焼酎聖地宮崎の蔵元さんを巡る旅 後編(県南・県西)

焼酎聖地宮崎の蔵元さんを巡る旅 後編(県南・県西)

趣味・遊び

目次[非表示]

  1. 【県南編】薩摩藩との食文化が交じり合う多様な地域性
  2. 小玉酒造
    1. 飫肥藩の歴史が息づく小京都で醸す焼酎
    2. 蔵人は東京から日南市へ
    3. 2つの蔵が融合した背景
    4. 地元の素材と手仕事にこだわり
  3. 古澤醸造
    1. 明治創業からの土蔵は「登録有形文化財」
    2. 甕に足跡を聞かせる焼酎造り
    3. しみじみと心に通う日南八重桜
  4. 【県西編】霧島連山の豊富な水系と良質なサツマイモの産地であることが特長
  5. 柳田酒造
    1. 元エンジニアの経験を活かした新概念の焼酎造り
    2. 5代目が切り開く焼酎界のイノベーション
    3. メーカーズディナーで表現する焼酎の新境地
    4. 「自分が飲んだことがない焼酎を作りたい」
  6. 須木酒造
    1. 焼酎界の至宝が次々と提案する焼酎の新世界
    2. 蔵つき酵母が目に見える仕組み
    3. 焼酎作りは麹作り
    4. 内嶋杜氏が見据える想いとは
  7. 宮崎焼酎聖地を巡る旅、まとめとして

須木酒造

焼酎界の至宝が次々と提案する焼酎の新世界

熊本県に隣接する旧須木村(現・小林市)にて明治43年(1910年)に創業。

小林市の魅力はお水。市内には70カ所以上の湧水があり、日本百名水に選ばれているホタルの生息地もあります。この美しい自然環境に囲まれた抜群の立地で須木酒造の焼酎は作られます。
創業100年を契機として総木造の蔵を新築し、理想の焼酎を作り上げる空間ができました。須木酒造さんの杜氏・内嶋光雄さんが設計も担当しています。

内嶋さんは焼酎造りのプロ集団である黒瀬杜氏4人を師匠にもつ、特別なご経験をお持ちな方です。

蔵つき酵母が目に見える仕組み

内嶋さんが学び体系化してきた、黒瀬杜氏の流れをくむ哲学と理想の造りを実現するために、焼酎を作るすべての環境において一切の妥協なく反映されています。

見学できる蔵は外からガラス超しに見ることができますが、中には仕込みを担当する2人(内嶋さんと息子さん)以外は誰も入ることはできません。仕込みが始まると漬物や納豆すら口にせず、生活面でも自己管理を徹底されています。
蔵の中は、掃除に始まり掃除に終わるとも言うべくお掃除を徹底。ホコリ一つ落ちていない清潔さ。それは焼酎作りに欠かせない基本大原則だそうです。

また、蔵にはいわゆる蔵つき酵母を見える化した工夫が施されています。天井の一枚板がガラスになっており、空中に舞う麹の胞子がガラスの上に重なる様子が見学する部屋内から眺めることができるのです。

蔵内で空中を浮遊する麹の胞子が天井に着地しやすい構造になっている空間デザインも内嶋さんの提案だそう。蔵訪問では一番見ていただきたい場面です。

焼酎作りは麹作り

内嶋さんは焼酎つくりを『麹つくり』とも力説されます。お米に麹を付着させる場面では、一粒一粒すべての米粒に菌が付着するようにコントロールするそうです。

また、作りたい焼酎の味を決めるのは麹作りであり、頭の中で思い描いた焼酎の味は麹を作る段階でほぼ完成させるのだとか。麹に始まり麹に終わる世界です。
内嶋杜氏の溢れる才を表現する場は、麹作りに始まる仕込みの時間だけではありません。焼酎を新たに開発する際もお力を発揮していて、須木酒造さんで開発している焼酎はすべて内嶋さんの着想からなるものです。

山美娘・山 猪・甘えんぼう・わけもん・山雀・宗一郎・風の番人などなど。焼酎に込めるコンセプトはもちろん、ラベルまで自ら筆を握り、デザインまでこなすマルチプレイヤーぶり

書道の達人や絵画アーティストのような作品を、焼酎にとどまらずラベルを含めた完成品として最後まで責任をもち、全身全霊で商品を紡ぎ送り出す姿勢には背筋が伸びます。

内嶋杜氏が見据える想いとは

「黒瀬杜氏の方々から教えていただいた150~160数程の歴史をもつ焼酎作りを大事にすること、かつその技術を伝承しながら、毎年毎年が焼酎造りの1年生であることを忘れずに驕ることなく頑張りたい」というのが内嶋さんの想い。

そして須木酒造さんの焼酎が100人中99人に旨い(甘くて、きれいで、コクがある)と言われるように心がけて焼酎作りをしたいと決意を表明されています。
須木酒造さんの焼酎を一口飲んだときの強い主張、インパクトはその味が内嶋さんのお仕事と分かるくらい際立った個性です。内嶋さんをリーダーに須木酒造さんワンチームで、宮崎県と熊本県との県境、自然豊かな景観の山里、須木から発する焼酎を通したメッセージ。口に含んで体験してみてください。

焼酎聖地宮崎の誇るべき伝統産業を次世代へ伝えたい決意がその味に投影されていることをご理解いただけるはずです。須木酒造さんが挑み続ける焼酎の未来、その物語はまだまだ尽きることなく続きます。
■須木酒造 HP
http://suki-syuzo.jp/

宮崎焼酎聖地を巡る旅、まとめとして

7カ所の蔵元さんを訪ねて、各地域の人々の喉と心を潤す焼酎という土地土地の文化の結晶をお伝えしてみました。それぞれ瓶の向こう側に広がる物語を多少はイメージしていただいたかと思います。500年の歴史ある日本の地酒、焼酎の魅力を形づくっているのは、温度感のある「人」であることをご理解いただければありがたいです。

この魅力ある伝統産業を次世代へバトンタッチしていくためにも、目の前の焼酎に対峙して五感を総動員して飲み、「飲んで応援すること」は、目の前で実践できる身近なエールであることと認識していただけたら幸いです。
そして焼酎聖地宮崎にもぜひ足を運んで、個性豊かな蔵元さんと交流してみてください。飲む世界が別世界になることをお約束します。作り手と飲み手がともに支え合う宮崎焼酎の希望ある未来へ乾杯!
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