれば、何十年も使うことだってできます。それにお手入れの工程自体はシンプルなので、習慣づけるのも苦ではないはず。
性能や使い勝手に優れ、使い込めば使い込むほど味が出て愛着が湧く木製まな板を正しく使い、毎日の料理を快適かつ楽しいものにしてみませんか。
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※記事協力【woodpecker】
2007年創業。木工業が盛んな岐阜県にて、「木のある暮らしの心地良さ」をテーマに、天然木を使った自社オリジナルの木製品の製作、様々な分野で活躍する専門家達とのコラボレート商品の製作をしている。
アトリエ:岐阜県本巣郡北方町北方1502番地の2
代表:福井賢治