
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 | 負け犬だって意地がある!銀河のお尋ね者が真のヒーローに
超話題作『アベンジャーズ/エンドゲーム』のお祭り気分を盛り上げる復習に
「日本よ、これが映画だ」と堂々と宣言するキャッチコピーで注目を集めた、マーベルヒーロー豪華集結作『アベンジャーズ』シリーズ。そのコピーにたがわぬ空前の迫力と興奮に、映画ファンなら誰もが虜になったはず。
そして4月26日公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』でシリーズはいよいよ1つの区切りを迎えます。
『アベンジャーズ』シリーズは各ヒーローたちの単独映画と密接にリンクしていて、各作品をチェックしておくといっそうディープに楽しめるようになっています。
しかし、単独映画の数は18本! すべて鑑賞済みの強者もいるでしょうが、「まだ見ていない作品だらけ」「『エンドゲーム』公開前に復習したいけど全部は無理」と嘆く方も少なくないでしょう。
そこでオススメしたいのが、マーベルヒーロー映画の醍醐味を最大限に味わえる作品を厳選し、それらを復習代わりに鑑賞してお祭り気分を盛り上げること。
その候補作として今回は、銀河の無法者チーム5人組の誕生と活躍を描いた最強の娯楽映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』をご紹介します(ちなみに『エンドゲーム』の敵役サノスは、この作品が映画初登場です)。
今度だけは逃げない──はみ出し者たちが熱く体現する“負け犬の美学”
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、いわゆる王道系のヒーロー映画と比べると、何から何まで異色づくめ。まず、スーパーヒーローといえば特殊能力を持つ正義漢というのが定石ですが、この5人組は単なるお尋ね者ばかり。
お調子者トレジャーハンターのピーターや、賞金稼ぎの毒舌アライグマのロケットたちは、強大な力を秘めたお宝の争奪戦中に捕まって刑務所送りに。5人は事あるごとにいがみ合いますが、刑務所から脱獄するためやむなく手を組む──そう、正義や平和のためではなく私欲のためだけにチームを組むのです。
そんなヒーローらしさとは無縁な5人が、成り行きから宇宙の平和を懸けた戦いに身を投じることになり、がぜんストーリーは面白くなっていきます。ノリに任せてピンチを一緒に切り抜けるごとに5人は絆を育み、そしてピーターのこんな決意表明によって真の正義漢へと覚醒するのです。
「今の俺たちはどう見えると思う? 俺たちは負け犬だ。多くのものを失った…。
でも今日は違う。
人生は俺たちにチャンスをくれたんだ。誰かのために戦うチャンスをだ。
だから今度だけは絶対に逃げ出さない」
絶大な力を持つ自信家ならいざしらず、平凡な一般人であれば自分にとって荷が重い役目は避けたくなるのが人情。でも、人生において一度や二度は、絶対に逃げてはいけない試練がやって来るもの。
そこでたとえ成功の見込みが薄くても戦えば、行き詰まった人生を切り開くことができる──。そんな心に響くメッセージに、ヒーロー映画でありながら思わず胸が熱くなることでしょう。
ヒーローは、ヒーローである前に人間である
バラバラだった5人がこの決意表明シーンで真の仲間になってからクライマックスにかけては、“友情・努力・勝利”の少年ジャンプ漫画さながらに熱いアドベンチャー&ドラマの連続。
広大な銀河を舞台にした『スター・ウォーズ』ばりの痛快スペース・アクションで冒険心をくすぐり、憎まれ口を叩きながら勇気と絆で涙を誘う──ヒーローの型にハマらない破天荒な5人組が「これぞヒーロー」という勇姿を見せるギャップがたまらない!
決して強いだけでなく、時には悩み苦しみ、くだらない話で笑い合う──。
そんなマーベルヒーローに共通する魅力である“等身大の人間臭さ”がギュッと凝縮された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を鑑賞し、来たる『アベンジャーズ』シリーズ最終章で繰り広げられる死闘と人間ドラマを目撃してください。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年) /アメリカ/ 上映時間:121分
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