
不便も楽しんでこそアウトドア Vol.1【男の趣味活】
「趣味は何ですか?」と聞かれてちょっと困ってしまった経験はありませんか?
多くの人が100年以上生きる「100年ライフ」と言われる今の時代、仕事をリタイアした後も長く続く人生が、特にやりたいこともなく暇で退屈…なんてことになってしまったらもったいない!本企画では、一生かけて熱中できる趣味を見つけた人たちに、ハマったきっかけや魅力、面白さをインタビュー。
初回は、アウトドアに強い男ってカッコいい!ということで、自然志向のライフスタイルを提案するアウトドアWEBサイト「.HYAKKEI[ドットヒャッケイ]」の羽田裕明編集長に、アウトドアの魅力について語り尽くしていただきます。
もっともっと日本の自然を楽しもう!
-羽田さんは、「.HYAKKEI」というアウトドアWEBサイトの編集長ですが、羽田さん自身も根っからのアウトドア愛好家なんですか?
元々は夏フェスが大好きで、外で音楽を聴いたりしてアウトドアを楽しんできました。でも、実は「.HYAKKEI」の立ち上げに関わる以前は趣味と言えるほど熱中していたわけではないんです。「.HYAKKEI」でのいろいろな企画や取材を通じて次第にアウトドアの魅力にハマっていって、次第にプライベートでも楽しむようになりました。
-お仕事がきっかけで、どんどんハマっていったんですね。そもそも「.HYAKKEI」はどういう経緯で誕生したんですか?
日本は国土の7割が山に囲まれて自然も気候も豊かです。でも、キャンプや登山などのアウトドアをする人はそれぞれ総人口の1割にも満たないんです。それではあまりにもったいないので、自然に触れるきっかけをもっと多くの人に持ってほしい、という思いから2015年に誕生しました。
「.HYAKKEI」という名称には、自然を楽しむことで日本のいろんな景色を見てほしいという「百景」、また一人ひとりいろんな楽しみ方を「百人百色」で味わってほしいという気持ちが込められています。私もアウトドアをするようになって知ったのですが、日本には本当に美しい自然がいっぱいあるんです。その魅力をできるだけ多くの方に体験してほしいですね。
-サイトでは「ライフスタイル」や「楽しみかた百景」といった企画で、アウトドアについてあまりよく知らない人にも、楽しむヒントを提案されていますね。
読者はアウトドアが好きな30〜40代の男女が中心ですが、その世代で仕事がいったん落ち着いて「これからどんな人生を歩もうかな」と考えるようになった人たちもターゲットにしています。
私の経験による実感では、アウトドアを楽しんでいる人は豊かな人生を送っている人が多いので、そうした方たちの人生を紹介することで「自分もこんなふうに暮らしたい」と思ってもらえるような、ライフスタイルを提案しています。
-アウトドアには他のレジャーと比べてどんな醍醐味があると思いますか?
やっぱり自然の中に完全に飛び込めることですね。それから、アウトドアには何もかもあらかじめ用意されているわけではなく、最終的には全部自分で何とかしなきゃいけない。「アウトドアでどう過ごすか」と考える主体性が自分たちに委ねられているのも面白いです。
-思い描いたことが自由にできる反面、思い通りにいかないこともありますよね。
自然の中で自分の無力さを痛感することも珍しくありません(笑)。そうした「不便を楽しむ」ことや「不便をいかに快適に変えるか」をアウトドア愛好家たちは追求しています。自分で何とかしなきゃいけない、というマインドが働きやすいのがアウトドアならではですね。
体験を通して生まれる家族の絆
-これまで多くのアウトドア愛好家を取材されてきた中で、家族で楽しむ場合の醍醐味はどこにあると思われますか?
子育て世帯の方から「ある意味、都会より自然の方がよっぽど危なくない」という意見を聞いたことがあります。都会では公園のすぐ外に車道があって危ないけど、自然や山の中だと子どもを自由に遊ばせやすい。さらに、子どもにとって自然は好奇心の宝庫。制限を設けずに子どもを楽しませるにはうってつけの場所なんです。
-確かに都会での遊びの方が、いろいろ制約があります。
都会暮らしでは、例えば「転べば痛い」「火が熱い」という当たり前のことを知る機会が意外と少ないですが、アウトドアだと身をもって理解できます。自分に及ぶ危険を子どもに体験させることは、その心構えを身につけるためにも大切なことですね。
-例えば家族でキャンプに出かけると、他にどんな体験ができますか?
テントの設営にしても料理にしても共同作業が必要です。家族みんなで役割を分担すれば、絆を深めると共に、手伝う姿勢を子どもに教えることにもつながります。またアウトドアは人間性が出やすいので、良くも悪くもその人の意外な一面が見られます。
普段忙しくて家族と過ごす時間が少ないパパにとっては、実は力持ちで頼りになるんだぞと証明できたり、子どもにパパってカッコイイと思わせたりできる格好の機会でもあります(笑)。キャンプ料理は男の腕の見せどころでもあるので、ママをゆっくり休ませてあげるのもいいかもしれないですね。
羽田さん愛用のたき火台
-子どもと一緒に色々な話や経験ができるチャンスですね。
そうなんです。キャンプであれば、やっぱりたき火が醍醐味です。開放感のある自然の中でたき火を囲んでいると、普段言えないような本音を自然と打ち明けられるんですよね。
子どもに「最近学校で悩みはないか?」「昔パパはこんなことをしたんだよ」とか、自宅のリビングだとじっくり話せないような深い話題を切り出すにはうってつけですよ。登山中は無言になることもありますが、長い時間行動を共にするので、深い会話をすることも多いですし。
アウトドアやキャンプの魅力を伺ったところで、でも実際やるとなると道具やスキルなどハードルが高いと思われる方も多いのではないでしょうか。次回はキャンプについて、初心者でも楽しめるコツを教えてもらいます。
< 聞いた人 >
アウトドアWEBサイト「.HYAKKEI」編集長 羽田裕明さん
<取材協力場所>
BUNDAN COFFEE & BEER
ブンダン コーヒー アンド ビア
〒153-0041 東京都目黒区駒場4-3-55(日本近代文学館内)