焼酎聖地宮崎の蔵元さんを巡る旅 後編(県北・県央)

焼酎聖地宮崎の蔵元さんを巡る旅 後編(県北・県央)

趣味・遊び

目次[非表示]

  1. 【県北編】県北の特長は麦と雑穀
  2. 姫泉酒造
    1. 歴史は江戸時代から始まります
    2. 民藝の道具を使った丁寧な手作業がらしさです
    3. 江戸からの風景も次世代へ
  3. 落合酒造場
    1. 鏡洲川の美味しい伏流水を求めて第二の創業
    2. 多様な素材の使いこなしは落合さんスタイル
    3. 物語仕立ての焼酎コンセプト
    4. 一期一会の食事の時間を支える焼酎を
  4. 渡邊酒造場
    1. 蔵人であり農業者として風土で醸す酒
    2. 持続可能な「循環していく造り」の日常
    3. 近所の大根工場とも酵母菌で共生

渡邊酒造場

蔵人であり農業者として風土で醸す酒

宮崎市田野町にて大正3年(1914年)に創業。初代はアメリカから帰国され、ご縁がありこの地で焼酎作りを始めたそうです。

現在は4代目の渡邊幸一朗さんが代表を務め、弟の潤也さんが支え、ご兄弟で焼酎作りにまい進しています。焼酎ブームでも人気を博した「黒麹旭萬年」「白麹旭萬年」が渡邊酒造場さんの顔として著名です。
蔵の特長は「風土で醸す酒」。渡邊さんのこだわりは蔵人であり、同時に農家でもあることです。

蔵で使用する芋のうち80%は自家栽培で育てています。畑と蔵が常に同期できていることで、確かな素材を使って焼酎を仕込むことができます。収穫時期は掘りながら選別もでき、リスクがあるものは畑の段階で捨てることで次の工程が効率化されます

日々の畑の様子が現在進行形ですべて把握できているからこそ、焼酎作りが良い意味で合理化し、毎年進化を続けています。

持続可能な「循環していく造り」の日常

サツマイモ収穫の後は選別した芋を越冬させ、種イモ用に低温貯蔵庫で保管。芋の表情と対話しながら温度管理を徹底させ、翌年の植え付けを待ちます。年が明けて春になれば畑へと、年間を通してサツマイモが自社畑の中で循環しています。

また芋焼酎を仕込んだ後のいわゆる焼酎かすも、肥料化させることで畑に戻しており、肥料を通しても一気通貫循環しています。
芋を仕込む際にヘタをカットしないで皮も入れます。その理由は、皮に含まれる香り成分も残しておきたいという配慮から。

手間はかかりますが、畑を起点に栽培、収穫、仕込み、その後の肥料化も実現させ、焼酎作りのゼロエミッションを行動で示していることは、環境に配慮した未来の工場のあるべき姿にも思えます。

近所の大根工場とも酵母菌で共生

仕込み時の発酵にもこだわりがあるのが渡邊さん流。蔵付き酵母に活躍してもらう段階では、工場内の窓を全開にして仕込みをされています。

もちろんそれには理由があって、近所の大根加工場から浮遊する菌を空気中から迎えるため。  菌の共生を受け入れあうことで、自社工場内の酵母と地域で育つ酵母が一体化し、独自の発酵システムが成り立 っています。
多様性を受け止めあい、農ある暮らしを真ん中に醸される焼酎は、瓶の中に渡邊さんのメッセージが色濃く投影され封じこまれています。

手作りと逆行する商品製造が世の中では合理性優先で一般化していく風潮の中、畑と焼酎作りが一体化し、頑固な手作りで提供される焼酎が飲めることの贅沢さを想う現場見学でした。
一方、web投票で人気の芋を使った焼酎を開発するなど、時代にあわせた焼酎作りを手掛ける先進的な試みもされています。初代がアメリカから戻って創業した逆パターンで、現社長の未来には日本を飛び出して海外へ日本の地酒を提案する野望も視野に入っているよう。

焼酎界の次世代のリーダーとして世界にも羽ばたく成功モデルとして焼酎界をぜひ牽引してほしい筆頭の蔵元さん、それが渡邊酒造場さんです。
■渡邊酒造場 HP
http://asahi-mannen.com/

※かつての焼酎道具が植木鉢に。粋な転用が渡邊さんらしいです

次回は県南・県西の生産者を訪ねます。

以上

執筆・写真:町田正英

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