
ホームパーティー研究家に聞いた「男の腕の見せどころ」!ホームパーティーで盛り上がるポイントとは?
ハロウィンとクリスマスの間に挟まれた11月は、家族や友人で盛り上がれるイベントの空白期間で寂しい…。
そこで提案です。自分たちでホームパーティーを開催してみませんか?
日本では馴染みが薄いですが、11月といえば、家族の健康や幸せを祝う「感謝祭(サンクスギビングデー)」。
大切な人への感謝の気持ちを共有するには、ホームパーティーはうってつけです。
そこで今回は、「一般社団法人日本ホームパーティー協会」の会長を務める、ホームパーティー研究家の高橋ひでつうさんにインタビュー。
不慣れな人でもホームパーティーを楽しく盛り上げられるポイント、おすすめの料理や段取りなどを教えていただきます。
ゲストも幹事にすれば一石二鳥!全員を巻き込む参加型パーティーのススメ
©ホームパーティー検定認定講師 橋本尚子
─近年はホームパーティーの開催・参加が増加傾向にあるそうですが、その背景は?
日本ホームパーティー協会では、ホームパーティーのスペシャリスト育成を目的に、1〜5級の段階にレベル分けした「ホームパーティー検定」を実施しているのですが、近年は男性の受験者が増加傾向にあります。
いわゆる“料理男子”と呼ばれる料理に熱心な男性、つまり“おもてなし好き”な男性が増えているのでしょうね。
─ホームパーティーとはそもそも何のために行うものなのでしょう?
「美味しい料理を味わう」「オシャレな雰囲気を楽しむ」などの楽しみはあくまでもプロセスであって、それ自体が目的ではありません。ホームパーティーにおけるゴールは、参加者同士の「コミュニケーション」を深めることにあります。
─コミュニケーションを促進するという目的を果たすためにホームパーティーが効果的な理由は?
ホームパーティーのいいところは、お店のようにラストオーダーがないので、時間を気にせずゆっくり過ごせること。そして、お金があってもなくても、センス次第で十分楽しいパーティーにできること。
楽しいパーティーを実現できれば、コミュニケーションもより円滑になります。
─他にもホームパーティーのメリットはありますか?
パパが手料理を振る舞って後片付けもすれば、ママは当日の家事から解放されますよね。つまりホームパーティーはママを楽にさせる絶好の機会です。
パエリア、アクアパッツア、鶏肉の燻製といった豪快な料理を作ったり、またパーティーを楽しく盛り上げることによって、家庭におけるパパの尊敬を取り戻すチャンスにもなりますよ。
©ホームパーティー検定認定講師 橋本尚子
─ホームパーティーって大変、というイメージがありますが、初めてホームパーティーを行う人が最低限押さえておきたいポイントは?
準備に料理に後片付けまで何でも一人でやるのはしんどいので、ホームパーティーを開催するのが面倒くさくならないためにも「無理をしないこと」が一番。参加者みんなを幹事にして、ホームパーティー全体に巻き込みましょう。
例えば、前菜はポットラック(持ち寄り)形式にしてメイン料理だけ自分で作るかケータリングで用意したり、食事の準備も片づけも一緒にやる。みんなでホームパーティーを作り上げることによって全員の参加意識が高まり、よりいっそう親密になれますよ。
─自分が楽になって参加者同士も仲良くなれるなんて、一石二鳥ですね。
えてして日本のホームパーティーは、もてなそうと頑張るあまりホストが自己犠牲を払いがちですが、ホームパーティーは“参加”しないとつまらない。全員参加、つまり傍観者のいない状態がホームパーティーの理想です。
だからゲストに「お皿洗おうか?」と言われたら「自分でやるから大丈夫だよ」なんて遠慮する必要はありません。むしろ「流し台はここだからお皿を洗ってね」「ごみ捨て場はこっちだよ」と自分から案内し、積極的に手伝ってもらいましょう。
─他にもホスト側の負担を軽くする方法はありますか?
料理を作るのが大変であれば、コンビニや惣菜屋さんの食品でも十分美味しいので活用しましょう。100円ショップで買えるマスキングテープでコーディネートしたお皿に盛りつけるだけで、パーティーらしい特別感を演出できますよ。
─一方、ゲスト側にとっては「何を持ち寄ればいいか」がホームパーティーの悩みのタネですが、どのようにすれば解決できますか?
