【父親像の歴史】令和時代の家族のカタチと父親像はどうなっていく?(後編)

【父親像の歴史】令和時代の家族のカタチと父親像はどうなっていく?(後編)

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目次[非表示]

  1. 「父親」ではなく「親」になる
  2. 家族を維持する難易度は高まっていく? そして真のワークライフバランスとは
これからの令和において、家族のカタチはどのように変わり、そして父親はどのような役割を求められていくのか?

その答えを探るべく、家族社会学・計量社会学を専門とし、『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』(光文社新書)の著者でもある立命館大学の筒井淳也教授にインタビュー。

後編となる今回は、いよいよ令和の家族像や父親像に迫ります。
▼前篇はこちら

「父親」ではなく「親」になる

──平成に共働き世帯が増加したことによって、これからの令和で家族のカタチにどのような変化が起こると思われますか?

夫婦で働いて家事育児を分担することによって、これまで男女それぞれに分かれていた役割や価値観が、今後ますます区別なく混ざり合っていくことが考えられます。

──仕事や家事育児を通じて得られる生きがいや責任を、男女等しく手にするということですね。

男性が家事や育児を通じて楽しさを得る機会が増え、それこそ「パパが作るお弁当が好き」と言われて喜びを感じることもあるでしょう。また女性の収入が増えれば、場合によっては男性が「一家の大黒柱」の地位から降りることができます。

──共働きのメリットは何ですか?

男性だけが稼ぎ手であれば、どんなに会社で理不尽な目に遭っても勤め続けざるを得ないのですが、女性にもある程度の収入があれば、転職するまでの間だけでも男性が離職することができますよね。つまり、本当に自分がやりたいと思える仕事を追求できる選択肢が広がり、仕事を生きがいにする余地があるということです。

──いわゆる「会社に従属する」という働き方とは異なるものですね。

はい。会社で働いてお金を稼ぐこと自体ではなく、仕事の内容が生きがいになるという構図です。もちろん、すべての家庭がそのようにうまくいく保証はありませんが。

──では、令和における父親像はどのように変わっていくと思われますか?

先ほど説明したように男女の役割が互換的になっていくという観点から、父親・母親という性別で区分するのではなく、「親」としてのあり方が求められるでしょう。

──つまり「父親はこうあるべき」という縛りから解放されていくということでしょうか。

そうです。それこそ同性婚に父親・母親という区別がないように、男女の夫婦もそうした形に近づいていくでしょう。「父親像」という概念にとらわれるのは、昭和や平成の発想ですね。
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