暖房の設定温度が高いと効率が下がる?テレワークに集中できる冬の空気環境のつくり方

暖房の設定温度が高いと効率が下がる?テレワークに集中できる冬の空気環境のつくり方

ライフスタイル

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  1. 集中を妨げないエアコン設定温度は「通常よりもマイナス1度」
  2. 快適に過ごせる湿度は?部屋の湿度を上げると体感温度も集中力もアップ
  3. 電気代の節約にも!冬場の換気中もエアコンはつけっぱなしでOK
1年間でも2月は特に寒い季節。しかもコロナ渦の今年は外出自粛やテレワーク推進によって家族みんなの在宅時間が増え、エアコンやストーブやヒーターなどの暖房器具を例年以上に運転している家庭も多いのではないでしょうか。

暖房器具の使いすぎが家庭に及ぼす心配ごとといえば「光熱費のアップ」ですが、他にも注意すべきポイントがあります。室温が下がらないよう暖房を長時間稼働したり高めの温度に設定していると、空気が乾燥したりよどんで頭がボーッとすることはありませんか? そうした状態が続くと集中力が落ち、大人の仕事効率や子どもの勉強効率が下がってしまいかねません。

そこで今回は、パナソニックが発表した実験結果やアイデアを参考に、器具の設定温度を高くしなくても部屋が暖かく感じる暖房効率のポイントや、暖房をつけながらでも気分をリフレッシュできる室内換気のコツをご紹介します。

集中を妨げないエアコン設定温度は「通常よりもマイナス1度」

エアコンやヒーターなどの暖房をずっとつけている部屋にいると、顔がほてったり頭がボーッとするのは、暖気を感じることで体温が上昇し脳の血流がアップしてしまうため。逆に考えると、暖房器具の設定温度を下げることで室温を低くし体感温度を下げれば、暖房のついた部屋でも集中力を維持できるということです。

(画像提供:パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部)

パナソニックと京都大学が共同で実施した実験結果(※1)によると、室温を1.5度下げた環境で集中力は10.8%上昇し、3度下げた環境では11.3%上昇したという結果が出ています。ただし、室温を3度下げると寒く感じる場合があるので、1~1.5度下げる程度がちょうどいいそうです。
※1:パナソニック「エアコンを使いたくない理由は「電気代」「乾燥」「足元が温まらない」」

とはいえ、ただ室温を下げれば集中力がアップするというわけでもありません。慶応義塾大学教授の伊香賀俊治先生によると、手足の末端が冷えると血管の収縮や血圧の上昇が引き起こされ、心拍が乱れることによって気が散り集中力が低下しやすいそうです(※2)。暖房器具の設定温度を下げる際は、エアコンの風向きを床に向けたり下半身をひざかけで覆うなど、足元をきちんと暖める工夫もお忘れなく。
※2:家men「冬の寒さと乾燥は健康の大敵!住宅環境の室温・湿度を適切に保つ高断熱・高気密住宅のメリットとは」

快適に過ごせる湿度は?部屋の湿度を上げると体感温度も集中力もアップ

部屋の室温と集中力との相関関係は理解できても、エアコンなど暖房器具の設定温度を通常より低くすると、逆に寒さが気になって集中できないということもありますよね。そこで工夫したいのが「湿度のコントロール」です。

室内の温度が同じでも、湿度や直接当たる風によって体感温度は変化します。なかでも湿度の増減は体感温度に大きく影響し、気温が低くても湿度が高いと寒さを感じにくくなります(快適に感じられる湿度は一般的に40〜60%が目安)。また、前出の伊香賀俊治先生によると、室内の湿度が低いと、空気の乾燥のせいでまばたきの回数が増えて作業効率も落ちるとのこと。つまり湿度のコントロールは、テレワークや勉強の集中力をキープするためにいっそう重要ということです。

でも、エアコンで暖房を使えば使うほど部屋の空気は乾燥してしまいますよね。その結果、湿度が一定の高さに保たれている場合よりも、体感温度を低く感じることも…。エアコンを使う際は加湿暖房で運転したり、あるいは加湿機を併用するようにしてみてください。そうすれば部屋の湿度が上がることで体感温度も高くなり、心地よく過ごすことができます。

(画像提供:パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部)

エアコンと加湿機を併用する場合は、加湿機から送り出される加湿された空気が効率よく部屋中に行き渡るよう、エアコンの風の通り道にあたる場所に置くのがオススメ。つまり、暖房時は一般的にエアコンの風向が下向きになるため、エアコンの真下がベストポジション。そうすれば加湿器の蒸気がエアコンの風に乗り、部屋中に行き渡りやすくなります。

なお、加湿機能付き空気清浄機の場合はエアコンの下ではなく、図右のようにエアコンの対面や対角線の壁に置くのがベター。本来、空気清浄機は部屋の空気を循環させながらキレイにしていくのに、加湿空気清浄機から出る気流がエアコンの風にぶつかると、部屋の空気の循環の妨げとなってしまうからです。暖気の循環と空気清浄機の効果を両立するには、エアコンが風を送り出す場所からなるべく離して“気流に乗せる”イメージを意識して設置しましょう。

電気代の節約にも!冬場の換気中もエアコンはつけっぱなしでOK

暖房のつけっぱなしでよどんだ空気をリフレッシュするためにも、また新型コロナウイルス感染防止策としても、一定の間隔で部屋の窓を開けて換気を行うことが大切。一般的に換気は「1時間に5分を2回」と言われていますが、冬場は部屋の温度の低下を防ぐために「1時間に2~3分を4回」と短くこまめに換気するのがオススメです

なお「換気中にエアコンをつけていると電気代がもったいないから消す」という方もいるかもしれませんが、いったん室温が下がった状態でエアコンの運転を再開すると、設定温度まで室温を再び上げるために消費電力(電気代)がより多く必要となるので要注意! ダイキンの調査(※3)によると、冬の朝から夜の時間帯(7:00~23:00)に30分に1回、5分間の窓開け換気を行う際、エアコンの電源を小まめにオン・オフした場合よりもつけっぱなしにした方が消費電力量は少なくなり、電気代が1日で約14.5円下がったのだとか。ちなみに、暖房を一度もつけていない状態の部屋を喚起するより、暖房で部屋をある程度暖めてから換気した方が、屋外からの空気で下がった室温を設定温度まで上げるための消費電力がより少なく済むそうです。
※3:ダイキン工業株式会社「冬に窓開け換気をする場合、エアコンの運転はどうしたらいいの?」

なお同調査では、エアコンをつけた部屋で換気をする際、加湿空気清浄機による加湿の有無の影響についても実験。すると、「加湿なし」だと湿度30%台の時間帯が続くのに対し、「加湿あり」ではほぼ湿度40%をキープ。つまり、節電のためにも健康のためにも、エアコンも加湿器・加湿空気清浄機も“つけっぱなしで併用”するのがベターということ! それに、エアコンや加湿器を運転し部屋を暖かくしておいた方が、窓開け換気をしても快適に過ごせますしね。

(画像提供:ダイキン工業株式会社)

収束の気配が見えないコロナ渦の冬は、在宅勤務の日数が増えたり家にこもらざるをえない状況が続くと思われます。仕事や勉強の集中力をキープし、例年よりも長くなったおうち時間を快適に過ごせるよう、暖房器具や加湿器を上手に活用して部屋の温度・湿度を適切にコントロールしましょう。

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