コロナ禍でも「正しく恐れ、正しい行動」を!子どもの食物アレルギー&アナフィラキシーの実態と対策を専門医が解説

コロナ禍でも「正しく恐れ、正しい行動」を!子どもの食物アレルギー&アナフィラキシーの実態と対策を専門医が解説

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  1. 食物アレルギーとアナフィラキシーの実態
    1. 食物アレルギーとは?3大アレルゲン以外の原因物質にも要注意
    2. アナフィラキシーとは?重症化すれば命の危険も
  2. 食物アレルギーの子を持つパパママがコロナ禍で抱える不安と悩みは?
  3. コロナ禍で注目されるオンライン診療という選択肢
  4. もっと知りたい!コロナ禍の食物アレルギー対策
    1. ①食物アレルギーとストレスの関係
    2. ②正しく恐れ、正しく行動し、コロナ禍でも受診を
    3. ③正しい情報を入手し、食物アレルギーにまつわる誤解と不安を解く
    4. ④いざという時のためアナフィラキシー補助治療剤の備えを万全に
小さな子どもがいる家庭の悩みの一つといえば、全国で乳児の10人に1人が抱えているといわれる食物アレルギー。普段の料理ではアレルギーの原因食物を除去し、外食でも原因食物が含まれてなさそうなメニューの選定に細心の注意を払っていることでしょう。そんな食物アレルギー対応に努めるパパママにとって、コロナ禍という未曽有の状況は「病院で診療を受けたいけどコロナの感染が心配」など、今までの生活以上の不安やストレスを強いられているのではないでしょうか。

そこで今回は、食物アレルギーを持つ子どもとそのパパママがコロナ禍でも安心して暮らせるよう、アナフィラキシー補助治療剤の製造販売元であるマイランEPD合同会社が開催した「アナフィラキシー啓発オンラインセミナー」から、小さな子どもがいるパパママが知っておきたい食物アレルギーの基礎知識や対策についてご紹介します。

食物アレルギーとアナフィラキシーの実態

セミナーは昭和大学 医学部 小児科学講座 教授の今井孝成先生による講演からスタート。食物アレルギーとその重篤症状であるアナフィラキシーの実態、さらにコロナ禍における食物アレルギー患者を取り巻く実態や取るべき対策について取り上げられました。

今井孝成先生(昭和大学 医学部 小児科学講座 教授)

食物アレルギーとは?3大アレルゲン以外の原因物質にも要注意

食物アレルギー診療ガイドラインの定義によると、食物アレルギーとは「食物によって引き起こされ、免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が誘発される現象」のこと。端的に言うと、アレルギー原因物質(アレルゲン)を含んだ特定の食物を体が有害物質と認識することによって免疫反応が生じ、さまざまなアレルギー反応が起きることを指します。

食物アレルギーはⅠ型からⅣ型まで4つのタイプに分類され、特に発症例が多いのが「即時型」と呼ばれるⅠ型。アレルゲンが体内に入った直後から短い時間で皮膚や呼吸器に症状が出るアレルギー反応のことで、今井先生らの統計によると患者の発症年齢は0~1歳が圧倒的多数。小学校に上がる頃までを含めると発症者全体のおよそ9割にものぼり、また近年は乳幼児の食物アレルギー有病率そのものも増加傾向にあるそうです。
この即時型食物アレルギーの3大アレルゲンと呼ばれているのが「鶏卵」「牛乳」「小麦」。今井先生らの統計によると、この3つだけで患者全体の発症原因の2/3を占めるそうです。ただし3大アレルゲン以外にも原因食物の種類は多岐にわたり、発症原因3位の小麦と4位の「木の実類(クルミやカシューナッツなど)」の割合はわずか約2%の差。
また、同じ統計を年齢別に見ると、0歳は3大アレルゲンが原因食物の1~3位を占める一方、1~2歳と3~6歳では「魚卵類」が2位、さらに木の実類は3~6歳で1位に。これについて今井先生も「食物アレルギーの原因が年齢別に変わっていくということはぜひ知っておいてください」と強調していました。

アナフィラキシーとは?重症化すれば命の危険も

即時型食物アレルギーの症状で最も多くみられるのは、皮膚症状(かゆみ、じんましんなど)で86.6%。他に呼吸器症状(せきなど)や粘膜症状(目のかゆみや鼻水)が続きますが、今井先生が特に注意を促していたのが、アナフィラキシーショックと呼ばれる「ショック症状」。割合こそ10.8%と低いものの、命に危険が及ぶこともある重症なのだそうです。
アナフィラキシーとは、食物・薬物・ハチの毒などのアレルゲンを体内摂取・接触してから短時間に起きる、激しい急性アレルギー反応のこと。さらにアナフィラキシーによる強い症状が複数の臓器に現れる(複数の症状が重なる)ことで、急激な血圧低下などを引き起こす危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。日本におけるアナフィラキシーショックの発生は年間5000~6000人にのぼり、死亡件数も毎年40~70例報告されています。
さらに今井先生によると、アナフィラキシーは分単位で症状が悪化し、場合によっては数分程度で心停止に至るケースもあるそうです。併せて今井先生は、119番通報から病院に搬送されるまでに要する平均時間が約39分という統計を引き合いに出し、病院での治療が間に合わないこともありえるので、アドレナリン自己注射薬等で備えておくことが大切と日ごろの準備の重要性を訴えていました。

食物アレルギーの子を持つパパママがコロナ禍で抱える不安と悩みは?

