【防災の新常識】防災を「当たり前」にするには?日常生活に取り入れやすい防災アクション

【防災の新常識】防災を「当たり前」にするには?日常生活に取り入れやすい防災アクション

ライフスタイル

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  1. 災害大国に住む私たちが持つべき防災意識とは
  2. 防災アクションを日常に取り入れることから始めよう
  3. 【専門家監修】やってみよう!10の防災アクション
    1. ①家族全員で、安全な避難場所・避難所を確認しよう!
    2. ②家族全員の連絡先や連絡方法を把握しよう!
    3. ③自分以外の誰かの視点に立って考えてみよう!
    4. ④備蓄品・非常時持ち出し品の準備をしよう!
    5. ⑤家や部屋の中の状況を把握しよう!
    6. ⑥火災への備えを確かめよう!
    7. ⑦停電への備えを確かめよう!
    8. ⑧応急手当やAEDの使用方法を理解しよう!
    9. ⑨近隣の人とのコミュニケーションを深めよう!
    10. ⑩こころの防災についても考えてみよう!
新型コロナウイルス感染拡大防止への対策が“新しい生活様式”として日常的に求められていますが、災害大国・日本に住む私たちは自然災害への備えも忘れてはいけません。今年7月に九州北部や東海などで発生した、甚大な豪雨被害は記憶に新しいところでしょう。

しかし、旭化成ホームプロダクツが9月1日の「防災の日」に合わせて行った調査(※1)によると、家庭における災害の備えは十分と答えた割合はわずか11.7%。また、災害の備えに費やす時間を年間あたりで平均すると、わずか10.1分ということが明らかになりました。

※1:旭化成ホームプロダクツ株式会社「全国20~60代 700名に聞いた「防災意識と備えに関する調査」」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000036323.html


しかし、自然災害はいつどこで起きるか分からないもの。パナソニックが静岡大学防災総合センター特任教授の岩田孝仁氏と共同で作成した「365日災害カレンダー」(※2)によると、日本ではこれまでの歴史で365日毎日何かしらの災害が起きており、いかに日々の生活が災害と隣り合わせにあるかということが分かります。

※2:パナソニック「365日災害カレンダー」
https://sumai.panasonic.jp/gensai/pdf/calendar.pdf


そこで今回は、防災意識を向上させるために知っておきたいことと、普段の生活に取り入れやすい防災アクションについて静岡大学防災総合センターの岩田教授の解説をご紹介いたします。

災害大国に住む私たちが持つべき防災意識とは

私が監修した「365日災害カレンダー」は、大別して7種類の災害で構成されています。地震や火山活動に代表される地質災害が約5割、気象状況に起因する気象災害が約5割となっていることが、カレンダーからおおよその傾向として見て取れます。

気象災害については、例えば豪雨・水害・土砂等は梅雨の時期に当たる6~8月、台風は8月~10月、火災は空気が乾燥する冬季といったように、発生時期に季節性が関係している印象があるかと思います。一方で地質災害については、1年を通して満遍なく発生しており、規則性がないようにも見えます。

いつどんな災害が起こるかということは誰にも分からず、日々の生活は災害と隣り合わせ──そのような環境で暮らしていながらも、現代の日本人の防災意識が希薄であることが懸念されています。

自然災害大国であり、これまでに数々の大災害を経験したりメディアを通じてその情報を日常的に得ていること、災害そのものの認識は間違いなく高いはずなのですが、「自分の身にどういうタイミングで起きるのか」というところまでは深く考えられていないように思われます。要するに、意識はしているにも関わらず実際の防災アクションを起こしていないということなのです。

例えば、多くの方が、雨が降るかもしれないと思ったら傘を持って出かけるでしょう。その「かもしれない」という状態が、自然災害について言えば毎日のことであると考えるようにしていただければ良いかもしれません。大切なのは、防災を「特殊なもの」と考えるのではなく、「あたりまえのこと」だったり「普通のこと」と考えられるように、常識を変えていくことです。

防災アクションを日常に取り入れることから始めよう

とはいえ、やはり防災というものは受動的な姿勢でいて取り組めることではありません。自らが能動的にアクションを起こしていく必要があります。現状であまり防災アクションを行っていない方が簡単に始められるという視点のみならず、防災を「あたりまえのこと」「普通のこと」と考える習慣を身に付けていくためにも、まずは防災アクションを日常生活に取り入れることから始めてみましょう。

以前は日常生活と防災アクションに幾分かの乖離がありましたが、現代社会においては様々な技術が発達したことの恩恵も受けながら、日常生活と防災アクションとの重複する部分が増えてきたように思われます。

例えば、ここ最近はいわゆるアウトドアが人気になっていますが、アウトドア用品には災害時にもそのまま有効に活用できるものが多くあります。非常食の定番でもあるインスタント食品やアルファ化米は、賞味期限が近づいたときには新しいものを備蓄分として再び購入し、災害時でなくても食べることができます。半年に1回ご家庭でインスタント食品を食べる日を設けて、備蓄食料の確認をするのも良いかもしれません。

住宅環境も大きく変化しました。耐震性についての技術や法整備も進んでいますし、家庭用蓄電池や太陽光パネルや貯湯式の電気給湯機のように、生活を豊かにしながら災害時にも活躍する設備も多く存在します。現在では、災害時に避難所内に長時間滞在するよりも、しっかりと対策された自宅での「在宅避難」が推奨される場合もあります。

防災グッズひとつを見ても、以前に比べて簡単に入手できる便利なものがたくさんあります。この現代において、防災アクションがどれだけ取り組みやすいものになったかは、皆さんがもっと認識すべきことだと思います。まずは、日常の物事を防災の視点で見つめ直してみて、アクションの一歩を踏み出してみましょう。毎日の生活に取り入れられることから徐々に始めていくことで、その活動は持続させていきやすいものになるはずです。

【専門家監修】やってみよう!10の防災アクション

①家族全員で、安全な避難場所・避難所を確認しよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

そもそも「避難場所」と「避難所」の違いについてご存知でしょうか?

