新型コロナウィルス感染拡大の影響によって、旅行はおろか近場のレジャースポットへの外出も慎重にならざるを得ない昨今。目新しいことをやろうとしても限界があるおうち時間ばかりでは、子どもにとって驚きや刺激となる“非日常体験”を与えることはなかなか難しいですよね。

そんなジレンマにモヤモヤしているパパにオススメしたいのが、大自然を舞台にした壮大なアドベンチャーをリアルに体験できる映画！　そこで今回は、100年以上読み継がれる名作冒険小説をハリソン・フォード主演で映像化したディズニー映画『野性の呼び声』をご紹介します。

ゴールドラッシュに沸く19世紀末。温暖なカリフォルニア州の裕福な判事の家で飼われていた犬のバックが、ある日悪い犬販売業者に誘拐され、カナダの辺境の街で売り飛ばされてしまう。犬ぞりで郵便配達を営む夫婦に引き取られたバックは、極寒の自然で過酷な生活を続ける中で野性の本能に目覚めていく。そしてある日、新たな飼い主の下で酷使されていたところ、地図に書かれていない未踏の荒野を目指す冒険家ソーントンと出会います。

ハリソン・フォード主演映画と聞くと、人間ドラマがメインで動物は脇役？というイメージが湧きそうですが、本作の主人公（主人犬）はやんちゃ犬のバック。安全な文明社会で暮らしていた飼い犬が、いくつかの出会いと別れを繰り返しながら、極寒のカナダでサバイバル術を学んで力強く成長し、ハリソン演じる冒険家ソーントンと強い絆で結ばれていくという数奇な運命を描いています。

ただし犬が主人公といっても、バックは擬人化されておらずセリフも話さないので、ファンタジーではなくリアルな冒険物語として受け止められるようになっています。

ディズニーの動物映画といえば、『ジャングル・ブック』『ライオン・キング』など実写さながらのCGで動物や大自然をリアルに映し出す“超実写版”が記憶に新しいですよね。本作も実は人間以外はほとんどフルCG！　バックをはじめとするそり犬たちも、シルク・ド・ソレイユのパフォーマーでもあるテリー・ノータリーら俳優が演じた犬の動きをモーションキャプチャーで取り込み、CG処理で作り上げられたキャラクターなのです。

確かに言われてみれば、飼い主の問いかけにユーモラスにとぼけたかと思えば冷徹な人間に対して凄むバックの表情、そり犬のリーダーをめぐる激闘、固い氷に覆われた水中や雪崩の中へ果敢に飛び込む危険なアクション…いずれも生きている犬の演技ではとても表現できないもの。フルCGだからこそ分かりやすく伝わるバックの豊かな感情、そして躍動感満点のアドベンチャーにクギづけ！

雄大な雪山や凍結した川などのダイナミックな自然も、まるでそこに存在するかのようにリアルで美しく、物語の世界にスッと没入できるはずです。

そして本作には、動物たちが繰り広げる大自然アドベンチャー以外にもう1つの見どころがあります。それは、バックとハリソン演じる冒険家ソーントンが交わす絆のドラマです。

冷徹な人間に酷使されて一度は人間を信じられなくなった犬と、大切な息子を失って孤独な冒険を続ける男──。心に傷を抱える者たちが奇跡的な出会いをきっかけに心を通わせ、かけがえのないパートナーになっていく感動に心が温かくなるはず（星空を見上げながら寄り添い合う姿の微笑ましいこと！）。両者の絆が深まっていく描写の丹念さは、『リロ・アンド・スティッチ』や『ヒックとドラゴン』で言葉の壁を超えた交流を描いてきたクリス・サンダース監督の独壇場です。

先ほど「主人公はあくまで犬」と書きましたが、等身大の生きざまを通じて動物愛護の精神を体現するソーントンも本作の重要なキャラクター。これまで『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』などさまざまな冒険映画でヒーローを演じ、長いキャリアを通じて重みのある年輪を刻み込んだハリソンだからこそ、孤高の冒険家ソーントンが魅力的に映り、バックとの種族を超えた友情も情感豊かなものになったのでしょう。

日常からかけ離れた雄大な自然で織りなされるアドベンチャーと絆のドラマ──。冒険小説のページをめくるようなワクワクと普遍的な感動をぜひ家族みんなで体験してみてください。犬好きの家庭は特に必見です！

『野性の呼び声』（2020年） ／アメリカ／ 上映時間：99分
DVD・ブルーレイ発売&レンタル中
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