食物アレルギーを持つ子のパパママ100人に行った調査によると、新型コロナウイルス感染拡大による不安・不便を感じている人は54%。理由として特徴的だったのが、1位の「自分が感染しないか」に続く2位の「病院受診への不安」。この不安の内容を別の質問で掘り下げたところ、「情報不足」や「不十分な備え」、さらに「治療の継続性(治療が中断/延期すること)などが挙げられていました。
また、こうしたパパママの不安は実際の受診行動にも影響していて、「新型コロナ流行以降、食物アレルギー診療のための受診をしなくなった/頻度が減った」と回答したパパママの割合の合計は全体で39%。感染リスクへの心配や、流行が落ち着くのを待ちたいという心理が、受診控えにつながっている現状が明らかになりました。

コロナ禍で注目されるオンライン診療という選択肢

こうしたコロナ禍による受診控えの解決策となりうるのが、電話やビデオ通話を活用して自宅などから医師の診療が受けられる「オンライン診療」。同調査でパパママにその受診意向を尋ねたところ、「積極的に利用したい」「利用したい」の合計が48%。その理由として、病院へ行く時間や待ち時間短縮、さらに感染リスク低減が挙げられていました。
その一方、利用したくないと答えた人たちも全体の52%と過半数越え。その理由として「感覚的に抵抗がある」が44.2%。他にも「医師の指示が十分に伝わるか不安」「伝えたいことが医師に十分伝わるか不安」など、オンラインでの意思疎通に不安を感じている人が少なくないようです

こうした意見に対して今井先生は「患者様も不安に思っている中、我々も慣れていない部分のため、どのようなやり方が良いのかというのはこれから進んでくるところだと思います。ただ、操作が面倒というご意見に対しては、一度試していただければ、いかに簡単か分かっていただけると思います。少なくとも若い世代においては、オンライン診療というのは今後のスタンダードになっていくのではないかと思っています」と説明していました。

もっと知りたい!コロナ禍の食物アレルギー対策

講演に続いて、食物アレルギーを持つ子どもの母であり、モデルの長谷川理恵さんが登壇し、今井先生とのトークセッションに移行。その中で、講演内容を掘り下げたりパパママの疑問・不安解消につながるコメントがいくつかあったのでご紹介します。

①食物アレルギーとストレスの関係

長谷川さんが「子どもにストレスを与えないよう、コロナ禍でも日常生活になるべく変化がないよう努めていた」と語ったところ、今井先生は「臨床の実感として、元気そうに見える子どもたちも実はストレスを受けているなという実感があります。一概に言えませんが、ストレスはアレルギーに限らず疾病症状を起こしやすいです」と注意を促していました。

②正しく恐れ、正しく行動し、コロナ禍でも受診を

コロナ禍による受診控えについて長谷川さんの「正直、今の時期に病院へ行くのに抵抗があるので、病気やケガなどの予防にはいつも以上に注意してきた」という本音と体験談を受け、今井先生は「新型コロナウイルスは正しく恐れるべき感染症。適切な対策を取った上で、食物アレルギーなどの治療が必要なお子さんには定期的に受診してほしい」と訴えていました。

③正しい情報を入手し、食物アレルギーにまつわる誤解と不安を解く

ぜんそくなどのアレルギー症状の影響で新型コロナウイルスにかかりやすくなる(重症化しやすい)ことを心配する方がいるそうですが、今井先生によると「その心配はないので安心してください」とのこと。今井先生は「厚生労働省や自治体が提供している情報、あるいはネットで情報収集するのであれば医師が監修しているWEBサイトをチェックしてください」と信頼できる正しい情報を得るポイントをアドバイスしました。

④いざという時のためアナフィラキシー補助治療剤の備えを万全に

食物アレルギー患者に処方されるアドレナリン自己注射薬(アナフィラキシー補助治療剤)について、長谷川さんが「過去に子どもへ注射したことがあります。練習せず一発勝負でした」と体験談を語ると、今井先生も「子どもは注射の針を嫌がるし、実際に注射は痛いけど『注射よりアナフィラキシーの方が辛いので、症状が出たら打ってほしい』と子どもから聞いたことがあります」とコメント。さらに「不安であれば練習用トレーナーもあるので、自宅で練習しておくといざという時にあわてず適切に対処できるのでオススメです」と、自己注射薬の携帯と練習の必要性を説明されていました。
編集部スタッフも娘がピーナッツなどのアレルギーを患っているため、食物アレルギーの症状や対策について学び実践してきましたが、今回のセミナーを通じてアナフィラキシーショックなどアレルギーの恐ろしさを改めて実感しました。

食物アレルギーの子を持つパパママにとって、コロナ禍における食物アレルギーの予防や治療には不安が付きまとうと思いますが、正しい知識を得ることで正しく恐れ、子どもたちのために取るべき対策と備えを行ってください。

画像提供:マイランEPD合同会社

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