
【育児とペット】ペットが子どもにもたらす良い影響は?パパママが注意する飼育のポイント
ライフスタイル
目次[非表示]
「ペットを飼ったら子どもが喜びそう」と思っても、一歩を踏み出せないパパやママもいますよね。生き物の飼育は子どもの情操教育に役立つなど、さまざまなメリットがあります。世話が大変かもしれない、アレルギーが気になる、亡くなったときどうしよう…と心配事もあるでしょう。
そこで今回は、ペットが子どもにもたらす影響や飼育の注意点を愛玩動物飼養管理士の筆者が解説します。
そこで今回は、ペットが子どもにもたらす影響や飼育の注意点を愛玩動物飼養管理士の筆者が解説します。
ペットが子どもにもたらす影響とは?思いやりや想像力を育てる存在に
21世紀になってからペットを室内で飼育する家庭が増えています。「ペットは家族」という考え方も広まり、特に犬や猫は「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」とも呼ばれるほど身近な存在になりました。20〜40代の子育て世帯で飼われている主なペットは、犬、猫、魚(メダカや金魚)、ハムスターなどです。触れ合えるかどうかの違いはありますが、いずれのペットも子どもに良い影響をもたらしてくれます。
思いやりの心が育つ
ペットの存在は子どもの思いやりの心を育むことが明らかになっています。人の言葉を話せない動物と交流するときに、相手の気持ちを察したり、「もし自分が動物だったら」と想像したりするきっかけになります。生き物の世話は見返りを期待しない自発的な行動も思いやりの一つ。また感情や愛情の表現がわかりやすい犬などのペットほど情緒の発達に有効と考えられています。言葉ではなく感情で会話することで、非言語コミュニケーション能力を伸ばせるからでしょう。
癒やしの効果がある
ペットと触れ合って癒やされ、ストレスが低下して精神的に安定します。病院や学校で「アニマルセラピー」や「動物介在教育」が注目されているのも癒やしの効果から。特に犬は人に共感したりコミュニケーションを図ったりする能力が優れています。子どもとパパ・ママのスキンシップなどで分泌される愛情ホルモン「オキシトシン」は人と犬の間にも存在し、ポジティブな気持ちをもたらしてくれます。学校の教室に犬がいることで集中力が持続できるメリットも報告されました。
想像力を豊かにする
子どもにとって身近に感じやすいペットは、目を合わせたり触れ合ったりできる犬や猫。ただし触れない生き物の飼育もメリットがあります。子どもが金魚を鑑賞することで、名前をつけたり物語を作ったりする事例が報告されています。想像力には相手の気持ちを察するだけでなく、自分だけのストーリーを楽しむ自由な発想を養う能力も含まれると考えてよいでしょう。ごっこ遊びのようなメリットが得られます。
発語のきっかけになる
子どもが初期に覚える単語は、犬や猫などの動物を意味する言葉が多いことがわかっています。「わんわん」や「にゃんにゃん」などの繰り返し語もあることから、ペットが発語をうながすきっかけになるのでしょう。我が家の愛犬と散歩をしているとき、「わんわん!」と声をかけられたり、笑顔で近寄って来られたりすることも珍しくありません。余談ですが、5歳以上になると「オオカミだ!」と驚かれるようになります。『赤ずきんちゃん』の影響かな、と微笑ましく思っています。
健康的に育つ
犬を飼っている家庭で育った子どもは、感染症や呼吸器疾患にかかるリスクが減り、免疫力が向上することがわかりました(※)。触れ合いが免疫の発達をうながす(乳児のころに身近な菌を口にすることで丈夫な体になる)のでしょう。犬と散歩に行くことで、日光浴や運動する機会が増えることも健康の維持に役立っています。
※Respiratory Tract Illnesses During the First Year of Life: Effect of Dog and Cat Contacts
※Respiratory Tract Illnesses During the First Year of Life: Effect of Dog and Cat Contacts
アレルギーや事故に注意!子どもとペットを守るための心構え・対策
ペットを迎える前に、保護者が中心となって子どもと飼育方法を学ぶことが重要です。ペットを擬人化(人以外のものを人にたとえる)するのではなく、生態や習性を理解することから始めましょう。
