【男の育休ファイル】バトンタッチ型・産後サポート併用型パパの育休体験

【男の育休ファイル】バトンタッチ型・産後サポート併用型パパの育休体験

育休

育児休暇の取得を計画しているパパの参考に、育休取得経験のある先輩パパたちの経験談をお伝えしていく「男の育休ファイル」


今回は、共働きで男の子3人を育て、ママの職場復帰と入れ替わりで育休に入る「バトンタッチ型」と、ママの産後と職場復帰をトータルでサポートする「産後サポート併用型」の育休を2度取得した平塚さんにインタビュー。

育休前・育休中・育休後の体験を振り返っていただきます。



【育休前】妻の職場復帰から保育園入園までの“空白期間”に取得


─育休を取得しようと思った最初のきっかけは?

長男が1歳になった13年前、当時の妻の職場では育休期間が産後1年までしかありませんでした。そこで、妻が職場復帰してから保育園に入園できるまでの2カ月間、必要に迫られて育休を取得することにしたのです。とはいえ「できるなら育休を取得したい」という気持ちはずっと抱いていました。


─2度目の育休では「産後サポート併用型」を選んだ理由は?

三男が生まれたのは妻が42歳の時でした。それなりに高齢での出産だったので、産後体力の落ちている妻が無理をしないで済むように、1週間は授乳以外の育児家事を全部私が担当するつもりで産後休暇を取得しました。その後、妻の育休が終了する1歳6カ月からも、子どもが保育園に入園できるまでの2カ月間、育休を取得しています。


─第2子の時は育休を取得しなかったのですね。

次男が3月生まれで、妻の育休終了と保育園の入園が同時期だったため、私が育休を取得する必要がなかったからです。でも後になって、妻の育休期間を短くしてもらってでも取得すればよかったなぁ、と後悔しました。


─会社にはどのように育休を申請しましたか?

長男の時は、出産後に妻と話し合った上で、育休取得9カ月前に直属の上司と人事に相談しました。実際の申請は、妻の復帰日と取得開始日の調整があったため、申請期限ぎりぎりの1カ月前に手続きをしました。

三男の1歳6カ月から育休を取得した時は、職場のプロジェクトリーダーを務めていたこともあり、妊娠が分かった段階(実際に取得する2年以上前)でプロジェクトのメンバーに「無事に生まれてきたらこの時期から育休を取得する予定なので、よろしくお願いします」と伝えました。

「育休を取得したい」という思いのある方には、できる限り早めに職場に伝えることをオススメします。そうすることで、仕事の調整がスムースにいき、まわりに応援してもらいやすくなると思いますよ。


─育休取得を決めた際の周囲の反応は?

長男の時は軽い気持ちで育休を申請したのですが、まだ「イクメン」という言葉もない時代で、なおかつ職場では男性の育休取得第1号ということもあり、いろいろと波風が立ちました。「出世をあきらめたのか」とか「男が育休って何の冗談だ」と言われ、酒の席で共働き世帯の先輩から「旦那に育休を取らせるような嫁とは別れろ」と言われた時は驚きました。ただ、ありがたいことに直属の上司はとても理解のある方で、「おぉ、面白いな!取れ取れ!」と言ってもらえてとても気が楽になりました。

三男の時は自分がプロジェクトリーダーだったので、上司にお伺いを立てる必要はあまりなくスムーズに取得できました。リーダー不在でメンバーは大変だったと思いますが、育休の話を伝えてから目に見えて主体的にプロジェクトに関わってくれるようになり、結果的には良かったですね。


─育休取得前に疑問や不安の解消のために行ったことがあれば教えてください。

長男の時はまだ育休について深く考えていなかったので、取得前に不安を感じることすらありませんでした。育休をスタートしてから初めて“家の中で分かっていないことが多い”と気づき、自分の甘さを思い知るハメになりました…。三男の時は、家事も育児もそれなりにやるようになった後でしたので、特に不安もありませんでしたね。


【育休中】育児をしながら家事もやる大変さを初めて実感

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─育休中はさまざまな家事・育児に没頭したと思われますが、育休以前はどの程度家事に関与していましたか?

初めて育休を取得する前は、自分ではそれなりに家事をやっているつもりでしたが、今考えるとせいぜい全体の1割程度しか関与できていませんでした。自分がいかに家事をやっていなかったか、そしてその大変さを理解していなかったかを思い知らされましたね。2度目の育休取得前には、物理的にも精神的にも半々ぐらいとちょうどいいバランスで家事をシェアできるようになりました。


─家事の好き嫌いや得意苦手はありますか?

洗濯全般、なかでも干したり畳むのがあまり好きではありません。ただ、嫌々やっても何もいいことはないので、音楽を聴いたりテレビを観ながらやっています。

好きな家事は料理ですが、妻が作った方が美味しいのでそこは悩ましいところではあります。ちなみに最近は長男が家族の朝食を作ってくれるようになり、とても助かっていますよ。


─育休中の1日はどのように過ごしていましたか?