「避難場所」とは、災害の危険から逃れるための場所。「避難所」は、自宅での生活が困難になったときに、しばらく生活する施設。それぞれの特性を理解し、自分の住む地域の「避難場所」「避難所」と、避難経路を確認しましょう。

②家族全員の連絡先や連絡方法を把握しよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

災害発生時、スムーズな安否確認を行うために、連絡手段について事前に家族と話し合っておきましょう。

また、非常時はスマホ・携帯電話が使用できない可能性を考慮し、家族の電話番号やメールアドレスなどをメモしておくことも重要です。あわせて「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言版」の使い方も学んでおきましょう。

③自分以外の誰かの視点に立って考えてみよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

自分以外の誰かの視点に立って、災害発生時のことを考えてみましょう。

例えば、最近あまり体の調子が良くなく行動に時間がかかってしまう高齢者、体格や視線の高さがまったく違うだけでなく災害の知識も少ない子ども等、家族や身の回りの誰かの視点で物事を捉えるだけで、今まで気づかなかったさまざまなリスクが見えてくるかもしれません。

④備蓄品・非常時持ち出し品の準備をしよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

食料、水、燃料、生活用品等、1週間分は備蓄用に準備しておきましょう。そのうち3日分程度は、貴重品、情報収集用品、災害用品等とともに非常時持ち出し品としても活用することができます。

普段から少し多めに食料や日用品を購入しておき、消費した分だけ新しく買い足すことで常に一定量の食料・日用品を家に備蓄しておくことができる「ローリングストック法」も、日々の生活の中で実践してみましょう。

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⑤家や部屋の中の状況を把握しよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

タンス・食器棚等の家具、蛍光灯や冷蔵庫等の家電、窓ガラスなど、何気なく置かれている・設置されているものが、災害時には凶器になり得ます。転倒防止対策や飛散防止対策をしっかりと行いましょう。

部屋の中で寝転がってみて、いつもとは違う視点から点検を行うことも、簡単に取り組みやすい有効な方法です。

⑥火災への備えを確かめよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

ブレーカーの切断やガスの元栓を閉める操作を知っておくことや、火災報知器の電池切れを確認したり、消火器・消火バケツなどを備えることが基本です。

また、停電が復旧した際に、倒れた暖房機器や傷んだコードに再び電気が流れることで起こる「通電火災」の危険性も知られるようになりました。強い地震時に電気を自動でOFFにする、「感震ブレーカー」があると安心です。

⑦停電への備えを確かめよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

懐中電灯はもちろん、長期にわたる停電時に電気を使用できる蓄電池や、日中に充電して使用できるソーラー充電式LEDランタン等があると安心です。

また、停電時に自動で点灯する保安灯は携帯電灯として使用できるものもあり、災害時のケガや転倒を防ぐことで安全を確保することができます。あえて電気を数時間止めていつも通りの活動を行ってみて、実際どのように生活が変化するかを体験することも、取り組みやすいアクションのひとつです。

⑧応急手当やAEDの使用方法を理解しよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

災害時にけが等をした場合、適切な応急手当を速やかに施すことによって、傷病者の救命率は大幅に向上します。そのため、基本的な応急手当やAEDの使用方法を事前に知っておくことは大切です。

地域の消防本部・消防署が行っている救命講座や、消防庁が用意しているオンラインの応急手当WEB講習等をぜひ受講してみましょう。

⑨近隣の人とのコミュニケーションを深めよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

地域でのコミュニケーションを深めると、災害時に声を掛け合ったり、助け合うことができるため、心強い味方になります。

地域の防災訓練や防災研修へと参加したり、地域の防災倉庫・防火水槽・AED等の設備の位置を把握しておくことも大切です。まずは、「おはようございます」「こんにちは」等の、簡単な挨拶から始めてみましょう。

⑩こころの防災についても考えてみよう!

(画像提供:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社)

突然の災害に見舞われるなど、いざというとき、パニック状態に陥るのは当たり前です。“深呼吸する”、“「大丈夫」と口にする”など、ご自身やご家族が冷静になれる言葉や行動を事前に知っておくことが大切です。

また、災害後の厳しい環境下で少しでもリラックスできるように、マッサージやアロマテラピー、体操など、ご自身ならではの方法を身につけておきましょう。
日常生活に取り入れやすい「10の防災アクション」をご紹介しました。

自然災害はいつ起こるか分からない──ならばその備えとなる防災対策も、一時的な訓練や講習にとどまらず、日常の一部として継続的に取り入れることが重要ではないでしょうか。コロナ渦で生活様式が変わりつつある今こそ、我が家の防災意識と備えを家族みんなで見直してみてください。

記事協力:パナソニック株式会社ライフソリューションズ社

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