動物アレルギーの対策
ペットを迎えた後で、子どもが動物アレルギーを発症することがあります。主にペットの毛やフケ、唾液が原因で、せきやくしゃみ、かゆみなどの症状が起きます。ハムスターに噛まれてアナフィラキシーを起こしたケースもあるため、事前に病院に相談し血液検査でアレルゲンを調べるなど子どもの体質を確認するのも一案です。飼育用品(ウッドチップなどの床材)が原因になることもあるので、気になる方はアレルギー科で詳しく聞いてみましょう。
ペットを迎えたらこまめな掃除や空気清浄機で清潔さを保ち、予防を心がけましょう。もし動物アレルギーを発症した場合も、接触を減らすことで飼い続けられます。重症の場合は、保護者が責任をもって新たな飼い主を探すことも視野に入れましょう。
ペットを迎えたらこまめな掃除や空気清浄機で清潔さを保ち、予防を心がけましょう。もし動物アレルギーを発症した場合も、接触を減らすことで飼い続けられます。重症の場合は、保護者が責任をもって新たな飼い主を探すことも視野に入れましょう。
人獣共通感染症の予防
人と動物の双方に感染する病気が「人獣共通感染症」です。かまれたり引っかかれたりした傷や、排泄物を触った手をなめたりして感染することがあります。免疫力が弱い子どもは重症化するリスクがあるので要注意。小さい子どもは犬の鼻や肛門に興味をもって触ることがあるため、触れ合う際には保護者が付き添い、最後には手洗いを心がけましょう。
咬傷事故を防ぐ
ペットと子どものトラブルを防ぐことが大切です。特に起きやすいのは犬の咬傷事故で、子どもが被害者になりやすいのが特徴です。犬より少ないものの、猫に引っかかれる事故も起きています。トラブルのきっかけはさまざまですが、子どもがペットを叩いたり引っ張ったりした可能性もあります。保護者が適切な接し方のお手本を見せて教えましょう。
脱走などのトラブルを防ぐ
犬の散歩を子どもに任せるのは危険です。犬が逃げたり他の犬とトラブルになったりしたときに対処できる年齢になるまで、保護者が付き添いましょう。とはいえ犬の散歩のときにリードを持ちたがる子どもが多いので、あらかじめリードを2本つけておき、保護者と子どもで1本ずつ持つのも良い方法です。自宅にいるときも扉や窓の開閉の際にペットを逃さないように家族で注意し、ペットゲートなどを活用して安全を確保しましょう。
ペットの死を受け止める
ペットが亡くなったとき、子どもなりに死を受け止めようとします。ずっと泣いていることもあれば、悲しくないふりをすることもありますが、その気持ちを肯定して立ち直るまで見守りましょう。励ますよりも受け止めることが大切。もし子どもの不注意でペットを死なせてしまったとしても責めるのは控えましょう。ペットの死を通して命の大切さを学んでくれるはずです。
魚のように触れ合わない生き物の死はやや実感しづらいので、わかりやすく教えることも必要かもしれません。新たなペットを迎える場合も、過ちを繰り返さないように保護者と飼い方を学ぶことから始めるのも一案です。
魚のように触れ合わない生き物の死はやや実感しづらいので、わかりやすく教えることも必要かもしれません。新たなペットを迎える場合も、過ちを繰り返さないように保護者と飼い方を学ぶことから始めるのも一案です。
保護者が責任をもって世話をする
ペットは子どもの情操教育に役立ちますが、教材ではなく生き物です。保護者が責任を持って新たな命を迎え、育て、看取りましょう。責任感を養うために子どもに世話を任せる場合も、保護者が付き添って適切な方法を教えてあげること。子どもが無理なく安全にできる「ごはん係」などの作業を担当させるだけでもやりがいを感じます。子どもを中心に考えがちですが、ペットの幸せも考えることも重要。パパ・ママは子どものお手本になるような責任感のある飼い主を目指しましょう。
<専門家プロフィール>
金子志緒
金子志緒
ライター/編集者。愛玩動物飼養管理士1級/防災士/いけばな草月流師範。レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、動物や防災のテーマを中心に記事、雑誌、書籍の制作を手がける。甲斐犬のサウザーと暮らしている。ブログ https://www.shimashimaoffice.work
▼あわせて読みたい
▼あわせて読みたい