2度とも子どもが1歳になってからの取得だったため、朝食の片付けと洗濯物を干し終えたらおでかけしていました。長男も三男も電車が好きだったので電車を見に行ったり、市が開設しているプレイルームにもよく遊びに行きましたね。ちなみに長男の育休時(2006年)は私以外にパパひとりで子どもを連れてきている人が全然いませんでしたが、三男の育休時(2018年)は常に何組かはパパ子連れの方がいて、時代の変化をしみじみと実感しました。


─育休に入ってから生活スタイルがガラリと変わったと思いますが、戸惑いませんでしたか?

三男の育休スタート直前まで日々仕事に忙殺されていたので、家事と育児に忙殺される日々へと脳をシフトチェンジするのが大変でした…。特に最初の10日間ぐらいは家事のペースがつかめず、料理するのにやたら時間がかかったり、簡単な用事を忘れたり、一人でバタバタしていた気がします。


─育休中の疑問や悩みをどのように解消していましたか?

長男の時は、育休の先輩パパなんて存在しなかったため、すべてが手探りでした。分からないことは妻や実家の母に訊いていましたね。


─育休中の印象的なエピソードがあれば教えてください。

育休前までは妻が抱っこしないと泣き止まないことが多かった息子が、育休中は逆に私が抱っこしないと泣き止まず、夜も「父ちゃんと寝る!」と言ってくれたのは嬉しかったですね。妻に「勝った!」と思いました。もちろん勝ち負けじゃないことは分かっていますが(笑)。

それと、0歳から1歳の子どもは日々めきめきと成長し、昨日できなかったことが今日できるようになるということの連続ですよね。そんな成長を毎日ずっと一緒にいて目の当たりにできることは、本当に素晴らしい経験でした。


─奥様とのコミュニケーションや、産後ケア・職場復帰などのサポートをどのように図りましたか?

産後ケアについては、妻に「どうすると楽か、いつ私が休むと助かるか」を常に訊いて実践していました。女性の体調のことは男に絶対分からないので、「こうすると助かるだろう」と独りよがりに判断しないことが大切だと思います。

職場復帰のサポートは特に必要ありませんでしたが、コミュニケーションが一番難しい(笑)。ケンカしても次の朝は必ず「おはよう」と声を掛けたり、不機嫌な相手にイライラした態度で返さない、話し合うことを諦めない、ということを常に心がけています。現実はそううまくはいきませんが(笑)。


【育休後】限りある子どもとの時間を大切に

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─育休後の平日の一般的なスケジュールを教えてください。

子どもを保育園に送ってから出社し、夕方6時には退社し7時までには帰宅。保育園の送り迎え担当を朝と夕方で別々にしたり、先に帰宅した方が夕食を作ったりと、夫婦で役割分担を日々調整しています。


─職場復帰後、家に早く帰れるように工夫するなど、働き方に変化はありますか?

「今日はお迎えがあるので残業できない」「○日に保育園の行事がある」など、職場で子どもの状態をできるだけオープンにするようにしています。また、保育園のお迎えと重ならないよう、打ち合わせの時間調整にも努めています。


─育休中と育休後でお子さんとの接し方に変化はありましたか?

職場復帰後は家にいる時間が格段に減りましたが、そのぶん一緒にいられる時間をできるだけ大切にするようになりました。お迎えから一連の家事だけであっという間に時間がなくなってしまうので、適度に家事を手抜きしたり後回しにし、絵本を読んだり一緒に遊んだりする時間を取るように心がけています。


─育休前と育休後で価値観の変化はありましたか?

育児・家事の大変さや楽しさを妻と共有できるようになったことですね。また、家事も育児も大変ですが、大変なことだからこそ楽しんでやれるように工夫をしよう、と思えるようになりました。


─今振り返って、育休中に「もっとこうしておけばよかったな」と思う点はありますか?

最初の育休で自分がどんなふうに過ごしていたか、簡単でもいいので記録を残しておけばよかったなぁと思ったので、三男の時には日々の記録を書き残して本にしました。育児を楽しむコツや、仕事と家事育児を両立していくヒントも書いていますので、子育てに悩むパパの参考になれば嬉しいですね。

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─今後の家事育児における目標があれば教えてください。

とにかく楽しんでやること。そして限りある子どもとの時間を満喫することです。長男と次男がもう中2・小6と大きくなり、子どもが大きくなるのはあっという間という実感があります。三男はまだ2歳なので、抱っこできる、かけがえのない時間を大切にしたいなと思います。

日々目覚ましく成長していく子どもと濃密に接することができる、育休の意義がとても伝わりました。また平塚さんが「自分がいかに家事をやれていなかったか痛感した」と振り返ったように、育休が家事シェアのあり方を見直す機会にもなるというのは新しい発見でした。

家事も育児も大変だけど、大変なことだからこそ楽しんでやろう──こうしたポジティブな発想をたくさんのパパが育休を通じて得られたら、家庭がもっと楽しく快適な場所になりそうですね。

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