ホスト側が「メイン料理は○○を作るよ」「オリーブオイルとチーズは用意してあるからね」など家にあるものを事前に伝えておけば、何を持って行けばいいか迷わずに済むし、料理の重複を防ぐことができますよ。また一人ひとり別々に持ち寄ってもいいですが、数人でお金を出しあってインパクト満点な一品モノ──例えばビッグサイズの生ハムとかを用意するのもオススメです。
─他にもオススメの持ち寄りメニューは?
前菜として食べやすいフィンガーフードですね。高級スーパーやデパ地下・駅ナカの食品フロアに行けば、オシャレなこだわりフードがたくさんあります。セレクトに困ったら、遠慮せず店員さんにオススメを質問してみてください。こうしたお店はパーティーメニューの需要が多いので、接客のプロたちが喜んで応えてくれますよ。
非日常の“ごっこ”感覚がホームパーティーを盛り上げる
─ホームパーティーを盛り上げるポイントやオススメのアイテムはありますか?
まずはホームパーティーのタイムテーブルを作っておくこと。そして「たこ焼きのたこ代わりの具材を持ち寄る」といったテーマを作ると、ゲスト側の参加意識がより高まります。食事でケータリングを発注する場合は、パーティーの中盤に搬入してもらうと「おお!」と盛り上がること間違いなし。
お酒を振る舞う場合は、樽から直接注げるビールを用意したり、酒屋でレンタルしているビールサーバーを借りるのも楽しいですよ。
─まるでお店のパーティーみたいですね!
お店といえば、最近はSNS映えする「ラクレット」が人気ですが、専用のラクレットメーカーがお手頃価格で販売されているのでオススメ。
お店など外でしか体験できないようなことが家で楽しめる──そんな“ごっこ”感覚を取り入れることが、ホームパーティーを盛り上げる秘訣です。
─子どもも楽しめるオススメの盛り上げ方はありますか?
先ほど紹介したように、子どもたちも“巻き込めば”いいのです。例えば、プラスチック製の安全包丁で料理を切り分けてもらったり、後片付けを任せたり…。家のことを手伝う習慣をつけるきっかけとしてもホームパーティーは効果的ですよ。
─感謝祭のシーズンにピッタリなホームパーティーの楽しみ方はありますか?
アメリカの感謝祭といえば家庭でローストターキーを食べるのが一般的ですが、ターキーは大きくて日本のキッチンでは扱いづらいですよね。またコーディネート面においても、クリスマスにおける緑や赤のようなキーカラーが感謝祭にはありません。
「感謝祭らしさ」を追求するより「秋のパーティー」という気持ちで楽しんではいかがでしょうか。
─秋ならではのパーティーの楽しみ方といえば?
11月に解禁日を迎えるボージョレヌーヴォーと絡めたり、前菜をマツタケやキノコといった日本の秋の味覚で揃えたり、デザートにモンブランを用意したり…。そうした“秋のてんこ盛り”をテーマに、いつもと違う非日常感を演出するといいですよ。
─最後に「ホームパーティーって面白そうだな」と思った読者の背中を押すようなメッセージをお願いします。
豪快な手料理で喜ばせるなど、ホームパーティーは男の腕の見せどころが満載です。それに料理の味で専門店に勝てなくても「楽しさ」では勝つことができます。アイデアを存分に発揮して非日常感を演出し、自分も含めた参加者全員で楽しい時間を過ごしてください。
あとはママに怒られないよう、食材などのコスト意識と後片付けも忘れずに(笑)。
今までホームパーティーは、準備や後片付けなどやることだらけで大変!と思っていました。
でも高橋さんが提唱するような「ゲストを巻き込む全員参加型ホームパーティー」なら、自分も楽だし参加者みんなが一体となって盛り上がりそうで、なんだか敷居が低くなった気分になれますね。
ホームパーティー未経験という方は、今回のインタビューを参考にぜひチャレンジしてみてください。きっと普段の交流よりも深いコミュニケーション体験が得られるはずですよ。
●プロフィール
高橋ひでつう
一般社団法人日本ホームパーティー協会会長
ホームパーティー検定®の監修や各種ホームパーティー関連商品の開発やマーケティングを通し「ホームパーティーが生む楽しいコミュニケーション」を研究しメディア出演多数。「ホームパーティーをアウトドアへ」と、ピクニックも研究対象。
一般社団法人日本ホームパーティー協会
https://hpaj.org/