東京島酒の源流を辿る旅【前編】青ヶ島

東京島酒の源流を辿る旅【前編】青ヶ島

趣味・遊び

目次[非表示]

  1. 東京島酒の源流を辿る旅。青ヶ島からスタート
  2. 神のご加護がないと辿りつけない島
  3. 選ばれし者が乗り込む9人乗りヘリコプター
  4. 時化になるとこんな様相に…
  5. 青ヶ島の歴史を紐解けば「環住」の2文字を目にします
  6. 逆境だからこそ心を緩めるお酒が造られました
  7. あおちゅう生産者は村の名士、荒井清さん
  8. 奥山 晃さんによる焼酎レクチャー
  9. 温度感ある青ヶ島流のおもてなしは蒸気を使います
  10. 青ヶ島を飲んで応援。想いを寄せて東京でも飲めるあおちゅう
  11. あおちゅうを飲みながら青ヶ島にひたれるお店

あおちゅう生産者は村の名士、荒井清さん

いよいよあおちゅうの現場見学です。案内をご担当いただいたのは荒井清さん。生産者の皆さんはそれぞれ本業があり(焼酎造りが副業)、荒井さんは島の唯一の食料品・酒を扱っている店舗とガソリンスタンドの経営もされています。

荒井さんは島の家庭で造り飲まれていたあおちゅうを、免許を取得し会社として組織化。持続可能なあおちゅう作りを推進、牽引してきたリーダーです。10人の中で最も生産量が多い杜氏さんでもあります。
あおちゅう生産者の皆さんが製造・焼酎造りを一元化して実施するのがこの蔵です。強い風速にも耐えられるようコンクリートで堅牢に作られています。
訪問した時は、ちょうどあおちゅう(芋焼酎)を仕込んでいる真っ最中で、もろみを攪拌する情景も目にすることができました。

麦麹で麦焼酎と、麦麹で芋焼酎を造るのが島酒スタイル。九州スタンダードでは米麹と麦や芋など素材を組み合わせる手法とは異なります。それは貴重なお米を酒造りにまわせなかったことが背景です。結果そのことが地域オリジナルな味も醸しだしたのです。

奥山 晃さんによる焼酎レクチャー

荒井さんの蔵案内の後は、あおちゅうが全種類飲める試飲スペースで1本ずつ特長を聞きながらの試飲タイムです。

ご説明はあおちゅうの生産者の中で広報担当の奥山晃さん。牛を飼い、公共事業の現場を担当しながらあおちゅうを醸しています。カメラがお好きで、プロ並みの作品も見せてくださいました。
あおちゅうのことはどんな角度でも聞けば教えてくれます。生産者10人の特長や製法の違いなど奥山さんの説明を聞きながら流れるゆったり時間、癒されるひと時です。

あおちゅう全種類と島でしか飲めないあおちゅうの華垂れ、度数70度の特別な1本も飲ませていただきました。特区によって青ヶ島でのみ飲める特別なあおちゅうだそうです。都内でも見たことがないレアすぎる1本。島まで行けば体験できます。
夜は村で唯一の居酒屋もんじにて奥山さんと一献となりました。村の人々にとっては、あおちゅうを飲みながらもんじでカラオケをするのが最高なアミューズメント。今日もグラスを傾けながらマイクを握る方々がお店に集います。

乾杯に、カラオケの歌声に、たくさんの笑顔が満ちて、ふけていく青ヶ島の夜でした。

温度感ある青ヶ島流のおもてなしは蒸気を使います

青ヶ島の人情味あふれる温度感あるおもてなしの一つに、地熱を使ったお料理があります。自然エネルギーを利用する「かまど」は無料で使い放題。青酎の生産者・荒井さんが卵ととうもろこしを、このかまどで調理してくださいました。
生卵をパックごとと、ラップに包んだとうもろこしを格納してから「畑に案内してやるから行くぞー」と車に乗り込み、青酎の素材となるさつまいも(紅あずま)の畑をひとっ走り。戻ってきたら出来上がりです。

二重カルデラの中の自然風景を見ながら荒井さんと2人で、ピクニック気分でぱくつく茹で卵。格別な味わいでした。
「子どもの時はさつまいもを地熱で茹でておやつにしたもんだぞおー」と豪快に笑う荒井さん。ちなみに青ヶ島に電気が通ったのは昭和41年です。電気がなくても子どもなりにたくましく育つ環境があったことと察します。

青ヶ島を飲んで応援。想いを寄せて東京でも飲めるあおちゅう

世界でも珍しい二重カルデラの島。選ばれし者しかたどり着けない困難さはありますが、上陸してみるとたくさんの魅力が詰まっています。

夜の星空は360度広がり、日中は黒潮に浮かぶ雲に見とれます。海を望む牧場では牛も雄大に育ちます。自然環境に加えて温度感たっぷりの人の魅力も島らしさ。島の厳しい環境で生き抜くしなやかな強さもあおちゅう造りに反映されています。
青ヶ島の苦難な道を超えて伝えつながってきた伝統ある東京島酒、あおちゅう。首都圏で飲んで応援したいものです。

たどり着くまではハードですが、到着すれば特別濃い体験ができる青ヶ島、家族旅行でもお勧めします。日本のほぼ最南端であおちゅうで乾杯できる喜びは最高なひとときを、ぜひどうぞ。

あおちゅうを飲みながら青ヶ島にひたれるお店

東京で青ヶ島のお酒・食材で飲めるお店が2軒あります。青ヶ島情報も教えていただけるので、青ヶ島旅行が決まったら、事前に通って青ヶ島情報を仕入れておきましょう。

青ヶ島屋(新宿)  https://r.gnavi.co.jp/bmkpv6pr0000/
くさやバー(池袋) https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13215814/

おまけですが、今回東京島酒をたどる旅で宿泊した民宿の夜ごはん。
島の港で連れたお魚を使った豪華版島寿司。食べきれないくらいたっぷりとご提供いただきました、こんな嬉しいおもてなしも青ヶ島ならでは。
また選ばれし者になれますように精進して、その日を今から待つことにします。<b r>東京の秘境、青ヶ島。ぜひ足を運んでみてくださいね。

参考文献
-小林亥一『青ケ島島史』青ケ島村,1980
-青ヶ島村教育委員会、青ヶ島村勢要覧編纂委員会 編『青ヶ島の生活と文化』青ヶ島村役場,1984
▼東京島酒の源流を辿る旅【後編】八丈島
▼「自分だけの「焼酎スタイル」を確立!奥が深い焼酎を極める」記事一覧
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